寄せ書きがいまの時代、使われているか。
Google検索数でみるとやや増加しており、これがコロナ過で物理接触が制限されたのがプラスになったのかは不明です。
送別会の開催希望は約半数でも、メッセージを受け取って嬉しいと感じる人は約8割。
定型句も時と場合で使い分けつつ、大切な人へのメッセージは思い悩んで、凝縮させすぎるくらいがちょうどよいものです。
寄せ書きの検索数はやや増加
いま、僕の近辺で退職者が出ると、周辺メンバーあてに「寄せ書きを書きませんか?」案内が届きます。
昔あった色紙に直筆で書くものではなく、ネットサービスを利用しての案内です。
昭和時代は、色紙で書いて次の人に回す物理的な移動がありましたが、寄せ書きもいまはネット完結。
個人情報登録の必要もなく、書きたい人は自分の好きなタイミングで記入できます。
幹事側は締め切り後に取りまとめて、有料ですが物理的にプリントアウトして退職者に渡す。
ここがサービス側が利益を上げる箇所で、3,000円程度のものを僕はよく見かけますが、妥当だと感じます。
コロナ過で、物理的な集合が減った社会情勢としてもマッチしています。
直筆の特徴として思いつくのが、字のうまさ・下手さ。
字が汚い人は書く行為自体を嫌がり、その点でもネットで良いと考える人が多いような気がします。
振り返ってみると、オフィスワーカーは特に字を書く機会が減りました。
寄せ書きはコロナ過で増減したか。
直接情報ではありませんが、Google Trendsの検索数情報が以下です。
検索語は「寄せ書き」で、期間はコロナが広がる前の2019年1月~2022年4月です。
Google Trendsの見方は、該当期間内で一番検索数が多かった時期が100になります。
この中で、一番「寄せ書き」検索数が多かった(グラフで一番高い100)は、2020/8/16~8/22。
東京オリンピックの時期、寄せ書きが流行っていたようです。
4月はじまりの会社なら4月前の異動時期、学生は3月が卒業なので、通年は3月~4月が寄せ書きのピークです。
このグラフ内で2019年~2022年の3月の値が以下。
(2020年8月のオリンピック時期が最高値の100と比べ)
2018年=83
2019年=60
2021年=85
2022年=90
2019年はコロナ過初年度で、手探り状態で低かったのか分かりませんが、一段低い結果。
それ以降の2021年と2022年は検索数が増加しているので、寄せ書きの関心度が増えています。
送別会開催は半々、寄せ書きはウェルカム
離職時や異動時に送別会を開催してもらいたいかのアンケート結果がありました。
出典:モノレコ編集部「送別会」に関する調査(モノレコ by Ameba)
このアンケートの回答属性は20代から50代以上までの男女1,174人なので、偏りはなさそうです。
アンケート実施時期が2020年3月実施なので、コロナをすでに経験している時期。
物理的に出社しているのか、在宅勤務(リモートワーク)かの情報がないので、そこは不明です。
この上で、男女別の結果を見ると約半々。
どちらの性別も、やってほしい人もそうではない人もいる。
出典:モノレコ編集部「送別会」に関する調査(モノレコ by Ameba)
寄せ書きをもらってうれしいかの質問に対しては、嬉しいと感じる人が大半。
女性=84.94%、男性が76.95%と、やや女性が嬉しいと感じていり人が多い結果です。
色紙に書くメッセージに悩んだ経験は7割強
送り出す人にメッセージを書くのに、内容を悩むか。
出典:女性100人に送別メッセージについてアンケート結果(noel)
悩んだことがある人は72%と、7割強です。
関係性が低い人に対し、書くエピソードを思いつかいないのは、想像に難くありません。
そうなると、定型句を使う。
使いまわし例として、一緒に働いたプロジェクトを上げたり、その時の助かったなど。
相手が目上かどうかも、内容に影響します。
よく出てくるフレーズとして、いろいろ教えていただきました、のようなもの。
締めの言葉として、ご活躍をお祈りしますなど、未来に向け羽ばたくイメージの表現も頻出します。
周囲の人が、どんな内容(温度感)を記載したのかを見て、自分の文章を決める人もいます。
定型句だと、貰った側があらぬ詮索をしてしまうこともあります。
無理やり書いてもらった感、本当はそんなに関連もなかったが断われずに書く側に負担をかけたのかといぶかる。
取りまとめ役の見地から考えると、全員の関係性の深さをキャッチできている人は存在しません。
その結果、対象者と関係性があったと思われる人たちに広めに声がけしつつ、絶対書いてくださいプレッシャーを与えない配慮は良策です。
足りないくらいがちょうどよい
自分が寄せ書きを受け取った時、記憶に残る内容か。
僕はこの視点から、メッセージを送る時には「人が書かなそうな小さな相手の特徴」を、書くようにしています。
ある時、僕のところに仕事でわずかにかかわった人が離職するので、寄せ書きいかがですか、が回ってきました。
その人とは、業務で数回、話す機会がありましたが、印象は薄く特徴が思い出せない
ふと、その人と何かの懇親会で隣の席になったとき、その人(男性)が男のお子さんと一緒にミニ四駆に夢中になっている話を、自分の記憶から発掘しました。
見せていただいたスマホ内の写真からは、相当の熱量を感じるミニ四駆で、その話題について饒舌に話すシーンが印象に残っていました。
結果、僕はその人へのメッセージは「ミニ四駆をお子さんと熱中している姿勢がとても印象的で、良いことだと思う」的な内容にしました。
自分が受け手だったとき、定型句を貰っても僕は記憶に残りません。
苦手な人向けに、あえてこちらを空気と認識(関係性を清算)するために、定型句を戦術的に使っているのか、と穿った見方をすることもあります。
大人になって中年を過ぎれば、離職者とその先の人生でかかわりを持つことはレアケース。
ゆえにコスパ思想と言うか、定型句で短時間に終わらせるのも分からなくはない。
自己満足と言われても、わざわざメッセージを送るなら、引っかかりのあるものを模索する。
記憶を探るその時間も、メッセージを贈る前のメッセージ時間です。
受け取った側が、無理させちゃったなと思うような微妙な内容なら、メッセージを贈らないのも立派は配慮です。
コロナ過になって、ネット検索数が年々増えているのは、そのサービスの便利さの浸透は1つにある気がします。
それ以外に、コスパだけで良いのかというカウンター思想も、よく聞くようになりました。
書き手の想いをすべて書くのも、読む側にはプラスに働くよりもマイナス影響になり勝ちです。
たくさんの印象深いエピソードの中から、厳選したものを端的な表現でつづる。
送り手がだれだったか思い出せなくとも「昔、こんなメッセージをいただいて、いまも忘れられない」のようなものは、好きな格言と同じく、蜃気楼ではありません。
さいごに
本当にお世話になった人や感謝を伝えたい人は、寄せ書きで終わることはないと思っています。
いま、直筆の手紙は化石レベルとなり、文章をパソコンで作成してサインする物理的な手紙は残っていますが、最近のあいさつの主流はネット経由です。
それでもメールやSNSメッセージであっても、想いを感じる文章は存在します。
受け取った読み手が、読み直したくなる、返信せずにはいられないもの。
ある意味、読み手に負担をかけていますが、それは幸せな時間です。