「無知の知」は子育てでもオンボーディングでも同じ

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育児・子供観察

在宅勤務(リモートワーク)になると、より難しくなる新規参加メンバーの組織への溶け込み(オンボーディング)。
顔を突き合わせていれば自然にできていたことが、リモートワークになると難しい。
中でもコミュニケーションを求める人が一定数いるのは、僕がフルリモート経験者として、納得です。
とはいえ、リモートワークも1つの環境変化で、変化に合わせてやり方を変えるのは、いつの時代も変わりません。

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オンボーディングとは

オンボーディング(On-Boarding)は、「船や飛行機に乗っている」という意味の”On-Board”から派生した言葉。
それが派生して、新規採用メンバー(新たなクルー)が、いち早く職場環境に慣れて、戦力となってもらうための、受け入れ側の姿勢、施策を指します。
この言葉がコロナ過でリモートワークが普及し、脚光を浴びました。

僕はいま、フルリモートなので、何を言っているのか良く分かります。
新卒でも中途採用でもそうですが、オフィスに集まっていたころに比べ、新規参加メンバーが組織への馴染むレベルが低い。
新規参加メンバー側も、この点が転職・就職時の懸念点で、入社後も試行錯誤しているのですが、打てる手はそれほど多くないイメージです。

これは新規参加側のパーソナリティによるところはありますが、大半は受入れ側の課題。
リモートになっても、物おじせず、気軽にだれにでも雑談ができる人もいるかもしれませんが、多くの日本人はそうではない。

かろうじて、自分が所属するチームメンバーの顔は分かるが、隣の部署メンバーの顔はおろか、声すら聞いたことがないくらい、組織全体が見渡せない。
リモートがリアルに負けている点として、オンボーディングは間違いなくあります。

コミュニケーション難で雑談を欲する

リモートワークの課題について、新卒のアンケート結果がありました。

出典:新入社員の在宅勤務の課題ランキング(パーソル総合研究所)

コミュニケーションの取りづらさが1位(同僚)、3位(先輩)、6位(上司)が上がっています。
コミュニケーションが何を指すのか限定されていませんが、気軽に話しかけたり、一緒にランチを食べるあたりなのかと想像します。

リアルに一緒にいれば、自分の視野の中に入り、相手の表情や雰囲気が読み取れる。
あの人、いま機嫌悪そうだから話しかけるのはやめよう、はリモートでは難しい。
ふと思いついたのですが、リモートワーク中「いま怒ってますよマーク」があったら、解決できるのかもしれません。

自分と同じチームの人に限定したとしても、OJTや業務分担などで接触(話す)機会があり、脱線して雑談する。
やってみると分かりますが、画面越しでの雑談は、意識しないと発生しません。

出典:テレワーク中の雑談あり・なしによる比較(リクルートキャリア)

上記は雑談有無によって、ストレスが解消されるかの結果です。
雑談ありの人は63.2%、雑談なしの人は77.3%がストレスが解消できていない。

この結果を素直に受け取ると、雑談がある環境の方がストレスは解消されています。
どの程度の雑談したいのかは人それぞれですが、人間が雑談するのは共同体を円滑に回すためにも、一般的です。

オンボーディングは受け入れ側にも有用

雑談をするにしても、新たに入った側は、仕事を教えてもらう側なので、雑談が業務直結とは言いにくい点からも自分からは求めにくい。
こういう場合、世の中の一般的大半な事象と同じく、強い立場の側が、それを察し良い匙加減を目指すのが配慮です。

「見て覚える」とか「放っていてもやるヤツはやる」のような発想は、時代に沿っていない点はいうまでもなく、あとあと余計なコストが発生します。
そもそも、いつの時代も、手をかけなくても1人でどんどん切り開いている人はいます。
その人はそもそも、オンボーディングは無関係(対象外)です。

リアルだろうとリモートだろうと、採用コスト・育成コストは、とてつもなく大きいもの。
一度、参加を決めたメンバーは、できる限りその人の力を引き出して、貢献してもらう環境を目指す。
うまくいかず、結局退職して、また採用となると、随分遠回り。

社風であったり、チーム状況が伝わりにくい前提で、受け入れ側は必須項目として準備する。
たとえば、いままで1on1(ワンオンワン)しかなかったところを、雑談会を開催するなども1つです。
やり方はいろいろあります。

伝えることが難しくなったのであれば、伝え方を工夫する。
この時、子どもへ何かを伝えるときと同様、伝わらないが前提です。

教える工夫と勉強する姿勢

1+1=2を子どもに理解してもらうのは、比較的簡単です。
1個のリンゴと、1個のリンゴ、あわせていくつ、のような説明でたいていは伝わります。
1-1=0や、1/2など、難易度が上がると、子どもの成長段階によって、子ども側が受け取れないことがあります。

そうなると、いったん保留にするか、別の伝え方でトライするか。
ネットで説明方法を調べるのも、現代では普通です。
YouTUBEの凄さだと僕は感じていますが、教育的な動画がたいていアップされている。
いくつか見てみると、とても分かりやすいものがあり、それをベースに子どもに説明するのも大人にとっても頭の体操になります。

分かった気になって、人に説明しようとして、うまく説明できないのは、自分が理解できていない証拠です。
教える対象がきっちり納得してくれるかは、自分の理解力が大きく影響します。

子どもの質問は、「空は何で青いの?」のように、知っているようで答えられないものもあります。
正解を常に答える必要はなく、一緒に考える姿勢で基本は良いですが、答えられるものはうまく回答を子どもから引き出したり、そのまま回答する。
と思っても、説明がしどろもどろであれば、子どもには伝わりません。

分からなくて勉強する姿勢も、工夫することも親にとって勉強。
こうした、子育ての経験は、「無知の知」を基本とするオンボーディングでも生きてきます。

他にも子育て経験が、会社などの組織で活用できる点として、自分が前に出る気持ちが抑えられる。
子育ての主役は子どもで、自分は黒子でしなかい
オンボーディングも、長期視点で考えれば、自分は黒子が理想。

若いころは黒子になれず、前に出すぎるのは、初級マネージャーのあるあるです。
それが、リーダー経験して、たくさんの屍(=効果が低かったメンティー)を乗り越えていくと、見えるものがあります。

人に教えるのは、とてつもなく勉強になる。
経験者は、全員頷く内容です。

そこであきらめるのも、会社ではアリですが、子育てはそうはいきません。

さいごに

いまの若者は電話が嫌い、という話は、身近な20歳代の話を聞いても、そうだと感じます。
デジタルネイティブ・SNS世代は、メッセージコミュニケーションが主です。

いまの中高年以上が電話好きか、というと僕はYesとは思っていません。
単に若い時スマホがなく、固定電話しかなかったので電話慣れした、が正しいと僕は考えています。
そう考えると、若者の電話が苦手というのは、経験が少ないだけとなります。

その若者たちが、フルリモート環境になって、電話の会話のような雑談を求めている。
僕の身の回りのわずかなサンプルですが、口をそろえて画像ナシ音声通話の雑談が、やりたいと言います。

良し悪しは別として、みんな手探りのリモート環境ですが、若者側は柔軟に対応していると感じます。