友達のお泊り経験のある子は約1/3~1/4、非日常経験から得られるもの

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育児・子供観察

この文章のトピックスは以下です。
・近年お泊り会を経験する子は約1/3~1/4
・はじめての友達の家でのお泊り経験は6~9歳が最多
・早い子は小学校入学前からお泊り会を経験している
・成人するまで友達の家でのお泊りをさせない親は13%
・海外でも子どものお泊りはあり、子どもの自立や他の家庭の文化に触れる学びを期待

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お泊り会を経験する子は約1/3~1/4

お子さんは、友達の家にお泊まりをしたことがありますか?
出典:うちの子、挨拶はできる?手土産は…?「初めてのお泊まり」の注意点&準備しておきたいもの(小学館 kufura)

上記は小学館 kufuraが、20~40代の子どものいる男女207人にアンケートした結果です。
記事は2024年2月となっているので、最近の情報だと思われます。

子どもが友達の家にお泊り経験があると答えたのは22.2%、ないが77.8%。
約1/4がお泊り経験ありです。
この情報、子どもの年齢がないので何歳の子どもにとってのお泊り経験かは不明です。

お子さんが初めて友達の家に泊まりにいったのは、いつですか
出典:いつまで家族旅行に行く? 友達とのお泊まりはいつから? 子どもの「いつ」を徹底調査!(ベネッセ)

上記はベネッセ教育総合研究所が、国の小学4年生~中学3年生のお子さんを持つ保護者に対してのアンケート結果です。
アンケート実施は2018年11月、回答者数360人で年齢別の情報があります。

初めてのお泊り経験で一番多いのは「6~9歳」の20.0%で、その前後が次点です。
お泊り経験がない割合は63.0%と、このアンケートでは約2/3が未経験となっています。

何歳から子どもを友達の家にお泊まりさせますか?
出典:2位は「中学生以降」! 子どものお泊まりを許せる年齢ランキング(ウーマンエキサイト)

上記はウーマンエキサイトでの、何歳から子どもを友達の家にお泊まりさせるかの保護者かアンケート結果です。
2016年8月集計、356人の回答結果です。

1位は「小学生になってから」47%、2位は「中学生になってから」19%。
3位は「成人するまでお泊まりは禁止」13%です。

ここまでのアンケート3つをまとめると、現代においてお泊り経験がある子は約1/3~1/4。
始めてお泊りに行く年齢は小学校になってからが多いとなります。

お泊り会を実施するなら気を付ける点

自分の子どもが友達の家にお泊り(およばれ)するとき、保護者として気を付ける点を上げます。

・持ち物(手土産も含む)
・アレルギーや疾患
・食べ物を含めて苦手なモノ
・お風呂はどうするか
・ゲームやテレビを見る時間
・就寝時間
・イレギュラー時の対応

上記を親同士で事前調整するのが一般的です。
事前にLINEで連絡を取り合い、当日何か起こった時や事後のあいさつも含まれます。

お泊り会を実施するにあたり、もう1点大きな(悩ましい)調整点はだれを呼ぶか、だれを呼ばないか。
その後の学校生活にも影響する内容で、しこりが残るネタにもなります。

現実には、家の広さによって家に呼べる人数が制限されることもあります。
都心部在住で家族4人、2LDKの間取りの家に住んでいるのであれば、家族以外は2名くらいが寝られる場所が確保できる限界かもしれない。

また、お泊り会を実施中は子どもが興奮したときなどどこまで介入するか、どの程度で叱るか。
ゲームを何時間も続ける、夜遅くまでいつまでも寝ないことはかなりの可能性で考えられます。
後片付けしないのを許容するか、お菓子をねだってきたとしてどこまで提供するかもあります。
お泊り会が楽しく、子ども達が何度もそれをやりたいと言って、どの程度の頻度まで許容するか。
お泊り会をやってはみたけどもう絶対やりたくない、と考える保護者がいるのも念頭に置く必要があります。

ものが壊れる(壊される)のもある程度、覚悟しておく。
対策として、高額なものは子どもの手の届かないところにしまうのが、1つの回答です。

お泊り会を絶対にしたくない人は、ネットを眺めているとそれなりにいそうです。
過去に実際にやってみて「もう絶対イヤ」となったのか、物理的や経済的に許容できないのか。
誘う側の配慮、誘われる側で断りたいときの言葉選びも、空気を読むにあたるうまい塩梅が求められるかもしれません。

それでも子どもにとって、仲の良い友達と長い時間一緒に遊べるのは間違いなく楽しい。
親は気苦労だらけですが、子どもの経験として意味はあります。

ニュージーランドでは

以下、ニュージーランド在住の日本人の方の記事です。

ニュージーランドではかなり頻繁に子ども同士がお泊まり会をします。7歳前後から友人同士の家で泊まり合うことを子どもは楽しみます。保護者は、子どもの自立や他の家庭の文化に触れることでの学びに期待をしているようです。

お泊まり会の目的
子どもにとってのお泊まり会の目的は、もちろん友達と楽しく過ごすことです。いつも一緒にいるお友達であっても、学校とも昼間の環境とも違う空間で長い間過ごすことは特別な楽しみのようです。一方の保護者は、特に子どもが幼いころは、かなり教育的な目的を意識していることが多い印象です。「他の家庭で過ごさせて、それぞれ自分の家とは違うルールで生活している家庭があることを理解させたい」、「お友達を招き、他人をもてなす作法を身に付けて欲しい」、「親から離れて過ごすことで自立させたい」、「親から離れて寝泊まりすることができたという自信をつけて欲しい」などといったことをよく聞きます。こうした意図が子どもたちにも伝わっているのか、お泊まり会でも基本的にマナーが良い子が多いような印象です。私自身は、お泊まり会に慣れていないこともあり、他の保護者の方たちの思いを聞いて、なるほどと思う程度でしたが、娘が泊まらせて頂く家庭はニュージーランド出身の方の他、英国、米国といった様々な家庭であったりするので、お友達家庭でのステイでありながら、異国のホームステイに似た貴重な経験になっている面もあるようです。

出典:【ニュージーランド子育て・教育便り】第42回 子どものお泊まり会(ベネッセ チャイルド・リサーチ・ネット)

子ども達だけの世界で、子ども達がルールを決める。
リーダー的にいつも引っ張っていく子の言葉がメインルールになりそうですが、引っ込み思案な子がいたとしてそこに自分の意見を入れて全体ルールにするよう、子ども達でやり取りする。
それぞれがどこかでバランスポイントを探るのは、社会性と言える行為です。

上記のニュージーランドのお話を読むと、自立や自信をつけてもらう、他人をもてなす作法を身に着けてもらいたいなど、社会性を高める面を考える親がいます。
この辺りは全世界共通の親の思想だと感じますし、違う国の子どもの家におじゃまするのを疑似ホームスティというのも理解できます。
日本人同士のいつもの仲間うちなら、親含めある程度共通感覚はありますが、海外の国のお宅に訪問するなら気になる点はクリアにするのがお互いにとって必要。
近所で他家へ訪れ、他国の家庭料理を味わえるような環境は、その子は大人になった時、海外で生きるハードルが低くなっていると思います。

(物語)自然の一部

中学1年生の雄介は、自分が住んでいる東京から離れ、父親の友人が住んでいる北海道の家に一人で2週間のホームステイすることになりました。
昨年は私立中学受験のため夏休みは毎日塾通い。
努力の結果、第1志望の中学校に無事入学できましたが、肌は白くそれ以前の雄介は夏には外で遊んで黒くなっていました。
もともと体を動かすのが好きな性格の雄介。
雄介の両親も小学生の子どもが、夏休みに毎日、勉強ばかりしていることに消化しきれない想いを持ちつつ一度覚悟を決めた中学受験です。
子どもが努力しているところに水を差すようなまねはしたくなく、口には出せませんでした。

受験が落ち着いたあとの中学1年生。
雄介の父は、夏を取り戻すという言い方はおかしいと思いつつ、濃い体験させられないかと考えていました。
その雄介の父は北海道の大学を卒業しており、当時、仲の良かった友達の一人は北海道が地元で、いま北海道で農業を営んでいます。
その友達とは卒業後も連絡を取り合い、何度か行き来していました。
友達からは「その気があるなら息子さんを、夏休みの間、預かっても良い」と言われており、子どもが親元を離れ一人でやっていく体験として魅力的だと感じていました。

ある日、雄介の父親は雄介に、夏休みの何日か自分の北海道に住んでいる友達の家に一人でお世話になってみる気はあるかと聞きました。
どこか怖いもの知らずな性質を持つ雄介。
お世話になる先の家族がどんな構成で、場所や期間、環境を父親にあれこれ質問する雄介。
父親は、自分が友達のところに数日、止めてもらった過去の記憶を辿りつつ、雄介に興味を持ってもらえるようプレゼンしました。
行ってみたものの、数日リタイヤは避けたいのでマイナスになりそうな情報も伝えます。

その人は北海道で家族で農業、畑で食べ物を作っている。
行ったら先方の農業のお手伝いをするため、1日中、外で畑作業することになる。
東京とは違い、土にまみれ虫は当たり前。
周囲には何もなくコンビニは何十キロ先、空気や食べ物は美味しいけど、娯楽はゼロと思ってもらいたい。

雄介は「少し考えさせて」とその時は保留にしましたが、翌日「行ってみたい」と父親に回答しました。

雄介が、北海道でどう生活していくか。
親として読み切れないところはあるが、東京ではなかなか経験できないチャンスです。
雄介の父親は、大学時代の友人に今年の夏休み、息子をお願いしますと段取りをつけました。

雄介にとって初めての北海道。
空港を出ると空港近辺のみは建物がありますが、少し車で移動すると広い土地、少ない建物、空は高い。
雄介は「やっぱ北海道(は広大)だなぁ」と感じていました。

初日、雄介と父親は、一緒にホームステイ先に行きました。
父親は友達に挨拶して、軽くお茶を飲むと東京に戻っていきました。

ホームステイ先の家族は、雄介の父親の友達夫婦と、おばあさん、小学生の子ども男女が1人ずつの5人家族。
ジャガイモ、たまねぎ、スイートコーンなどを主に扱う、家族経営の専業農家でした。

農家の朝は早い。
5時にはおばあさんや母親は動き出していて、6時に朝食をとって、それぞれのタイミングで畑に入っていく。
日中に何度かの休憩をいれて、夕方になる前にはその日の農作業が終わる。
雄介もそのお家の農作業ルーティンの中に入りました。

比較的、朝に強い雄介。
他人に良く思われたい気質もあり、自分のその農家の戦力になりたいと思っているため、朝起こされてすぐに覚醒し顔を洗い朝ご飯を食べる。

父親の友達のおじさんは40歳代で、筋肉が服の上からでも分かる自然の中で生きるオトコのイメージ。
短髪で四角い顔、ガッシリした肩、太い腕、太い胴体と足、何もかもが雄介の二回りは大きそう。
雄介も学校では背の順にすると、男子の中で真ん中より高い方にいるが、おじさんの横に立つと屈強な戦士とひ弱な魔法使いのよう。

おじさんのご飯を食べる量は半端なく、朝から大きな茶碗大盛でガツガツ食べています。
雄介も東京での友人に比べると食べる量が多い方だが、その雄介の3倍は食べている。
しかも食べるのが早い。
食べ終わるとお茶碗を流しに下げてすぐに、「雄介君、出発しよう。」と言って農作業に出かけます。
雄介も慌ててお茶碗を片付けて、おじさんの後を追います。

朝から夕方前まで、畑でいろいろな作物の手入れをする。
時にトラクターに乗せてもらったり、私有地内なので運転させてもらったり。
大きなトラクターを自分が操っている感覚は、自動車が好きな雄介にとっては大喜び。

休憩時間には、おじさんの畑で育てているコーンをもぎ取って食べさせてくれる。
トウモロコシが生で食べられるのを、そこではじめて知った雄介。
とれたてが一番甘く、どんどん糖度が下がっていくのも、その甘い味から容易に想像できるくらい甘い。

ホームステイ先のお母さんもおばあさんも、家事が終われば畑に出てきます。
収穫した農作物の選別や出荷準備など、無言の中で流れるように手を動かしている。
多分、60歳代と思われるおばあさんですが、まったく老人のそれと思えない動きで、雄介が持てないくらい重いものも運ぶ。

負けず嫌いな雄介なので、へとへとになりながらも毎日夕方まで働きました。
文字通り、体力を使い果たしたと思えるほどの労働量です。
家に入って、夕食までのわずかな時間にテレビを見ようとリビングで座っていると、寝落ちする。

1日、肉体労働した後の晩御飯がおいしい。
食材は自分の家のとれたて生産物や、家畜を生産しているご近所さんから物々交換のようにいただく肉など。
どれも素材の味が濃く、お箸が進む。
東京にいるときはご飯のお替りはほとんどしませんが、北海道では3杯は食べる雄介。
何より食べる行為は栄養補給であることを身体が欲しており、この食べ物が明日1日農作業するためのエネルギーになる。

ホームステイに来て数日は筋肉痛がひどく、農家の戦力としても足手まといでした。
それが、1週間を過ぎた頃、流れを掴んで農家の生活に慣れてきました。
朝の新鮮な空気、土の香り、広い空。
自然の大きさ、自分の非力さ、大地とともに生きる生活。

そんなホームステイの2週間はあっという間に過ぎ、雄介が東京に戻る日が来ました。
父親が迎えに来た時、雄介の顔は日焼けで真っ黒になっていました。
心なしか筋肉質になったように見えるが、それは自分がそう思いたいだけなのか。
雄介は父親に「もう2週間経ったのか。あっという間だったなぁ。」を少し寂し気に話しました。

父親は雄介を見て、心の中で良い時間を過ごしたのだろうと想像。
あらためて、友達に深い謝意をいだいていました。

さいごに

昭和時代に小学生だった僕は、小学校高学年の頃、仲の良い友達の家に泊まりに行っていました。
僕を入れ3人で一緒にいることが多く、その3家庭にローテーションで3か月に1回くらいのペースでお泊り会を開催していました。
当時、周囲に同年代の人たちも、男女問わずお泊り会をしていたと記憶していますが、その割合は不明です。

令和の今、だれかの家にお泊り会に行くには、ハードルが高いのはいまわが家の子どもとその周辺を見ていて実感しています。
お互いの親が配慮しなければいけない点が多く、世間から求められるハードルが上がっている。

自分の経験では、仲の良い友達と夜も一緒という興奮は分かる。
そして、子どもにいろいろな経験させたいと考える親も増えている。

結果、友達の家ではなく、スポーツクラブなどの泊まりを含んだキャンプやスキースクールが、すぐに予約で埋まる状況になっています。