休むのが当たり前の空気づくり

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育児・子供観察

2019年の男性育休取得率は7.5%。
僕は育休を取得しなかったのでここに含まれない、いまから考える反省する側の一人です。
よって、説得力はありませんが、経験的に育休取得のメリットは多く、いまは育休推進派です。
その仕組みづくりを組織的に行う対策として、多人数休暇共有も効果があります。

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育休取得率は大きく変わっていない

最近の日本の育児休暇取得率が以下です。


出典:育児・介護休業法について(厚生労働省)

女性が8割強で推移、男性が1割未満で推移。
女性数値からすると誤差レベルですが、男性の育児休暇取得率は上がっていて、2009年と2019年を比べると、441.2%と4倍。
しかし、2019年の男女比では、女性は男性の約10倍。
男性の育休取得率では、日本は後進国です。
次に「育児休暇制度規定ある事業所(規模別)」の割合です。


出典:H30年度雇用均等基本調査(厚生労働省)

最少人数の5~29人では60.4%ですが、個人的には小規模事業でこの割合は、良い数値だと感じました。
1,000人所属していて数人が数か月いなくなっても影響は限定的ですが、10人の企業で1人減ると残った人への負担は間違いなく出てくる。

最大人数の500人以上規模の事業所で83.1%は、逆に「まだ17%の組織に育休制度がない」と感じます。
職種によってマッチしにくい業界があるのかもしれませんが、それなりの人数の社員がいる組織なら、それは組織構築の敗北です。
最後のグラフは「育児休業終了後の復職者の男女割合」です。


出典:H30年度雇用均等基本調査(厚生労働省)

男性は90%台中盤から後半で、普通に考えて納得ですが、2015年が99.9%だったものが2018年に95.0に下がっている点は気になります。
もしかすると育休制度有無の問題ではなく、育休後に違う道を選ぶ人が増えたのではと予想します。

女性は90%前後をうろうろ。
大きく増減していないので、1割程度の人は、育休後に離職されています。

自分の時を振り返ってみると

わが家の子どもが乳児期、僕は上記の2つ目のグラフでいうと、一番人数が多い規模の組織に属していました。
その組織は東京に本社を置くIT企業で、平均年齢は若く、それゆえ子どもがいる人は多分、他の組織より少なかったと思っています。

それなりに、時代の流れを取り入れる会社だったため、早い段階から育児休暇制度は設けられており、わが家に子どもがやってきたときには、男性の育児休暇制度も整っていました。
他にも、介護休暇やボランティア休暇などあったので、先進的とは言えなくとも、時代に即した組織でした。

繰り返しますが、この組織で、僕は育休取得しませんでした。
同じ組織内で、わが家に子どもが生まれたタイミング時点で、男性で育児休暇を取得した1人。
女性はほぼ全員、制度を利用していましたが、世に倣って男性はほとんど利用していない組織でした。

当時、僕がなぜ育児休暇を取得しなかったか振り返ると、周囲で育休取得男性がいないのに、自分が取って良いのかの心理ハードル。
小心者の考えですが、大半の日本人男性は、1度は考える内容だとも思っています。
それ以外の理由として、比較的時間の融通がつけられたので、全休しなくても乗り越えられるのでは、と甘く考えてもいました。

実際、朝や夜の出社時間調整して、育児・家事全般のサポートをしました、この見積もりが大甘で、それは過酷だった。
睡眠時間を極限まで削り、会議中の居眠も含め、周囲に助けられて過ごしました。

女性は人に寄りますが、出産後、普通に動けるようになるまで時間が必要ということも、僕は経験しました。
そんなとき、サポートしてくれる(子どもにとって)祖父母がいれば良いですが、核家族であれば夫か、外部一般業者などになる。
何度かこのブログに書いた通り、わが家は当初、外部業者にお願いして、一般家事や子どもの世話をお願いしましたが、それでも相当厳しかった記憶は残っています。

この経験を持って、いま、自分が第一子を授かり親援助がない状況だったなら、全休を数か月間取得します。
そこには、以下の育休を取得する効果的な組織的な風潮ができつつあることも挙げられます。

育休を推進するために多人数情報共有

できるだけ、たくさんのメンバーが入った情報共有の場を作り「休暇します」連絡をルール化する。
実際に勤怠共有は、何らかの方法でやっているのはどこの組織にもありますが、上記はできるだけたくさんのメンバーが入った場で共有する、というのが肝です。
同じチーム内だけなら意味はなく、できれば、100人以上が常時見られる環境を指します。

普通の有給休暇や慶弔休暇を含む、育児休暇や看護休暇、ボランティア休暇なども、たくさんの人の目に触れる場所に記載する。
できればグループウェアで、全員に通知が飛ぶような環境が理想的です。

そうすると、顔は知らない人だったとしても「〇〇休暇を取ります」が日常的に目に入ります。
狙いは、休暇を取得する心理ハードルを下げること。

この情報共有の場には、どんなに偉い人も記載するルールにします。
そして、組織側から偉い人に、なるべく休む(休暇連絡)よう促す。

実際に、取締役や部長クラスが「育休取得します」の書き込み効果は絶大です。
それ以外にも、男性社員が「育休で3か月間休みます」がたまに目に入るようになる。

そうすると、自分がいざ子どもを授かった時、男性であっても育休を取って良いと思える。
周囲も、育休取得が前提で動ける。
日本らしい「周囲の顔色を見て自分も動く」を逆手に取った方法です。

この方法のデメリットは、無関係の人の休暇連絡が頻繁にアテンションされます。
アテンション通知を切っておく方法が対策ですが、その場合、休暇心理ハードルに変化はありません。

最近、リモートワークでも業務が回る実績ができても、出社を求める組織の話を聞きました。
現場はそれに不満を持ち、それが離職理由になっている。
実際に、その空気感に未来の不安を抱いて、僕がいる組織に転職してきた人からの情報です。
いまは、転職サイトの1位の検索キーワードが「リモートワーク」という時代です。

組織にいると、組織風土を変えるのは簡単ではない。
一番の課題は、決定者がそれを認める度量があるかどうか。

新しいことにも恐れず順応を繰り返すのは、組織の生き残り戦略です。

さいごに

僕が学生の頃は、夏の運動部でも「練習中に水を飲むな」と言われる最後の世代でした。
いまは、熱中症対策というか世間対策で、積極的に水分補給を教師も先輩も薦める。

ただ、ここには、何年かの過渡期がありました。
過渡期に、抵抗勢力(水を飲むなんて根性が足りない)と、環境に従わざるを得ない後輩で、感覚に差が出ていたとおぼろげな記憶があります。

大人組織も変わらず、正しいことが、以前よりまかり通る時代になったと思います。