なぜしつけが費用対効果が高いのか

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育児・子供観察

ある母親が自分の子どもに向かって話した内容がそれで良いのか?というお話です。
電車の中で子どもが周囲に迷惑をかけた2つの経験談。
僕も子どもを持つ親として「しつけ」について考えるトコロがありました。

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経験談1:母親Aさんとそのお子さんの話

平日の昼間、空いている時間帯でした。
座席は半分より少し多めくらい埋まっている状況。

そこに母親Aさんとそのお子さん、そしてお子さんの隣に初老の男性が座っていました。
僕はその向かい側に座っていました。

子どもは小学生低学年くらいの年齢の男の子。
制服ではなく私服を着ていました。
手には携帯ゲーム機をもって、ゲームに熱中。
母親Aさんはスマホを見ていました。

やがてその子どもがゲームに飽きたのか、社内をウロウロし出しました。
立っている人は一人もいなかったので、人にぶつかるような状況ではありません。
動いている電車内、扉のところにいって外を眺めたり、座席に戻ってきたり。

そのうち母親に「構ってほしい」モードに入りました。
母親に向かって学校での話や友達の話、ゲームの話など話しています。
声の大きさはそれほど大きくなく、向かいの席の僕にわずかに聞こえてくる程度。
僕はその話に耳を傾けていたわけではないので、だいたいそういう状況ということです。

母親Aさんは子どもの構ってモードに対し、あいづちを打つ程度で自分のスマホから目を離しません。
そして子どもはそれに不満だったのか、声がだんだん大きくなっていきました。
多分、その付近にいた乗客は「子どものヤンチャが始まったなぁ」と思うような感じです。

そこで子どもの隣に座っていた初老の男性が強めの口調で親子に向かって以下の発言をしました。
「電車の中でウロウロしたり、大声で話すんじゃない!」

母親Aさんはビックリしたような表情で、初老の男性を見ました。
子どもはポカンという表情でやはり初老の男性を見ています。
そして母親Aさんが自分の子どもに発した言葉が以下。

「電車の中では静か座っていないと、またあの人に怒られるよ」

 

経験談2:母親Bさんとそのお子さんの話

状況は経験談1に近いです。

平日の朝の遅い通勤時間、席はすべて埋まっており立っている人も少しいる状況。
そこに母親Bさんとそのお子さん、そしてお子さんの隣にスーツを着た男性が座っていました。
僕はその向かい側の一番扉に近い座席に座っていました。

子どもは小学生低学年くらいの年齢の女の子。
制服を着ていたので、母親Bさんと一緒に通学途中と想像できます。

その女の子は小さめカバンを自分のひざの上に乗せて、行儀よく座っていました。
母親と大きな声でなく普通の音量で会話をしていました。

電車の揺れもあったのか、子どものカバンが隣の男性の足にあたりました。
子どもはそれに気づかず、スーツの男性が無言でカバンを子どもに押し返しました。
それが、何度か続きやがてスーツの男性が「せき払い」をして、軽い注意を促しました。
母親Bさんはその「せき払い」で状況に気づいたようです。

母親Bさんは座席を立ち、手を引いて扉のところに移動しました。
位置的に僕が座っているすぐ側に移動してきました。
そこで母親Bさんはしゃがんで子どもの耳元に近づき小声で以下の発言をしました。

「子どものカバンが少し当たったくらいで、小さいオトコ。
電車の中にはああいう変なオトコがいるから気をつけるのよ」

 

根本的な部分で間違っている両母親

電車の中は公共の場所(パブリックスペース)です。
たくさんの方が利用されているので、自宅にいる時のように身勝手に振舞うことは基本NGです。
どの程度が許されるのかという線引きはできませんが、大きく他人に迷惑をかけない程度という言葉が適当かもしれません。

今回の両母親の発言を聞いて僕が思ったことが以下です。
「その内容を子どもに話すのは、イマイチじゃないのかなぁ?」
間違ったポイントのお話を子どもが聞いて、それが正しいと思ってしまったら、という懸念です。

もちろん僕は傍観者・部外者ですので、両母親と子どもに何らかの前提があったのかもしれません。
ただ、どちらのケースも子どもに向かって発した言葉は、論点がズレていると思いました。

母親Aさんは「またあの人に怒られるよ」。
コレは「だれかに怒られるからダメ」という発想で、公共の場での振舞いがどうあるべきか、という話になっていません。

母親Bさんはそもそも論点をすり替えており、さらに子ども向かって他人を罵倒する言葉を使っています。
たしかに事は小さいかもしれませんが、どちらに非があるかと点ではなく、相手を罵倒しています。

こうした話を聞いた子どもが「そういう対応が正しいのだ」と思ったとしたらどうなるのか。

 

正しい判断ができない「認知バイアス」

心理学では人間はさまざまな「認知バイアス」があるとしています。
簡単に言うと「客観的に物事を見ることができなくなっている状態」です。
この「認知バイアス」はかなり細分化されていますが、今回の母親は以下が当てはまると感じました。

▼確証バイアス (Confirmation bias)
自分に都合の良い情報だけを集めて、反証する情報を無視または集めようとしない傾向

▼正常性バイアス (Normalcy bias)
自分にとって都合の悪い情報を無視、過小評価したりしてしまう人の特性

▼感情バイアス(Emotional bias)
たとえ相反する証拠があっても、心地よい感覚をもたらす肯定的な感情効果のあることを信じたがる

▼選択的知覚 (Selective perception)
不愉快な情報や信念に反する情報は受け入れず自身の気持ちに添うものだけを都合よく選択して認識する

人間は「自分の色眼鏡」でモノを見る生き物です。
自分の都合の良いことを簡単に受け入れ、耳の痛い話はできるだけ外に置きたがる。
こうした特性を認識しておかないと裸の王様まっしぐらです。

 

モラルの内面化・内在化

今回のお話は児童虐待など、即刻通報して他人が介入する重要度の高いお話ではありません。
対象の親子以外、他人が助言や意見するのは難しいレベルのお話です。

また子どもの行為ですので、線引きが難しいという状況でもあります。
そもそも子どもは善悪の判断がついていないこともあります。

どちらの子どもも母親の発言を聞いて「ふーん、そうなんだ」という表情をしたと僕は感じました。
この僕の印象が正しければ、子ども側がまだ善悪の判断がついていない可能性が高いです。
それゆえ2人の母親の対応が、子どもにとって重要度を増します。

心ないしパーソナリティの内部に、種々の習慣や考え、他人や社会の規準、価値などを取入れて自己のものとすること。十分に内在化 (内面化) されたものは、もはやほかから受入れたものとして感じられなくなる。子供は発達の過程で、両親や周囲の人々ないし社会の習慣、考え、規準などを内在化し、やがてそれを自分のものとして行動する。
出典:内在化(コトバンク)

「だれかに叱られるから悪いことをしない」というのは対処療法。
その子自身が、自分の内側から判断して悪いことをやらない。
このモラルの内面化・内在化が今回の話のポイントです。

 

モラルについてコチャンスカ博士の研究グループは以下の発表をしています。
「モラルは、世話をする人との愛情関係によって自然に生まれる」

子どもは一般的には母親から一番影響を受けます。
そしてその母親が一番の安全基地(愛情理論)でもあります。
安全基地・愛着理論については以下の記事の最後に記載しています。

 

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さいごに

現代日本は多様化した社会です。
「誰もが同じ」昭和時代から「自分はコレが好き」と実践する人が増えました。
一歩間違うとそれは混沌とした社会になりそうです。

しかし「社会秩序」は、人々が生活していくうえで基本となるものです。
秩序は普遍的ではなく、時代と共に少しずつ変化することも含めて。

僕は「大人でも他人に迷惑をかけてはいけない」というのは非現実的だと思っています。
さらには子どもは迷惑をかけるのが当たり前くらいで考えています。

しかし子どもの行為は何でも許されるのか?というとNoです。
社会の中で生きていく一員として、自分勝手だけを通す事はできません。
子どもが社会のルールから外れた場合、親権者が子どもと一緒にしっかり考えることが必要だと思っています。

大人になってから「考え方」を変えるのはとても時間と労力が必要です。
あなたご自身の過去を振り返ってみると、思い当たる点があるのではないでしょうか。

子育て(しつけ)は、短期的にみると費用対効果がとても悪いように見えます。
大人が簡単なことでも、子どもは理解する時間が必要、行動自体にも時間がかかることが多いです。
そこで大人側は手を出さず我慢強く待つ、子どもに自分でやらせることは「自立・自律」につながります。

成功も失敗もたくさん積み上げて、小さなうちからしっかりと土台を作っておく。
一見、割に合わないと思えますが、長い目で見るととても理にかなったことなのです。

ではでは

◆今回のまとめ◆

母親の子どもに対する姿勢は重要
人間は認知バイアスがある生き物
しつけの費用対効果は長期視点でみると良い