旅行者減少で宿泊費上昇の昨今、長い目で見れば旅のコスパは良い

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・日本人の国内旅行人数はコロナ過蔓延前に比べ-15.2%
・1人1回あたりの旅行費用はコロナ過蔓延前に比べ+17.9%
・訪日外国人を含めた国内旅行費は増加している
・日本人の海外旅行者は2019年比で半数以下
・訪日外国人の消費額は伸びている

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日本人の国内旅行者はコロナ前に比べ-15.2%

日本人国内延べ旅行者数
出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は日本人の国内延べ旅行者数情報です。
宿泊と日帰りを足した全体では、2014年59,522万人、2023年49,758万人。
コロナウィルス蔓延前の2019年と2023年を比べると、-15.2%と減っています。

国内宿泊旅行の人数は、2019年31,162万人、2023年28,135万人、前後比90.3%。
国内日帰り旅行の人数は、2019年27,548万人、2023年21,623万人、前後比78.5%。
宿泊旅行より日帰り旅行が減っています。

 

2014年 2023年 前後比
国内宿泊 国内日帰り 海外旅行 国内宿泊 国内日帰り 海外旅行 国内宿泊 国内日帰り 海外旅行
9歳以下 46,476 千人 21,693 千人 461 千人 36,601 千人 14,480 千人 212 千人 78.8% 66.7% 46.0%
10代 39,959 千人 18,318 千人 902 千人 37,911 千人 14,742 千人 653 千人 94.9% 80.5% 72.4%
20代 68,617 千人 30,793 千人 2,625 千人 71,647 千人 26,498 千人 1,851 千人 104.4% 86.1% 70.5%
30代 84,375 千人 38,907 千人 2,514 千人 60,505 千人 23,848 千人 1,163 千人 71.7% 61.3% 46.3%
40代 102,631 千人 51,794 千人 3,664 千人 81,185 千人 35,847 千人 1,252 千人 79.1% 69.2% 34.2%
50代 94,232 千人 52,123 千人 3,085 千人 85,046 千人 39,773 千人 1,795 千人 90.3% 76.3% 58.2%
60代 86,901 千人 45,209 千人 2,597 千人 61,427 千人 28,199 千人 1,488 千人 70.7% 62.4% 57.3%
70代 57,778 千人 31,144 千人 825 千人 45,956 千人 22,806 千人 841 千人 79.5% 73.2% 101.9%
80代以上 14,252 千人 7,896 千人 243 千人 17,297 千人 10,035 千人 208 千人 121.4% 127.1% 85.6%

出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は年代別の延べ旅行者数、2014年と2023年の比較です。
国内宿泊旅行は、2014年と2023年と比べて2023年の方が上回っているのは、20代104.4%と80代以上121.4%。
国内日帰り旅行は、2014年と2023年と比べて2023年の方が上回っているのは、80代以上127.1%。
海外旅行は、2014年と2023年と比べて2023年の方が上回っているのは、70代101.9%。

他に気づく点として、9歳以下と30代が2014年と2023年と比べて他の年代より下落率が高い。
子どもとその親世代の旅行が減っています。

旅行者は減っても旅行消費額は増えている

日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出(旅行単価)
出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は日本人の国内旅行、1人1回あたりの旅行支出金額です。
宿泊と日帰りを足した全体では、2014年30,947円、2023年44,034円。
コロナウィルス蔓延前の2019年と2023年を比べると117.9%と約18%増えています。

国内宿泊旅行のみの支出額は、2019年55,054円、2023年63,253円、前後比114.9%。
国内日帰り旅行のみの支出額は、2019年17,334円、2023年19,027円、前後比109.8%。
グラフを見れば分かりますが、両方増えていますが宿泊旅行費用の方が日帰り旅行より増えています。

旅行消費額の推移(2014~2023年)
出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は日本国内の旅行消費額で、訪日外国人も含まれています。
このグラフの期間内の最高値の年は2023年の28.1兆円、2024年はそれを上回る予想です。
2020年から2022年はコロナ過で異常値ですので、それを除くなら旅行費用は増額し続けています。

旅行消費額の推移 旅行分類別
出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は旅行費用に関する情報で国内宿泊、国内日帰り、日本人の海外旅行、訪日外国人旅行のそれぞれの推移情報です。
インバウンド需要が伸びていますが、それでも全体で見ると日本人国内宿泊旅行が最多です。
インバウンド消費額は増加していますが、2023年情報では日本人国内宿泊旅行とインバウンド消費額を比べると、前者が約3.3倍です。

日本人国内宿泊旅行は、2019年17.2兆円、2023年17.8兆円、前後比+0.6兆円で103.5%。
日本人国内日帰り旅行は、2019年4.8兆円、2023年4.1兆円、前後比-0.7兆円で85.4%。
日本人海外旅行(国内分)は、2019年1.2兆円、2023年0.9兆円、前後比-0.3兆円で75.0%。
訪日外国人旅行は、2019年4.8兆円、2023年5.3兆円、前後比0.5兆円で110.4%。
日本人の海外旅行者が減少、訪日外国人が増加はいまよく聞くニュースです。

旅行消費額 2014年比 2014年起点
出典:旅行・観光消費動向調査(観光庁)

上記は旅行費用に関する分類別情報で、2014年を100とした時の推移です。

2014年と2023年を比べると、日本人国内宿泊旅行の前後比は103.5%。
2014年と2023年を比べると、日本人国内日帰り旅行の前後比は85.4%。
2014年と2023年を比べると、日本人海外旅行(国内分)の前後比は75.0%。
2014年と2023年を比べると、訪日外国人旅行の前後比は110.4%。
国内日帰り旅行と海外旅行が減少、訪日外国人が増加です。

海外旅行する日本人は2019年比で半数以下

出国日本人数の推移
出典:観光の現状について(国土交通省)

上記は海外旅行に行った出国日本人数の推移です。
2012年1,849万人、2019年2,008万人、2023年962万人。
2019年と2023年を比べると-1,046万人で、前後比47.9%で半数以下になっています。
国内旅行も減少していましたが海外旅行は大幅減少で、総じて日本人の旅行回数は減っています。

訪日外国人旅行者数の推移
出典:観光の現状について(国土交通省)

上記は訪日外国人旅行者数推移です。
コロナウィルス過明けの2023年に大分戻ってきており、2024年は過去最高の訪日外国人数になるというのはほぼ確定。
円安の国、日本にたくさんの外国人が訪れており、東京の繁華街はどこも多数の海外の方を見かけます。

訪日外国人旅行者による消費額の推移
出典:観光の現状について(国土交通省)

上記は訪日外国人旅行者による消費額です。
訪日外国者の数より、消費額が伸びています。
訪日者視点では「たくさん買ったり食べたりしてるけど、こんなに安いの」の感覚です。

旅先でできるだけ顔を上げる

今回のこの文章、最近日本人が旅行しなくなったというYahooニュースを見てのがきっかけで書きました。
調べたデータでは、旅行代金は上昇、旅行回数が減っていました。

僕は旅行好きで、若い時も今も旅行に行きます。
若いときはお金がなかったので、貧乏旅行でした。
国内海外問わず、なるべく安い列車のチケットで地元の人にまみれて東西南北。
国内も青春18きっぷで、若さゆえのハードな旅も楽しみました。

インドなどいろいろ不安定な国へのハードな旅は若いうちにした方が良い、というのは歳を重ねたいまはハラ落ちします。
若さゆえの無尽蔵のエネルギーと、リスクをキャッチできていない無謀さは若さゆえの馬鹿さです。

歳を重ね、家庭や仕事でたくさんのトラブルを乗り越え、今の自分はトラブル回避回路がバージョンアップしました。
子どもがいると、自分だけの身体ではないと考えるようにもなる。
結果、リスクに敏感になり、安全をお金で買うようになりました。

若いときはお金がなく、欲しいものがたくさんあるのが一般的です。
いまの若者がお金(≒貯金や資産)をどのくらい持っているのか分かりません。
それでも、僕が社会人になりたての頃と比べ、大差ないような気もしています。

現代の方が税金や社会保障が高いと若い方の声があがりそうですで、そこはたしかに時代が違うと同意します。
あとは、未来への漠然とした不安は、今の若い方たちの方が強く抱いていそうな空気を感じます。
そうなりたいかは別として保守的にならざるを得ない、コスパ重視の思想もその1つかもしれません。

旅がコスパに見合うかは、答えはありません。
宇宙旅行費用が10億円と言われてもたいていの人は手を上げられません。
行き慣れた好きな温泉宿でゆっくり温泉につかっておいしいものを食べて20,000円くらいであれば、身近な人も多いのではないか。

今回見たデータでは、この身近な旅の回数が減っていました。
ただ旅に価値を感じなくなった人が多いとは思えず、お金に余裕がなくて旅に行かない人が増えたと考えると旅好きとしてはそういう時代だと感じます。

実際、若い人と話をしていて旅行が嫌いと言う人に会ったことがない。
行けるなら行きたいけれどが本音で、本気で予算確保と一歩踏み出す人は減っているのかもしれない。

旅ではイレギュラーが発生します。
綿密に事前プランを立てても、予定通りにいかないことはあり、それも旅の醍醐味です。
年を取ってみると、自分の中に残っている印象深い記憶は、こうしたトラブルが多い。
この先、終末期、こうした思い出が自分を支えるのかもしれないと予想するような年代に、自分がなりました。
この点では、旅はコスパが良いと僕は考えています。

いまはネットが普及しているので、個人でも事前プランニングは容易になりました。
事前に調べすぎて旅の楽しみが減る物言いがありますが、僕はそうは思っていません。
事前に行きたいところ候補をピックアップしている時間も旅の時間として楽しめています。
実際に行ってみてその中から臨機応変に、目的地を変更する。
いまのネット世代なら、旅の最中に次の目的地をスマホ検索するのは普通の光景です。

自分が年を取ったと感じるのは、旅をしている最中にできるだけネットから距離を置きたいを感じる点です。
いつもと違う場所にいるのに、自宅で触れるスマホを見るのはもったいない。

スマホで撮影した写真に大事なものは残っていないという人がいて、僕もこれに同意です。
自分の心のシャッターで記憶したものが、先々の人生で自分の大切な思い出になります。

旅先では特に視点を手元にする時間を減らし、顔を上げて世界を見ると良いと思っています。

 

さいごに

僕が所属している組織では、近年、出張宿泊費の上限が上がりました。
自分がプライベートで定期的に訪れている宿も、宿泊費用が高くなっており、全体で宿泊費の上昇は実感しています。
ダイナミックプライシングもいまは当たり前で、連休の価格は高く設定されています。
これらも含め、さまざまな状況を考えると宿泊費の値上げは妥当で、適度なインフレは世界で取り残されている日本の状況から僕は必要だと思っています。

その上で、旅をする人も宿泊施設側にも繁閑がなくなるよう、平日も会社の休暇取得がしやすい雰囲気がもっと普及すれば良いと思っています。