子どもが「内気」で周りとうまくやっていけるか心配なあなた。
「ウチの子は内向的」かも、と心配することがあるかもしれませんが大丈夫です。
乳幼児期は特に本人の気質を見た上で、その子らしさを認めてあげることが大切です。
「内向的」という特徴について考えてみました。
大人の内向的と外交的の10個の違い
以下がソフトウェア会社「Officevibe」が作った「内向的な人と外向的な人」の比較表です。
すべてが当てはまるわけではなく、1つの分類です。
また、100%内どちらかに偏るというのもおかしく、どちらかといえば○○、あるいは半々の項目などがあっても良いと思います。
内向的な人 | 外交的な人 |
1人で時間を過ごして、エネルギーをチャージする | 社交的な活動で、エネルギーをチャージする |
1対1の会話が好き | グループで会話するのが好き |
狭く深く付き合う | 広く浅く付き合う |
聞くのが得意 | 話すのが得意 |
なかなか変化を受け入れられない | 変化を簡単に受け入れる |
長時間集中できる | 気が散りやすい |
打ち解けるのに時間がかかる | フレンドリー |
限られた人にだけ、自分をオープンにする | 誰にでも、自分をオープンにする |
じっくり考えてから決める | 決断が早い |
周りからの注目なんていらない | 周りから注目されたい |
子どもの内向的と外交的の特徴
児童心理学の分野で大きな影響をあたえたアメリカの発達心理学者ジェローム・ケーガン博士が長期調査があります。
生後数か月の赤ちゃんに、刺激に敏感に反応するか調査。
刺激への反応が高かった乳児は内向的な性格になりやすく、反応が低い乳児は外交的な性格になりやすいという結果。
「高反応の赤ちゃん」の脳の働きを見たところ「扁桃体」などが、より活性化。
人口全体では、高反応が2割、低反応が4割、中間が4割。
人間の生来気質の存在を証明した実験といえる。
「生来気質」という言葉について少し補足します。
発達心理学では「性格」を「気質」と「性格」に分けて考えます。
「気質」=先天的なもの、生まれながらに備わった傾向
「性格」=後天的なもの、環境要因がその最大のもの
この調査は生まれたときの「気質」部分によってその後どうなったか、というお話です。
結果から言えることは、人間は生まれながらにある程度の性格的傾向がある。
2割程度の刺激に敏感な子どもがいて、長期調査では内向的な性格になりやすいとなります。
この「気質」について大切なことは「そのまま認めて上げる」と言うことです。
コレを言い換えると「持って生まれたその子らしさ」です。
親の自分と違う、周りの子どもと違う、イロイロあって当たり前です。
以下のような特徴があることを認識して、しっかり受け止めていきましょう。
内向的な傾向がある子の特徴 | 外向的な傾向がある子の特徴 |
変化を受け入れるのが苦手 | 変化を喜ぶ |
刺激に敏感に反応する | 刺激に鈍感 |
長時間集中する | 気が散りやすい |
人見知り | 物怖じしない |
たくさんの友達よりも1対1で話すことを好む | 誰とでも話す |
安定しない環境だと不安になる | 危険な冒険も大丈夫 |
深く考える | 決断が早い |
裏方であることを望む | 主人公的になることを望む |
処理スピードはゆっくり | 処理スピードが速い |
アメリカでミリオンセラー『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』
うまくアピールする事が必要とされる社会のアメリカ。
それは学生時代でも大人でも、社会の共通認識。
そんなでミリオンセラーになった『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』という本があります。
著者のスーザン・ケインさんは自身が内向型人間であると自認。
外向型を理想とするアメリカ社会で生きづらさを抱えてこの本を執筆。
この本は内向型が直面する数々の問題を浮き彫りにしつつ、内向型の強みと魅力を明らかにし、その個性を伸ばして生かす方法を模索しています。
この本では以下の著名人が内向的と記載しています。
- アインシュタイン(科学者)
- ショパン(音楽家)
- プルースト(小説家)
- スピルバーグ(映画監督)
- ビル・ゲイツ(マイクロソフト社)
- ラリー・ページ(グーグル社)
- アル・ゴア(政治家)
- ガンジー(インド独立の父)
上記以外にも、さまざまな著名人が内向的傾向を持つと言われ大きな結果を残しています。
- エイブラハム・リンカーン(米国大統領)
- バラク・オバマ(米国大統領)
- スティーブ・ウォズニアック(アップル社の共同設立者の一人)
- ウォーレン・バフェット(投資家)
- J・K・ローリング(ハリー・ポッター著者)
- オードリー・ヘプバーン(女優)
- エマ・ワトソン(女優)
そうそうたるメンバー。
言われてみればなるほど、と思える名前もあるかと思います。
芸術方面が内向的人間が多いと思うこともあるかもしれませんがそれだけではありません。
ビジネスで現代の世界最高峰のグーグル社やマイクロソフト社のトップ。
世界で最も有名な投資家や、思考(論理)と挑戦が必要な科学者。
政治家も含まれています。
内向的は悪いのか
結論を先に書きます。
まったく悪くありません。それどころか大きな強みです。
一昔前までは外交的気質の人が高評価でした。
が、現代では内向的気質の人の評価がとても上がっています。
一番の理想的形は「内向的+外交的気質を持つ」です。
あなたの回りいる内向的な人を思い浮かべてみてください。
内向的な人は外部環境に敏感で、周りの状況を少しでも多く読み取ろうとします。
読み取った情報を自分の頭で分析、自分にとってどう捉えるべきか判断します。
忍耐力や自制心も備わっていることが多く、物事の先の先まで考えようとします。
世界はどんどんコモディティ化(標準化、どれも大差のない状態)しています。
そんな中で役立つもの・生き残っているものは何でしょうか。
少しそれますが、瞑想・禅に深く傾倒したことで世界的に有名なスティーブ・ジョブスさん。
彼はiphoneやipodという「製品」を生み出そうとしたわけではありません。
深く考えることにより、iphoneを使った「生活をデザイン」したのです。
さらに横道ですが、ブレインストーミング(複数人で批判厳禁のアイデアだしの方法)の例を取り上げます。
あまり知られていませんがブレインストーミングの本当の活用法として「アイデアが尽きた後に搾り出すアイデア」を出すことです。
それくらい深く深く考えないと、本質的なモノが作り出せないと言うこと。
繰り返しますが、内向的な人は感性が豊かで発想力があります。
また思考力・精神力なのど頭脳分野で外向的な人より優れていると言えます。
この土台から外交的振る舞いを身に付けた、さらには外交的になったと想像してみてください。
内向的な性向の人の弱みも考え見ます。
メンタル部分に課題が出そう、という点が内向的な人の最大の懸念点かもしれません。
慣れていない大きすぎる舞台、過剰な変化、プレッシャー続きに精神がついていけない。
これも始めからそういう素養であることをベースにして動けばよいのです。
著名な方の記事などでよく出てきますが、自分の弱い部分をあらかじめ認識する事は重要です。
自分がこれ以上やるとつぶれるだろうという境界線を過去の経験から把握しておく。
境界線を越えないレベルの挑戦を繰り返して結果を出す。
他の弱みとして思いつくのが、なかなか動かない(挑戦しない)ことが上げられます。
動かないと何も変わらないので、無理のない範囲で1歩1歩進む環境をつくりましょう。
内向的傾向の子どもへの接し方のポイント
あなたのお子さんや友達のお子さんに内向的な人いたとします。
最重要点は「無理やり外向的にしようとしないこと」。
内向的な子どもが健やかに育つために、親として気をつけたいことをいくつか考えてみました。
- 初めての挑戦で嫌がるときはやめる
- 時間をかけて少しずつハードルを上げていく
- 大きな変化があらかじめわかっているときは事前に伝える
- 厳しいしつけではなく良い面をほめる
- 集中しているときは見守る
- 会話でも子どもが考える猶予を持つ
- 人前でしからない
- なんでこんなことできないのという否定をしない
- たくさんの友人を持つことが良いと言わない
個人的に思うこと
内向的な子どもは不安になりやすいです。
そんなとき親が「不安を分かってあげる言葉」をかけることは効果的です。
子どもは「わかってもらった」という安心を持った上で挑戦に向かえます。
当たり前かつ重要ですが、日ごろの否定的な発言は子どもを萎縮させてしまいます。
「また、こんなことして!」という言葉を発する前に、深呼吸。
子どもは安心して少しずつ挑戦、失敗もしますが成功も積み重ねます。
積み重なった成功が自信につながり、さらに大きな挑戦をします。
最初は周りの子どもととうまくやれなくても大丈夫です。
親が全身で受け入れてくれる環境で、子どもは自己肯定感を強めていきます。
ゆっくりと自信を育てていれば、やがて友達とも遊ぶようになります。
思い出してみてください。
ささいなことでも親がおおごとと考えててしまい、後から考えるとたいしたことではなかったという経験。
親はいつも心配だらけです。
見ている(見守る)だけで、子どもはあっという間に成長して巣立ちます。
つい手を出してしまう・・・親の方が自制心が足らん、というのが常ですが。
ではでは。
◆今回のまとめ◆
内向的な子どもは生まれながらの「気質」も関係している
とくに小さいうちは無理に変化させずに受け入れる姿勢が大事
「内向的+外交的気質を持つ」は理想形