はたらく車、その中でも特に建設機械が好きな子どもに刺さる絵本が『おたすけこびと』シリーズ。
なかがわちひろさん文、コヨセ・ジュンジさん絵、2018年7月現在、6冊発刊されています。
クリスマスなどの季節向け作品もあります。
シリーズ通していえるのは、こびと達が人を助けるために働く、暖かい物語です。
シリーズ全作品
書籍名 | 発行日 | ページ数 | 対象年齢 |
おたすけこびと | 2007/2/1 | 34ページ | 3歳~ |
おたすけこびとのクリスマス | 2009/10/20 | 40ページ | 3歳~ |
おたすけこびとのまいごさがし | 2011/6/16 | 38ページ | 3歳~ |
おたすけこびととハムスター | 2012/11/10 | 34ページ | 3歳~ |
おたすけこびととあかいボタン | 2014/9/1 | 38ページ | 3歳~ |
おたすけこびとのにちようび | 2017/5/27 | 40ページ | 3歳~ |
おたすけこびとの世界観
たくさんのこびとが協力、そして建設機械を使って、何かを助ける物語。
最初の見開きページで、小人が大人から依頼を受けるシーンが印象的。
小人たちが働く車に乗って、さまざまな仕事をなしとげます。
登場人物が多く、描かれる重機も多いので、読み込む楽しさもあります。
裏表紙も絵がしっかり描かれていて、ワクワク感があふれています。
鮮やかな色使いも、温かい雰囲気をかもし出しています。
ウォーリーを探せ的な要素もあり、いくつかの作品では「おたすけこびとクイズ」があります。
以下の、各作品紹介に、公式情報を記載しています。
絵本自体の文字数は少なく、字が読めない小さな子どもも楽しむこともできます。
対象年齢は3歳~5歳との事です。
ただ、大人になった僕が読んでも、なかなか魅力があります。
建設機械をこんな使い方するんだ、とその使い方の柔軟性がすばらしい。
設定などのトリビア
・作品化のきっかけは、なかがわちひろさんがが別の絵本製作のために取材したことがきっかけ
・『きょうりゅうのたまご』製作のために、重機メーカー「コマツ・テクノセンター」に取材訪問
・そのときに「こびとがミニカーでケーキをつくる」という案を思いついたことがきっかけ
・なかがわさんは発案したが重機のたくさんの線を描くのがイヤ
・線が多いほど燃える、というヨコセさんが、作画されて完成
・第1作目のアイデアが出てから、作品完成まで4年
・いまでは世界8カ国で翻訳、愛される作品
・作者のなかがわさんのお子さんが働く車好きだった
・実物の働く車をよく見せていたが、なかがわさんは興味ナシ
・母親が読んでも退屈しない働く車の本をつくりたいという想い
・料理などを小人がやってくれたら楽という発想もある
・はたらくこびとは大人ではなく子ども
・最初と最後の見返しページも楽しめるつくり
・おたすけこびとに要請ができるのはおとなだけで子どもはダメ
・子どもを笑顔にするときのみ、こびとたちは動く
・なかがわさんもヨコセさんも、このシリーズのためにケーキを作ったり、ハムスターを飼ったりしている
第1作『おたすけこびと』
▼あらすじ
子どもの誕生日に、誕生日ケーキを依頼するお母さん。
たくさんの小人たちが、黄色い重機を使ってケーキを作ります。
小麦粉をすくうショベルカー、卵を持ち上げるクレーン車。
さまざまな重機でイチゴのショートケーキをつくります。
▼感想
途中、スポンジをオーブンに入れて、スタートを押したあとに、小人さんたちが一休み。
画面いっぱいあふれる小人さんたちが、移動販売車のジュウスをあちこちで飲んで休んでいるシーン。
ヘルメットをとっているところも、リラックス感が伝わってきます。
第2作『おたすけこびとのクリスマス』
▼あらすじ
サンタクロースを助ける「おたすけこびと」のクリスマス物語。
今回はサンタさんからプレゼント配達を依頼された「おたすけこびと」。
サンタさんの家には、色も形もほんとうにさまざまなプレゼントが置いてあります。
巨大トレーラーにプレゼントを積み込み、ロードローラーで道をならす。
白い包みのプレゼントは無事に子どものところへ。
▼感想
最後のページのサンタさんの腰をさすりながら温かい飲み物を飲んでいるシーンが、その大変さを物語っています。
しかし、無事仕事を終え、ホッと一息している感じが、しみじみ伝わってきます。
窓の外でたくさんのトナカイがえらを食べているのも、ホッコリ。
第3作『おたすけこびとのまいごさがし』
▼あらすじ
今作は、おばあさんからの迷子を捜してほしいという依頼。
迷子と言っても、子猫の迷子。
雨降りの中、小人たちは重機を使って、植木鉢の下などを探します。
やっと見つけた場所は、排水溝のなか。
ヘリコプターやモーターボートも駆使して、子猫を地上に吊り上げます。
子猫は大型トレーラーで無事におばあさんのところへ帰ります。
▼感想
人間が使う大きさの傘を運んでいる重機が、前半から出てきます。
小人が使えるサイズではないので、何のために?と思っていました。
途中、子猫が休む時の屋根として使っています。
傘を吊り下げているのが、ヘリコプター。
小人さんたちの抜かりなさに脱帽です。
▼おたすけこびとクイズ
・子ネコはどこから出て行ったのかな?(1ページ)
・折りたたみ式カーとはどこかな?(2~3ページ)
・双眼鏡でさがしているこびとはどこかな?(4~5ページ)
・自転車にのっているこびとはどこかな?(6~7ページ)
・バッタはどこかな?テントウムシはどこかな?(8~9ページ)
・赤い減るペットをかぶったこびとはなんにんかな?(10~11ページ)
・ボートにのったこびとはどこかな?(12~13ページ)
・ハタをもったこびとはどこかな?(14~15ページ)
・救急車はどこかな?(16~17ページ)
・大型ヘリコプターはどこかな?バッタはどこかな?(18~19ページ)
・ミルクローリーはどこかな?(20~21ページ)
・音楽隊はどこかな?シマシマくつしのこびとはどこかな?(22~23ページ)
・チョウチョウはどこかな?(24~25ページ)
・ころんじゃったこびとはどこかな?(26~27ページ)
・ヘリコプターはどこかな?(28~29ページ)
第4作『おたすけこびととハムスター』
▼あらすじ
今回は、親指をけがをしたお父さんからの依頼。
ハムスターの家を作ってもらいたいとのことです。
クレーン車にクラップル(はさんでもちあげる爪)で丸い棒を移動して色を塗ります。
送風車で乾かし、ドリルで穴をあけたり、のみで削ったり。
小人の力だけでなく、ハムスター自身に輪っかを引っ張ってもらいます。
今回は小人以外にハムスターにも、作業を手伝ってもらう初めての展開。
▼感想
途中、随所にでてくるハムスターが愛嬌抜群。
削った木くずで遊んだり、ヒマワリの種をかじりながら作業を見ていたり。
最後のページで、仰向けで寝ているハムスターは、疲れたのでしょうか。
▼おたすけこびとクイズ
・黄色い潜水艦は どこにあるかな?
・自転車こびとは どこにいるかな?
・ポールにまちがった色を塗っているこびとは どこにいるかな?
・絵の具が服についちゃったこびとは どこにいるかな?
・ころんじゃったこびとは どこにいるかな?
・アイスクリームを食べているこびとは 何人いるかな?
・でんしゃごっこをしているこびとは どこにいるかな?
・こっちに手を振っているこびとは どこにいるかな?
第5作『おたすけこびととあかいボタン』
▼あらすじ
今回の依頼は、ウサギのぬいぐるみの目を探してほしい、というお母さんの依頼。
掃除機の中は探しましたか、という依頼受け時の女の子小人の対応もリアルっぽい。
部屋中を探す、高いところを探すときにクレーン車や高所作業車が有効。
あっさりボタンは見つかるのですが、そこでハプニングが。
小人が踏んだ板で、ボタンが飛んでいって、水槽の中へ。
無事にボタンは回収できるのか。
▼感想
今作は初めて、水の中も対象になります。
重機、ではなく潜水艇も活躍。
絵をご担当されているヨコセさんの趣味を、文担当のなかがわさんがくみ取った設定。
今作も第1作とおなじ、移動販売車で飲み物を買って休憩しているシーンがあります。
第6作『おたすけこびとのにちようび』
▼あらすじ
日曜日なのに困った亀を助けるおたすけこびとさん。
日曜日はおたすけこびとたちもお休みの日。
お弁当やおやつをもって、みんなで遊びにでかけます。
たつむりに乗ったり、バッタに乗って飛んだり、きのこに登ったり。
今作ではこびとたちの私服姿が見られます。
▼感想
絵をご担当されているヨコセさんはファッションにも興味があるとのこと。
なので、今作の見どころの一つは、小人たちの服装。
今までは制服?のような単色系でしたが、今回は個性的。
「だって、ほっとけないじゃない」というセリフ。
小人さんたちを現す、端的な言葉です。
さいごに
書籍名 | 個人的評価 |
おたすけこびと | ★★★★★ |
おたすけこびとのクリスマス | ★★★★☆ |
おたすけこびとのまいごさがし | ★★★☆☆ |
おたすけこびととハムスター | ★★★★☆ |
おたすけこびととあかいボタン | ★★★☆☆ |
おたすけこびとのにちようび | ★★★★☆ |
このおたすけこびとシリーズは、子どもが建設機械が好きなら間違いないシリーズ。
ただママさんにとっては、興味が浅いかもしれません。
それでも、ハッピーエンドストーリーということもあり、安心できる本です。
子どもの寝かしつけに絵本を読むご家庭も多いと思います。
我が家でもいくつかの本がありましたが、この『おたすけこびと』も大活躍。
我が家のこどもが働く車が好きというベースがあり、あたたかい雰囲気も良かったのでしょう。
寝床に持ち込んで、読んでは壁に並べて『次はコレ』を繰り返しまていました。
とうぜん、子ども自身も何度も読んでいるので、次のページの内容は分かっています。
それでも各ページで「ブルドーザー」とか「ショベルカー」と笑顔で指差し。
小麦粉をショベルカーがすくい上げるのは、ほぼ現実でみることはないでしょう。
それでも子どもの頭の中では、いろいろなはたらく車が動いている、と微笑ましく見ていました。
ではでは
こびとががさまざまな依頼を建設機械を使って解決
こびと達の休憩シーンも見所の1つです