恰幅(かっぷく)が良い、という言葉が一昔前にはありました。
胴回りの豊かな中年オジサンを指した言葉です。
ふと周りを見渡してみると、そういう人、減ったと思いませんか?
久しぶりの太っちょオジサン
いつもの出勤時のことです。
僕はいつも通りの時間の電車で、その時は座席に座って本を読んでいました。
車内のそれなりに混雑している状況。
立っている人も多く、ほとんどのつり革は埋まっている状態。
ある駅で乗車してきたスーツを着た男性が、僕の前に立ちました。
失礼ながら僕の視線がたどり着いた先は、その男性のおなか。
「久しぶりに太っちょのスーツ姿だなぁ」
その方はつり革につかまって、ご自身のスマホを触っていました。
われわれが乗っている電車はある地点で、大きく揺れました。
その揺れたタイミングで太っちょスーツさんのおなかが、僕の本と接触しました。
ボヨン。
不快感があったわけでありません。
「正真正銘のボヨンだな」と心の中で微笑んでいました。
そしてふと思ったのが「最近、太った方がメッキリ減ったなぁ」という事です。
僕の会社周りの状況
僕が所属している会社でも太っている人は少数です。
100名以上がいる同じフロアの中で本当の太っちょさんは1人。
やや太いなと思う方も、男女問わず多く見積もっても1割程度だと思っています。
取引先の方々を見ていても、その傾向は同じ。
ややお腹が出ている人はたまに見かけますが、ガッツリ太っているという人はゼロです。
僕の記憶では昔のオジサンはもっとお腹が出ていたイメージがあります。
いつから日本はこんなにスラッとした人だらけなったんでしょうか。
それとともに、子どももぽっちゃりした子が少なくなったような気がしています。
実際、子どもの肥満傾向はどうなのでしょうか。
子どもの肥満推移
出典:年齢別 肥満傾向児の出現率の推移(昭和52年度~平成29年度) (総務省統計局)
子どもの肥満推移が上記です。
保育園/幼稚園・小学生・中学生の最高年齢の3つです。
- 1977年は肥満率が最低
- 2006年がグラフ上最高だが、この歳計算方法がかわっているため
- 11歳と14歳は山形になっている
- 5歳はほぼ横ばい
- 3区分では11歳(小学生)が一番肥満率が高い
このデータを見て思ったのは「それほど変化はない」です。
山形グラフですが、実際の値はそれほど変動していません。
そして小中学生は少しずつ、肥満率は低下しています。
結論としては僕が感じた子どものぽっちゃりさんは、それほど減っていませんでした。
都道府県別 肥満率
都道府県別 子どもの肥満率
5歳 | 11歳 | 14歳 | |
北海道 | 2.91 | 14.23 | 10.94 |
青森 | 5.00 | 10.84 | 10.76 |
岩手 | 3.66 | 11.69 | 9.70 |
宮城 | 5.36 | 12.22 | 7.92 |
秋田 | 4.73 | 12.53 | 8.87 |
山形 | 2.33 | 13.26 | 10.81 |
福島 | 6.53 | 15.23 | 10.78 |
茨城 | 3.36 | 10.96 | 9.22 |
栃木 | 3.24 | 11.31 | 9.05 |
群馬 | 4.51 | 9.87 | 8.97 |
埼玉 | 2.49 | 7.98 | 5.74 |
千葉 | 3.13 | 9.70 | 7.74 |
東京 | 2.35 | 8.76 | 6.75 |
神奈川 | 2.03 | 7.45 | 5.70 |
新潟 | 2.82 | 9.90 | 5.41 |
富山 | 1.32 | 9.94 | 6.04 |
石川 | 2.44 | 9.48 | 6.91 |
福井 | 2.11 | 7.45 | 5.40 |
山梨 | 2.29 | 12.25 | 10.26 |
長野 | 2.40 | 8.16 | 6.29 |
岐阜 | 2.98 | 7.68 | 7.06 |
静岡 | 1.77 | 7.21 | 6.14 |
愛知 | 2.76 | 7.99 | 5.59 |
三重 | 1.75 | 9.28 | 8.66 |
滋賀 | 2.23 | 6.69 | 5.60 |
京都 | 2.48 | 7.41 | 5.76 |
大阪 | 2.03 | 8.71 | 7.58 |
兵庫 | 2.40 | 7.12 | 7.56 |
奈良 | 1.45 | 8.09 | 5.69 |
和歌山 | 5.21 | 9.52 | 6.07 |
鳥取 | 2.03 | 8.16 | 7.56 |
島根 | 0.74 | 7.34 | 7.46 |
岡山 | 2.42 | 9.02 | 8.47 |
広島 | 2.66 | 9.69 | 9.56 |
山口 | 2.59 | 8.59 | 7.01 |
徳島 | 2.67 | 9.79 | 8.66 |
香川 | 4.05 | 7.84 | 7.72 |
愛媛 | 2.92 | 8.42 | 8.41 |
高知 | 2.99 | 11.80 | 9.25 |
福岡 | 2.83 | 9.32 | 8.18 |
佐賀 | 1.79 | 11.16 | 9.01 |
長崎 | 3.07 | 10.98 | 8.07 |
熊本 | 2.81 | 8.36 | 8.57 |
大分 | 2.86 | 11.13 | 9.50 |
宮崎 | 2.72 | 9.77 | 10.42 |
鹿児島 | 2.97 | 10.06 | 8.55 |
沖縄 | 3.70 | 10.24 | 9.73 |
出典:都道府県別 肥満傾向児の出現率 (2017年度)(文部科学省)
傾向としては北の方が肥満率が高いです。
11歳肥満率の最高値=福島の15.23
11歳肥満率の最低値=滋賀の6.69
約2倍の差になっています。
山梨県も高い数値です。
都道府県別 子どもの肥満と年間所得の関係
出典:賃金構造基本統計調査 平成28年度(厚生労働省)
まずは都道府県別年間所得の情報が上です。
東京が1位です。
この年間所得と子どもの肥満率の相関が以下です。
出典:都道府県別 肥満傾向児の出現率 (2017年度)(文部科学省)
出典:賃金構造基本統計調査 平成28年度(厚生労働省)
「所得が低いと肥満率が高くなる」というお話を聞いたことがあると思います。
その話を強く裏付ける結果(強い相関)になるかと予想していました。
相関があるというのは「一方が増加(減少)すればつられて他方も増加(減少)する」ということです。
今回は「負の相関あり」という結果になりました。
「強い負の相関あり」であれば、関係性が深いのですが、「強くはない相関がある」という結果でした。
まとめると「強くはないけど子どもの肥満は、年間所得と関係がある」ということです。
成人の肥満状況
出典:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)
20歳以上の男女別、肥満者推移が上記です。
- 男女とも横ばい、増えても減ってもいない
- 男性が約30%で、直近すこし増加傾向
- 女性が約20%で横ばい
都道府県別BMIの平均値が以下です。
男性 | 女性 | |
北海道 | 24.0 | 22.3 |
青森 | 24.5 | 23.2 |
岩手 | 24.4 | 22.6 |
宮城 | 24.6 | 23.2 |
秋田 | 24.1 | 22.8 |
山形 | 23.7 | 23.4 |
福島 | 24.8 | 23.9 |
茨城 | 23.7 | 23.1 |
栃木 | 23.9 | 22.8 |
群馬 | 24.1 | 23.0 |
埼玉 | 23.7 | 22.6 |
千葉 | 23.9 | 22.5 |
東京 | 23.3 | 22.2 |
神奈川 | 23.4 | 22.4 |
新潟 | 23.1 | 22.8 |
富山 | 23.4 | 23.0 |
石川 | 23.9 | 22.1 |
福井 | 24.0 | 22.8 |
山梨 | 24.0 | 22.2 |
長野 | 24.3 | 22.5 |
岐阜 | 23.7 | 22.6 |
静岡 | 23.3 | 22.3 |
愛知 | 23.3 | 22.9 |
三重 | 23.5 | 22.3 |
滋賀 | 23.9 | 22.1 |
京都 | 23.4 | 22.0 |
大阪 | 24.0 | 22.7 |
兵庫 | 23.8 | 22.4 |
奈良 | 23.7 | 22.3 |
和歌山 | 23.9 | 22.5 |
鳥取 | 23.7 | 22.1 |
島根 | 24.2 | 22.5 |
岡山 | 24.2 | 23.3 |
広島 | 23.7 | 22.4 |
山口 | 23.9 | 22.1 |
徳島 | 24.0 | 22.1 |
香川 | 24.1 | 22.8 |
愛媛 | 24.1 | 23.1 |
高知 | 25.1 | 22.8 |
福岡 | 24.0 | 21.8 |
佐賀 | 23.7 | 22.8 |
長崎 | 23.6 | 22.9 |
熊本 | データなし | データなし |
大分 | 23.8 | 22.5 |
宮崎 | 24.8 | 23.8 |
鹿児島 | 24.5 | 22.8 |
沖縄 | 24.1 | 23.8 |
出典:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)
- 男性の全国平均値=25.1%
- 男性の最高=高知、最低=新潟
- 女性の最高=福島、最低=福岡
- 東京の男性順位=44位、女性=38位
東京はそれほど肥満の人が多くない、という事は正しいようです。
が僕が個人的に感じている「太っちょさんが減った」は減っていない結果でした。
まとめ
「肥満の人は減っている」という統計データがあるのでは?と思っていましたがそうならず。
たまたま僕の周りに肥満の方が少ないのか、僕が検知できていないのかという結果でした。
服や着るセンスが進化して、スラッと見えている、という事はそんなに多くはないと思いますが。
あるお客様との夜の会食でのお話。
われわれ側は接待される側という立場です。
われわれ側の最年長者は50歳。
そしてその人はダイエット中でした。
食事が進む中、飯物(炭水化物)が出されました。
われわれ側の年長者は「ダイエット中なのでひかえさせていただきます」と食べませんでした。
その発言を全員が違和感なく受け取っていた、と僕は感じました。
炭水化物ダイエットが一般化したという前提はありますが、ひとつの象徴的なお話だと思います。
2000年代には食の欧米化やコンビニ発達などで肥満が騒がれていました。
それに対し、今は健康志向の時代。
マラソンを始めヨガや登山など、以前に比べその人口は増えています。
確かに一定上の体脂肪を抱えると、体が重くなります。
歳を経ると背負うものが増える人生と同じく、身軽は重要なキーワードです。
ではでは
◆今回のまとめ◆
子どもの肥満は最近は減少傾向
所得と肥満には一定の関係性がある
太っちょのオッサンは肩身がせまいのだろうか