安定という名の不安定

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育児・子供観察

先行き不透明で、変化スピードが加速する現代。
それだからか、子どもに安定した職に就いてもらいたい、という親も一定数います。
ですが、そもそも安定とは何なのか。
僕には公務員は、この先厳しい時代としか思えません。

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高齢者が店員にクレーム

ある日、どこにでもある100均ショップに訪れた時のこと。
僕が商品を迷っていたところ、後ろから大声が聞こえてきました。

振り返ってそちらを見ると、普通の身なりをした白髪の70歳代くらいとおぼしき男性が店員に話している。
というか、怒鳴っている。

「あんなにお客さんを待たせて、どういうつもりなんだ。
先週もここで並んでいる人を見て文句を言ったのに、今日も行列だ。
先週もバカ野郎と言ってやったのに、何にも変わっていない。」

レジを見ると、3つのレジが稼働しているが、10数人の行列が発生している。
クレームを受けている店員さんは、30歳代前半とおぼしき女性でした。
その店員さんは、たいていの店員さんの対応と同様、その高齢男性に謝りつつ、レジサポートに入りました。

僕にはその行列が、その店の日常的な状況なのか、分かりません。
ただ、最近よく見かける、高齢男性が一方的に自分の言い分をまくしたてる姿でした。
もっと言うと、たいていの場合、年齢が若い女性に対し、高齢男性が高圧的な言葉を投げつけている。

だれもが知っての通り、人は高圧的に呪いの言葉を投げつけられて、納得しません。
丁寧な言葉で、相手に受け取りやすい状況を作ってお願いされるのとどちらが効果的か。
そう考えれば、高圧的物言いの高齢男性は、何かを良くしたいのではなく、自分の思い通りに変えたいだけ。

こういうシーンを見ていて、いつも感じることがあります。
文句を言われて、それを拒否できない職業は精神的に厳しい。

文句を拒否できない職業として、最初に思い浮かぶのが公務員です。

ソニー生命調査結果の1位は「公務員」

「子どもに就いてほしい職業」の質問に対する、ソニー生命調査結果が以下です。
最初に注意点として、「安定志向が強い」情報を、僕が意識して探してきたのではありません。
2020年2月にGoogleで「子ども 職業」で検索した結果の1位の情報です。

▼男子

順位 職業名 回答数 理由
1位 公務員 88件 安定してるから
2位 会社員 29件 普通がいいので
3位 医師 27件 社会に貢献できるから
4位 エンジニア 12件 発明家になってほしい
5位 研究者 9件 ストレスなく自分のペースで仕事ができるから

▼女子

順位 職業名 回答数 理由
1位 公務員 68件 仕事と生活を両立しやすいから
2位 看護師 28件 命の大切さを学べるから
3位 医師 21件 医療を通して、人助けしてほしいから
4位 薬剤師 20件 安定しているから
5位 教師 15件 人と触れ合いお互い成長できす仕事だから

出典:子どもに将来就いてほしい職業(ソニー生命)

・調査期間は2019年1月12日~1月16日間
・大学生までの子どもがいる20歳以上の男女
・インターネットリサーチ、1,000名の有効サンプルの集計結果

「安定」を前面に押し出したようなラインナップで、昭和時代を彷彿とさせます。
このアンケートを取ったのは2019年(令和元年)なので、昭和、平成、令和と2つの年号を超えても変わっていない。
そう考えると、シュールです。

この回答者人は「子ども」本人ではなく「親」です。
その親が昭和後期から平成生まれと考えると、安定が正義と考える人が多い理由にはなります。
人がどんな考えや生き方なのかは自由で、だれかが介入することではありません。

だた、この思考を親が自分の子どもに押し付けるのあれば、子どもの未来は暗澹たるものです。

「安定」と「心理的安全」はまったく別

公務員や大企業に所属することが、すべての人に不向きとは思っていません。
大きな組織も千差万別なのは当たり前で、保守的なところもあれば先進的な組織もある。

現代の最先端IT企業であるGoogleも、正社員だけでも10万人以上と、数字だけなら大企業。
ただ、この企業にいて安定を求めている人は、僕がGoogle社と仕事をした経験からも皆無です。

Google社はあくまで、自己実現する場所の1つで、実際数年するとほぼ、担当者は総入れ替えです。
Google社内の社員同士で、ベンチャーを立ち上げすぐに閉鎖することも含め、彼らは身軽です。

「心理的安全」が組織が活性化する最大要因とGoogleが結論付けている通り、心理的安全は必要です。
何かやろうと思って、企画立案し進めてるときに、失敗を受け入れられない環境は厳しい。
この失敗受容度が、旧態依然とした組織は低いと僕は感じています。

それを理解したうえで、就職や転職するとき、大企業を選ぶのもあり。
公務員や大企業に入ることで、何を得られどんな危険があるのか。

変化を察知し、適応しつづける能力は重要です。

プログラマーやユーチューバーもいるが

次に以下が、2020年2月にGoogleで「子ども 職業」検索結果の2位と3位の結果です。
Google検索結果が適切な表示かどうかはここでは考えず、単純に情報ソースに恣意性がないことを言いたいための2位3位の情報です。

13歳のハローワーク(2020年2月) イー・ラーニング研究所(2020年)
1位 プロスポーツ選手 経営者
2位 ゲームクリエイター プログラマー・ゲームクリエイター
3位 薬剤師 その他
4位 保育士 アーティスト
5位 看護師 学者・研究者
6位 医師 スポーツ選手
7位 美容師 公務員
8位 パティシエ 医者
9位 建築家 教師
10位 獣医師 ユーチューバー

出典:年末年始の習い事アンケート(株式会社イー・ラーニング研究所)
出典:人気職業ランキング(13歳のハローワーク)

上述の1位のソニー生命の結果とは、公務員的なところは同じですが、現代ならではの職業が顔を出しています。

13歳のハローワークは、期間内のアクセス数・ユーザー数等を元に順位づけされているので、子ども本人なのか、親チョイスなのか分かりません。
1位の「プロスポーツ選手」は昔から子どものあこがれの職業でした。
2位が「ゲームクリエイター」というのが、現代的です。

Google検索結果3位のイー・ラーニング研究所(2020年)は、回答者が親です。
その1位の「経営者」は、僕には予想外でした。

そもそも「経営者」を職業と捉えている時点で、大人視点かつ一定の組織経験者と考えられます。
ただ、その道は険しいと分かっている気もしますが、なぜか1位。
現代の経営者が、のんびりできると思っている人は、組織運営の孤独や厳しさを理解していないでしょう。

2位の「プログラマー・ゲームクリエイター」は13歳のハローワークと同率。
10位の「ユーチューバー」が、最新の象徴だと感じます。

クレームを拒否できない職業の筆頭が公務員

ここまで、子どもに就いてほしい職業、子どもがなりたい職業に寄り道しました。
話を戻して、僕は「公務員ほどクレームを拒否できない職業はないのでは」と思っています。

役所でクレームで怒鳴り込んでくる一般市民がいても、それを無下にできない。
少しでも職員側に落ち度があったら、ネットに拡散され炎上に発展する危険性もある。

救急車の出動回数や、110番通報が毎年増加しています。
しかしその内容は、救急車のタクシー替わり使いや、ゴキブリ退治呼び出し。

それに対して、苦笑いしかできないような世情。
公務員は1度、公務員となると安定はしていますが、精神的に安定するのか僕には思えません。

毎日、利己主義的なクレームばかり処理されされたら。
一昔前なら少なかったと言われる(僕はその正当性が分かりません)、自分本位の人々の対応ばかりだったら。

教師が児童の親の顔色をうかがう姿勢を見ても、コレが理想的な環境なのだろうか、と僕は感じています。

クレーマーにノーの時代

一般企業はクレームを拒否できるのか。
まだ日本は「お客様は神様」と考える人もいるので、嫌な顧客を断ることは一定の条件が必要かもしれません。

それでも徐々に、顧客優先から雇用者へパワーシフトは始まっています。
企業側はモンスタークレーマーによって、社員をつぶされないために、一定まで譲歩してそのラインを超えたらノーと言う。

考えれば当たり前です。
雇った人を「使える」状態にするまでのコストは大きく、社員のことをそれなりに考えても、転職者優位の時代。
僕の身近にいるカスタマーサービス担当者は「これがスタンダードになりつつある」と話しています。

近江商人の「三方好」が、普通に考えて当たり前だと、僕は考えています。
「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」

お客様は神様ではないし、企業側も売ってやっているんだ姿勢も違う。
神様が現世のちっちゃいことにクレームを上げる姿を想像するだけで、クスっとします。

お客様と企業側、どちらも敬意を持って取引をする。
企業側はお客様の気持ちを汲み取り、一歩入り込んだサービス提供ができたら満点。

モノ溢れの時代、感動サービスは企業発展の種になります。

さいごに

以前、僕はある駐車場で、車をぶつけられました。
相手は60歳代後半の男性で、相手に100%非がある状況です。

警察官が現場検証して、状況を客観的に相手男性に話してもそれを認めず。
警察官がなだめても効果はなく、逆に激高して、警察官にもつっかかるようなシチュエーションでした。

そういう高齢男性を見ていると、これは子どもが見たらアウトだなと思ってしまいます。
論理的に考えて自分が悪いのに、論点をすり替え、相手や第三者を言葉汚くののしる。

子どもが見ている見ていないは関係なく、親の生き方は子どもに大きく影響します。

その場には激高した高齢男性の奥様もいて、終始平謝り。
昭和初期の奥様の我慢強さは、そういう時代だったとはいえ、敬服です。

現代の女性には、現代ならではの悩みはあり、それに素早く適応する女性の社会性の高さは、いつの時代も不変だと感じます。