いまのお墓の主流は樹木葬

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統計データ

お墓をどうするのか。
自分達のお墓もそうですし、先祖から続くお墓があれば、それを継続するのか。
多死社会のなか、墓地数や火葬場は減っています。
お墓に対する時代の趨勢は、負担をかけない流れになっています。

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高齢者・核家族化は進行している

この文章はお墓の話題なので、まずは日本の人口動態を見てみました。


出典:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 (e-stat)
出典:人口推計 2022年(令和4年)3月報 (総務省統計局)

2022年の死亡数は145万人で戦後最多、この統計内では1918年の最高値149万人に近くなっています。
そして、この先の未来予測が以下です。


出典:人口推計 2022年(令和4年)3月報 (総務省統計局)

中位の未来予測ですが、2040年がピークで166.9万人です。
2022年に比べ23.7万人、15%増加しています。


出典:人口推計 2022年(令和4年)3月報 (総務省統計局)

世帯構造の変化も、お墓にかかわってきます。
単独世帯や夫婦のみ世帯は、1986年と2019年を比べると2倍以上に増加。
核家族化の進行で、地方の親元を離れ都市圏へ移住し、お墓は実家近くというのはよく聞く話です。
三世代世帯は純減しており、1986年と2019年を比べると45.6%と半数以下になっています。


出典:人口推計 2022年(令和4年)3月報 (総務省統計局)

補足になりますが、高齢化世帯情報が1つ上の情報元にあったのでグラフ化しています。

多死社会だがお墓の数は減っている

日本で1900年以降、年間最小死亡数だった年は1966年の670,342人。
それ以降、増え続けて現在に至っています。
1990年から前年比でわずかに下回る年もありましたが、全体傾向は右肩上がりでした。


出典:衛生行政報告例 (厚生労働省)

上記が1996年以降の墓地と納骨堂の推移です。
墓地は1996年が89万6千件、2020年は86万8千件(96.8%)。
約2万8千か所の墓地がなくなっています。

納骨堂墓地は1996年が1万2千件が、2020年は1万3千件(109.0%)。
約1千か所増えています。

墓地+納骨堂の合算は1996年が90万8千件、2020年は88万1千件(97.0%)。
約2万7千か所、減少しています。

墓地の数が減っても、1つの墓地が拡張しているケースはあります。
死亡者数が増えて、墓地数が減っているので、基本は拡張が多くなっていると予測できます。


出典:衛生行政報告例 (厚生労働省)

多死社会ですが、火葬場の数は減っています。
1996年は8,481、2020年は4,082(48.1%)、半数以下になっています
「火葬場待ち」の言葉を聞く時代になりましたが、その理由として納得の情報です。

墓地を新たに作るのに地域住民の合意が得られにくいのと同じく、火葬場の新設も場所が限定されそうです。

いまの主流は樹木葬、墓じまい認知は7割以上

近年の情報として、どんなお墓を準備しているか。


出典:【第13回】お墓の消費者全国実態調査 2022年 (いいお墓)

上記は、2018年から2022年の4年間ですが、大きな動きがあります。
一般墓が46.7%から25.8%に減少、2022年の全体中1/4になっています。
かわりに2022年に全体1位になったのが樹木葬(じゅもくそう)で、16.6%増加して41.5%。

参考:樹木葬とは(いいお墓)

樹木葬の特徴として、墓石がないため管理しやすい点が上げられます。
お墓の継承者がいなかったり、子どもが遠方在住など、現代の社会情勢に即した埋葬方法です。

また、別の情報元ですが「お墓じまい」に関するアンケート結果があります。
このアンケートは2022年4月に、取られたものです。

参考:お墓じまいとは(小さなお葬式)


出典:【墓じまい】75.1%は、自分が亡くなった後に墓じまいされても「気にならない」(日本トレンドリサーチ)

「墓じまい」の言葉を知っている人は72.8%。
検討したことがある人は20.3%。

少なくとも1/5の人が、お墓をどうするのか検討しています。

負担をかけたくない

「効率化」や「断捨離」でひとくくりにするのは乱暴ですが、何をするにも必要かどうかを考える時代です。
背景には、超個人社会の進行や、やることが多くどこに注力するか判断せざるを得ない追い立てられ感がある。
「昔からやっている」は理由として弱く、やめてしまって問題があるのかをフラット目線で判断します。
年賀状の衰退は、その典型例です。

お墓をどうするか。
自分達夫婦だけのお墓を新しく購入するのであれば、必要度は低い。
先祖代々のお墓が残っている場合、墓じまいできるかというと難易度は高い。

一般論なら、年齢が高いほどお墓に対する想い入れが強く、若年層ほど縛られたくないと考える人が多い。
また、地域性もあり、たとえば沖縄のお墓は立派なモノが多く、予想ですが想い入れも強い。
逆に地方から東京に出て居を構えた人は、物理的にも精神的にもお墓が遠くなる。

「家を継ぐ」とか「一族の名前を残す」発想は、現代日本ではマイノリティです。
身の回り観測なので一般ではありません、僕の周りで家を継ぐことを重要と考える人はいません。

家を継ぐことについて僕の身近なわずか一例ですが、東北地方出身で兄弟構成としては長男の知り合いが、以下のような話をしていました。
「長男なので家を継ぐのも絶対にないわけではないが、何より地方は仕事がない。
いま、家族で東京に住んでおり、Uターンは現実的には可能性がほぼない。帰りたくない。」

僕も地方出身の東京在住者で、地方の実家近くにお墓があります。
親からは、墓は自分たちが死んだらお墓じまいして良い、と言われています。
この状況なら、墓じまいするとしても気持ちは軽い。
これが、親がお墓への思いが強いなら、お墓撤去に躊躇します。

地方に住んでいる親が、子どもに負担をかけたくない話はよく耳にします。
300年前は個人よりも家が優先されていたようですが、いまの高齢世代ですら家名を残すことも重視していない。

僕自身、自分が死んだらお葬式もお墓も不要と、自分の家族に言っています。
家名を残す必要がなく、自分が死んだ後に残された人たちへの現実的な負担は、限りなく低くしたい。

わが家の子どもの記憶の片隅に、父親の想い出の残滓があるくらいで十分。
法事も不要、お盆だから霊が戻ってくるから準備のような配慮も不要。
僕がそういうものを重視していない、その流れです。

「仏ほっとけ神構うな」の軽口が理想です。
神や仏をあてにしない、わが家の子どもには自分の人生を楽しんでほしいと思っています。

さいごに

お墓じまいをして、1つ影響として思いつくのは、帰郷理由がなくなる点です。
地方にお墓があれば、墓参り・墓掃除が帰省理由になります。
とは言え、いまはお墓掃除も外注できるので、墓掃除自体はお金で解決できる時代ではあります。

僕は車の運転が好きなので、宿泊を伴うドライブがてら墓参りを、やっても良いと思っています。
僕の義父が、半年に1回ペースで、ドライブがてらお墓詣り帰郷を、いまやっています。
途中の定宿に一人で泊まって一杯やるのが楽しみ、と言うのは良い老後です。