漸減中のコーヒー、現代社会でのその立ち位置

スポンサーリンク
統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・日本のコーヒー消費量はここ27年でマイナス15%、
・2016年をピークに減少期に入っている
・年齢別にみると年齢が高いほどコーヒー飲用回数が多い
・コーヒータイプ別にみるとインスタントコーヒーが1位だが、レギュラーコーヒーが近い2位
・飲用場所は自宅が圧倒的1位で、外での飲用が減っている
・喫茶店は1980年が最多、1990年に大きく減って、以降も減少し続けている
・喫茶店の数、都道府県別では大阪が1位、兵庫も4位と関西圏が多い
・国別コーヒー消費量、日本は最下位グループ

スポンサーリンク

コーヒー消費量は2016年がピーク

日本国内のコーヒー消費量
出典:日本のコーヒー需給表(全日本コーヒー協会)

上記は日本国内のコーヒー消費量推移です。
全体傾向は2016年まで少しずつ増加して、それ以降は減少しています。

日本の人口のピークは2008年で、コーヒー消費のピークは2016年の472,535トン。
2016年と2023年を比べるとマイナス70,622トンで、前後比85.1%。
人口減少幅より、消費量減少が上回っています。

コーヒー供給量
出典:日本のコーヒー需給表(全日本コーヒー協会)

上記は日本国内のコーヒー供給量です。
流れは1つ上の消費量を同じで、コーヒー供給のピークは2016年の672,883トン。
それ以降は減少しており、2016年と2023年を比べると、マイナス110,595トンで前後比83.6%。

ほかに、日本国内消費より供給が約25%、余分(在庫)がある状況が続いています。
グラフ内の一番下の青色部分が期首在庫で、徐々に増えているのが分かります。

コーヒーを飲む人は高齢者男性が多い

コーヒー 1週間当たり飲用杯数 男女・年齢別
出典:日本のコーヒーの飲用状況(全日本コーヒー協会)

 

上記は1週間当たりの年齢・男女別のコーヒー飲用杯数です。
年齢が高いほどコーヒーを良く飲んでおり、男女を比べると男性の方が高い。
細かい数字なのでグラフからは読み取れませんが、中・高校生でも男性は5.71杯、女性は5.7杯です。

女性は18~24歳が一番低く、1週間に飲むコーヒーの量は3.89杯。
その後、40~59歳になると一気に増え10.97杯。
働き盛りであり子育て期に当たる時期は、コーヒーを飲む量が他と比べて少ない。

男性は右肩上がりの上昇しています。
60歳以上で、1週間当たりのコーヒー飲用杯数は12.27杯。

 

コーヒー 一人1週間当たり飲用杯数 タイプ別
出典:日本のコーヒーの飲用状況(全日本コーヒー協会)

上記は、1週間当たりコーヒー飲用杯数、タイプ別の情報です。
「インスタント」「レギュラー」「リキッド」「缶」の4分類で、インスタントが1位。
次いで近年伸びている「レギュラー」が2位。
「缶」は右肩下がり傾向で、2022年には最下位です。

コーヒー 一人1週間当たり飲用杯数 飲用場所別
出典:日本のコーヒーの飲用状況(全日本コーヒー協会)

上記は、コーヒーをどこで飲むのかの情報です。
「家庭」が圧倒的の1位で、コロナウィルス以後も(当たり前ですが)増加しています。

コロナ過で減ったのが「職場・学校」でのコーヒーを飲む回数。
2002年は2.5杯が、2022年は1.76杯と-0.74杯になっています。

そして、2002年と2022を比べて、最も減っているのは「喫茶店・コーヒーショップ」です。
2002年は0.34杯が、2022年は0.2杯と前後比58.8%。
これも、コロナ過でマイナス影響を受けた分類です。

デカフェコーヒーの輸入推移
出典:デカフェコーヒーの輸入推移(全日本コーヒー協会)

トレンド情報に当たりますが、上記はデカフェコーヒーの輸入推移です。
コーヒー消費は減りつつありますが、デカフェコーヒーは伸びています。
2002年は595トンが、2022年は3,837トン、前後比645.1%と約6.5倍。
カフェインのデメリット認知が広まったのが原因か分かりませんが、デカフェの需要は増えています。

喫茶店は関西圏に多い

喫茶店の事業所数及び従業員数
出典:喫茶店の事業所数及び従業員数(全日本コーヒー協会)

上記は、喫茶店の事業所数及び従業員数情報です。
喫茶店数のピークは1981年の154,630店、同年の従業員数は575,768人。

1981年と2021年を比べてみると、店舗数は-95,961店(37.9%)、従業員数は-268,075人(53.4%)。
グラフの流れを見ると、1990年代に一気に減って、その後も微減を続けています。

都道府県別 喫茶店数
出典:都道府県別 喫茶店数、一店舗当たりの人口(全日本コーヒー協会)

上記は都道府県別 喫茶店の数です。
1位は大阪、2位は愛知、3位は東京。
愛知県の喫茶店の「モーニング」文化から考えて喫茶店数が多いのは納得ですが、その愛知を抑えて大阪が1位。
大阪の隣の兵庫も4位に位置しており、関西圏は喫茶店の数が多い地域です。

都道府県別 喫茶店数・一店舗当たりの人口
出典:都道府県別 喫茶店数、一店舗当たりの人口(全日本コーヒー協会)

上記は都道府県別 喫茶店数・一店舗当たりの人口です。
3大都市圏の喫茶店の数が多いのは、そもそも人口が多いので当たり前ですが、このグラフはその都道府県の1店舗当たりの人口数です。

結果は、東北や九州が高く、日本の真ん中に位置する都道府県が低い。
1位は茨城、2位は千葉、3位は埼玉。
低い方から1位は高知、2位は岐阜、3位は和歌山。
3大都市圏は、低い部類に属しています。

世界でみると日本はコーヒーを飲まない国

世界の一人当たりコーヒー消費量 2021年 kg/1人/年
出典:世界の一人当たりコーヒー消費量(全日本コーヒー協会)

上記は世界の一人当たりコーヒー消費量情報です。
2021年の情報で、1人が年間にどのくらいのキログラム、コーヒーを引用しているか。

圧倒的1位はルクセンブルク、2位以下を大きく引き離しています。
イタリアはエスプレッソが有名ですが、このグラフ内では下から4番目に位置しています。

日本は下から2番目で、最下位は英国。
日本は緑茶、英国は紅茶が、代表的な飲み物として存在しています。

コーヒー価格 世界推移(先物価格)
出典:ICO指標価格、ニューヨーク・ロンドン先物価格(全日本コーヒー協会)

上記は、コーヒーの先物価格の推移です。
2021年と2022年は大きく価格が上昇していますが、コロナ過やロシアのウクライナ侵攻、パナマ・スエズ2大運河の運行困難で物流が厳しくなり、価格上昇したことが予想できます。

コーヒーは現代社会ではスイッチ切り替え装置

在宅勤務になると、生活習慣が変わります。
僕はコロナ過で在宅勤務になり、周囲の同僚の話を聞いても変化は人それぞれですが、出社していたころに比べるなら大きな変化を皆、感じています。
出勤のための移動時間がなくなるだけでも大きな時間の使い方の差になり、オフィスで物理的に顔を合わせなくなったための工夫も必要になりました。

僕は出勤していたころ、朝に出社後、コーヒーを1杯飲んでいました。
たまに飲むのではなく、平日にオフィスに出社した時はほぼ100%。
出社してPCを起動し、メールやチャットツール返信など終えて、本日のタスク全体像をイメージしたくらいの後の息抜き習慣でした。

人間の集中力があまり続かない点を踏まえ、自ら強制的に切替えるため、気分転換しつつ熱いコーヒーを飲む。
コーヒーはオフィス備え付けの、ボタンを押すと豆を自動で挽いてコーヒー1杯分を抽出してくれる機械です。
挽きたてでもあり、味は多分美味しい方だと思っています。
スターバックスほどのクオリティではなくとも、酸味や苦みの特徴をあえて抑えた味。

シンプルなコーヒーを一口飲む。
熱すぎないのは理解しているのですが、我慢できるギリギリの熱さの苦い液体が口中に広がります。
一口飲み下した後に自然に出てくる「ふーっ」という言葉ともつかない吐息。
リラックスであり、リフレッシュでもある。
これが、僕にとってコーヒーを飲む最大の目的です。

熱い飲み物であるなら、紅茶でも良いのではないか。
たまに紅茶であったなら良いですが、コーヒーの苦さが自分の身体にしみついてはいる。
架空想定ですが、コーヒー禁止法が施行されても禁断症状が出ない自信はありますが、外出先での温かい飲み物筆頭はコーヒーです。

味覚の中で苦味が好きかと聞かれれば、薬味的なものであれば好きですが必要度は低い。
なのになぜ苦味の極致のコーヒーを飲むのか。
カフェインのマイナス点も踏まえるなら、回答はコーヒーが僕の日常に溶け込んでいるとしか言えない。
付け加えるなら、大人の飲み物に分類されるからではあります。

自分がコーヒーを飲み始めたのは、高校生の時でした。
その時、仲のよかった友人がブラックコーヒーを飲んでいるのを見て「なんて大人なんだ」と思い、「俺も飲んでみる」とトライしました。
しかし、飲んだ黒い液体(ブラックコーヒー)は「苦い」だけで少しもおいしくない。
友達の手前、飲み干さないとカッコ悪い自意識全開で無理やり飲み下しましたが、その後こっそり水を飲んだ記憶があります。

以降、ブラックコーヒーをスマートに飲める大人にあこがれ、ミルクや砂糖を入れたコーヒーで徐々に体を慣らして、やがてブラックがおいしく感じられるようになりました。
ブラックコーヒーを飲めても大人ではないのですが、若気の至りでもあり、味覚の変化の一例です。

飲みなれてくると、少しだけコーヒーの味も分かるようになる。
スターバックスのコーヒーはらしい味がしますし、ドトールもとがっていないシンプルなおいしさ。
コーヒー専門店で、目の前でプロが淹れてくれるコーヒーの味の奥深さも格別です。
世界中でこれだけ需要がある飲み物、そのバリエーションは広大です。

僕は仕事で客先訪問する時、遅刻しないようお客様先の最寄り駅に早めに到着し、喫茶店に入ります。
約束時間に遅刻しないが最大の目的ですが、商談前の準備やリラックスのためでもある。

コーヒーは自分の慣れ親しんだ飲み物で、街中に喫茶店が存在します。
様々な意味で、コーヒーは現代社会に溶け込んでいます。

さいごに

僕はコロナ過で在宅勤務になり、オフィスで飲んでいた時の継続で、自宅でコーヒーを飲むようになりました。

独身時代は自宅ではほとんどコーヒーを飲みませんでしたが、たまに飲むとしてもインスタントコーヒー。
頻度が低いので、買ってあるインスタントコーヒーの粉が固まっていることもしばしばでした。
それがいま僕には家族がおり、僕の奥様もコーヒーを飲むので、ドリップコーヒーを飲んでいます。

そんなコーヒーですが、嗜好品だと僕は分類しています。
決して身体に良いものではなく、タバコやお酒と同じく、人体にはマイナス影響もありつつ精神的にプラスになるもの。

時代は少しずつクリーンになっています。
自分の中で、マイナス影響の物に対してのハードルも(自分で)上がっていく。

かわいい次元の発想ですが、いまはほんの少し悪いことをしている意識を持ちつつコーヒーを飲んでいる。
「清濁併せ飲む」表現が妥当か分かりませんが、コーヒーは人間らしいと思っています。