子ども達に愛される駄菓子屋は斜陽作業

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育児・子供観察

駄菓子屋が減っているニュースはよく聞きます。
実際のデータを見ると、店舗数は25年で6割になっています。
昔、駄菓子屋でお菓子を買っていた大人も、いまの駄菓子購入場所の1位はスーパーマーケット。
駄菓子屋はいまも昔も子どもにとって楽しい場所ですが、斜陽産業なのは間違いありません。

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駄菓子屋の店舗数は25年で約6割

少し古いデータですが、経済産業省に菓子小売業の店舗数データがありました。

菓子小売業 事業所数
出典:平成28年経済センサス‐活動調査(経済産業省)

1991年、「菓子小売業(製造小売)」と「菓子小売業(製造小売でないもの)」の合計が102,243。
それが2016年には40,606と、60.3%減少しています。
最低店舗数だった年は2014年で、2016年はわずかに盛り返していますが全体は低下傾向です。

菓子小売業 事業所数 分類別
出典:平成28年経済センサス‐活動調査(経済産業省)

「菓子小売業(製造小売)」と「菓子小売業(製造小売でないもの)」、個別の推移が上記です。
グラフ内青色「菓子小売業(製造小売)」はそれほど低下しておらず、1991年と2016年比は74.9%。
対しグラフ内灰色「菓子小売業(製造小売でないもの)」は大幅に下がっており、1991年と2016年比は22.9%。
駄菓子を作っていない「菓子小売業(製造小売でないもの)」が、駄菓子屋減少の主因です。

従業員数と販売額は最近回復傾向

菓子小売業 従業員数
出典:平成28年経済センサス‐活動調査(経済産業省)

上記の従業員数をみると、2012年に一気に減少しています(前回の2007年比 67.0%)。
それ以降2014年、2016年は増加傾向にはなっています。
1991年と2016年を比べると72.4%です。

菓子小売業 年間販売額 (単位=百万円)
出典:平成28年経済センサス‐活動調査(経済産業省)

上記の年間販売額も、1つ上の従業員数と同じ流れです。
2012年がボトムで、ブイ字型推移。
1991年と2016年比では76.2%と、従業員数より少し良い数字です。

菓子小売業 売場面積(㎡)
出典:平成28年経済センサス‐活動調査(経済産業省)

売り場面積は、奇麗な右肩下がり。
「菓子小売業(製造小売)」と「菓子小売業(製造小売でないもの)」の両方とも大幅減少。
2つの合計値で1991年と2016年を比べると、37.7%です。

店舗数は東京が多いが人口当たりでは山形が1位

都道府県別「菓子小売業(製造小売)」「菓子小売業(製造小売でないもの)」の合計事業所数
出典:都道府県別お菓子屋店舗数(都道府県別統計とランキングで見る県民性)

上のグラフは2012年の古い情報ですが、都道府県別の駄菓子屋数です。
東京や大阪、愛知、福岡など、都市部が駄菓子屋が多い結果です。

都道府県別 店舗数 10万人あたり駄菓子屋数
出典:都道府県別お菓子屋店舗数(都道府県別統計とランキングで見る県民性)

人口10万にあたりの駄菓子屋数グラフにすると、1位は山形県、2位は青森県、3位は福井県です。
人口が多い、東京、神奈川、愛知、大阪は平均以下です。
東京は駄菓子屋が多い都道府県ですが、人口当たりでみると駄菓子屋は地方の方が多い結果です。

親世代の感覚 いまは駄菓子屋で駄菓子を買わない

いま現在、大人に対しての駄菓子屋経験アンケート結果が以下です。

子供の頃どこで駄菓子購入していたか 複数選択
出典:駄菓子に関するアンケート調査(株式会社アスマーク)

このアンケート、複数回答なので合計値は100%以上になります。
駄菓子を買う場所の1位は駄菓子屋で95.0%と、ほぼ全員と言って良い数字。
2位はスーパーマーケットですが26.7%と、1位と大差です。
いまの大人が子どもだった時代は、身近に駄菓子屋があったと言えます。

日ごろどこで駄菓子を購入しますか 複数選択
出典:駄菓子に関するアンケート調査(株式会社アスマーク)

いま、駄菓子をどこで買うか。
1位はスーパーマーケット、2位がコンビニ、3位に駄菓子屋となっています。
令和では、駄菓子コーナーがあるスーパーマーケットが多くなっています。
中規模以上の売り場面積のスーパーには、たいてい置いてあるのではないか。

コンビニやディスカントストアも駄菓子を見かけますし、ドラッグストアもわずかの品数ながら販売しているところはある。
駄菓子屋自体が減少したのでそれ以外のお店で購入する結果とも言えますが、令和時代の駄菓子購入は、駄菓子だけ買うと言うよりほかの買い物のついでに駄菓子も手に取る結果です。

ここまでをまとめます。
・駄菓子屋の店舗数は25年で約6割
・駄菓子を作っていない「菓子小売業(製造小売でないもの)」が駄菓子屋減少の主因
・売り上げは2012年が最低値でそれ以降やや盛り返している
・東京は駄菓子屋が多いが、人口当たりでは地方部の方が多い
・昔が駄菓子は駄菓子屋で買っていたが、いまはスーパーなどが隆盛

楽しい思い出だがなくなっていく駄菓子屋

昭和時代には「クジラの竜田揚げ」が学校給食に出ていました。
令和時代の子ども達は、ほとんど口にした経験がなくなった給食メニューです。
年1回の特別なメニューではなく、ローテーションとして普通に提供されていました。

令和のいま、クジラを食べる機会は激減しています。
食べられなくなったわけではなく、鶏肉や豚肉より高価ですが、いまでもネットで購入はできます。

僕はいまクジラを食べておらず、最後に食べたのは何十年前だったか分からない。
同世代の人と話していて給食での「クジラの竜田揚げ」の話題になった時、「あったよね」で終わります。

クジラ食減少の理由が、海外からの外圧や捕獲数が減少などだと思っていますが、食べなくなって影響があったのかと考えると無問題。
自然淘汰はこのケースには適当ではないのかもしれませんが、僕のように思い入れがない人にとっては、すでに記憶のかなたです。

いまの駄菓子屋減少傾向も「クジラの竜田揚げ」と近い。
駄菓子屋の方が「クジラの竜田揚げ」に比べるなら、経験バリエーション豊富ですが、慣れる・忘れるのが人間です。

僕は小学校時代、駄菓子屋を利用していました。
頻繁かどうか分かりませんが、スーパーマーケットにはあまり行った記憶がなく、お菓子を買う場所は駄菓子屋。
住んでいた近所に駄菓子屋があって、遠足の時は学校中の子どもがそこを利用していました。

おやつの上限額200円で、何を組み合わせれば自分が最高になるか、前の晩からシミュレーションする。
いま思い返しても楽しい記憶です。

ふと考えてみると、大人になると駄菓子程度の金額であれば大人買いできますが、どちらかというと健康などを考えて楽しさより節度を持って対応するようになる。
子どもの頃は、純粋に楽しさ100%で駄菓子屋に行っていました。

いまの駄菓子屋経営事情をネットでいくつかの眺めてみると、ほぼ厳しいの一言。
利益率は20%未満、1日の売り上げが1万円未満の日もあり、結果、1か月平均利益が3万円に満たない。
この先も続く少子化を考えると、(単なる比較対象として)スーパーのレジ打ちの方が安定かつ高収入です。

子育てにお金がかかる現代、趣味で駄菓子屋経営はあっても、現実的な生活の糧にはなり得ない選択です。
仮に駄菓子屋経営に興味があっても、ご家族に子どもがいるのであれば、1か月3万円の利益での子育ては無理筋。
その駄菓子屋を子どもが大好きというのは、アイロニー(皮肉)です。

以前、僕は以下で記載しましたが、昔も今も変わらず駄菓子屋は子どもにとってパラダイスだと思っています。

https://rutenzanmai.com/wp-admin/post.php?post=10320&action=edit

その駄菓子屋を経営・運営しているのは、いまも昔も高齢者が多い。
僕の身の回り観測だけのお話ですが、駄菓子屋のじいちゃんばあちゃんはたいてい子ども好きで話好き、コミュニケーション好き。
駄菓子屋は、身近な友達とは違う社会の接点です。

対し、現代の子ども達が置かれている環境は、他人との接点を限定的にする。
事件や不審者からのセキュリティ面が大きな理由ですが、知らない人とは話をしないなど、他人とのコミュニケーション機会は昔に比べ減っています。

昔は駄菓子屋に行って、おばちゃんとわいわい話しながらお菓子を選んでいた。
現代、その代替が何かと考えると、児童館を思いつきます。

さいごに

駄菓子屋でお菓子を買って、お店の前で食べる。
いわゆる買い食いですが、僕の子どもの頃はこれが当たり前の光景でした。
令和時代に、これができる許される環境はどの程度あるのか。

また、昔は公園で遊んだ後などに駄菓子屋に行って、手も洗わずお菓子にむさぼる。
これも、現代では衛生面的に微妙になりました。
コロナ過も大きく影響しましたが、食べるときは手を洗うあるいはウェットティッシュなどで手をふくのが子ども達のスタンダード。

駄菓子に限らず、子ども達が置かれている環境は、時代とともに変わっています。