青春18きっぷの利用者は2024年以降激減

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・青春18きっぷの販売枚数はここ10年で約1/3に減少
・現代の切符販売価格は販売初期に比べれば1.5倍だがいまも安価
・これまで何回かルール変更が行われている
・2024年のルール変更が大きくこれが利用者を減らす結果になった

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青春18きっぷの販売枚数は2024年のルール変更で-66.7%


出典:「青春18きっぷ離れ」が止まらない(プレジデントオンライン)

上記は青春18きっぷの販売枚数推移です。
2015年72万枚、2025年24万枚、前後比-48万枚(33.3%)。
グラフでは2020年のところで大きな谷があり、コロナウィルス禍の影響を物語っています。
その後、2023年にかけて利用者は回復していますが、2024年以降は大きく下がっています。
2015年と2025年をくらべると7割弱減少しています。

青春18きっぷの販売価格は発売当初からは比較するなら約1.5倍


出典:青春18きっぷ(wikipedia)

上記は青春18きっぷの価格推移です。
1982年春8,000円、2019年冬12,050円、前後比+4,050円(150.6%)。
2007年春のみJR発足20周年として発売開始時の価格と同じ8,000円で発売されましたが、それ以外は僅かながら増加を続けています。
と言っても切符初期発売時の1982年は消費税がなく、それ以降は消費税が加算されてこの金額です。
また期間も1982年から2019年の経過年数を考えると32年で、増額は当たり前。
2020年以降の物価高も加味するなら、青春18きっぷはリーズナブルな価格が大きなコンセプトであり、安価を守っています。

ルール変更を見ると2024年の変更インパクトが大きい

 

1982年春 名称は「青春18のびのびきっぷ」だった
1日券3枚と2日券1枚のセット
「青春18ワッペン」が付属
1982年夏 1日券4枚と2日券1枚のセット
1983年春 「青春18きっぷ」に改称
1984年夏 1日券5枚
1996年春 5回(人)分を1枚の券片にまとめた様式
全員が同じ行程移動の条件付きとなる
2004年冬 普通・快速列車のグリーン車自由席に限り、グリーン券を別に購入することで利用できるようになる
2024年冬 購入時に指定した利用開始日から1人につき1枚を利用する形式に変更
有効期間が5日間用のものに加え、新たに3日間用のものも設定される
24時を過ぎても最終列車まで利用できる

出典:青春18きっぷ(wikipedia)

上記は青春18きっぷのトピックスです。
2024年冬の改定前までは細かな調整が入っていますが、大きな変更はありませんでした。
それが2024年、以下の冬の改定で、利用に大きな制限がかかりました。
・連続する日程でのみ利用可能(それまでは連続でなくてよかった)
・複数人の同時利用不可(それまでは1枚で複数人が利用できた)
これにより利便性が大きく低下し、販売枚数が激減したと言われています。

過酷な体験を約束してくれるチケット

尻が痛い。
青春18きっぷを利用経験者であれば、ほぼ全員が体験する感覚です。
安価な移動手段ですが、乗れる鉄道の種類の大半は一部を除き在来線に限定されるチケット。
これ以外にもいろいろ特徴的があります。

▼青春18きっぷの良い点
・安価、交通費の節約
・景色を楽しめる
・乗客を観察したり駅の乗り換えなどでその土地の風土に触れられる
・途中下車ができ自由度が高い
・たくさんの種類の列車に乗れる
・一部、列車以外の乗り物にも乗れる

▼(仕方がないとはいえ)悪い点
・時間がかかる
・乗り換えが多い
・ローカル線などで遅延などの予定外な状況が起こると待ち時間が大幅に増える
・絶対に座れるわけではない、満員電車乗車もありえる
・疲れる

今の時代にマッチしている言葉ではコスパです。
その絶対的な安さは2026年時点でも健在。
可処分所得が少ない時代に、少しでも旅費を抑えたいのであれば一つの選択肢です。

違う視点として、時間当たりの処理量が多い点は、良くも悪くも上げられる点。
散歩していると、植わっている木や花に目が行き季節を感じたり、立っている建物がどんなものかお店ならどんなお店か考える時間となる。
これが飛行機移動となれば、窓の外を見てどこかの山が見えたとしても、それをあまり意識することもない。
その時間、読書をしたり映画を見るなど、情報は得られますが、景色や風土などとは違うものとなる。
人間の時間当たりの処理量を考えると、移動速度が遅いほど肉体的感覚による体得量は増えます。

青春18きっぷが時代にアンマッチな点はタイパです。
鉄道が好きな人にとっては列車乗車自体楽しみとなる人は別として、単に鉄道が移動手段と考える人にとってはとてつもなく時間がかかります。
お金と時間、体力を考えたとき、青春18きっぷは若い人にフィットするチケットです。

僕は20歳代中盤に青春18きっぷを使った経験があります。
動機は「名前だけは知っているが、どんなものか体験したい」。
僕は鉄道に興味はないので、怖いもの見たさ、辛いとわかっていても経験してみたい感覚です。

当時、ある日のランチの時、仲の良い同僚と定食を食べていた際、青春18きっぷの話になりました。
その人は地元に帰るときいつも飛行機でしたが、僕と同様、青春18きっぷ未体験でかつ興味があると言う。
であるなら次の夏休み、それぞれの実家まで鈍行列車の旅をしようと、話がまとまりました。
お互い「俺、これくらい平気だもんね」のやせ我慢がお互いにあったのは間違いなく。

二人の片道移動時間は、僕は約半日、彼は僕の3倍の1日半。
この旅をスタートする前は、この差がどの程度なのかも想像できていませんが、知らぬが仏。

出発当日、二人は始発に近い時間帯に電車に乗り込むために、合流する駅で待ち合わせしました。
ホームはガラガラ、列車内の乗客もほとんどいない、早朝の下り線は快適でした。

青春18きっぷは、「1日でどこまでいけるか」よく話題になります。
東京から西に向かうなら、本州西端の山口県まで。
山口県まで目指すなら、乗り換え電車はすべて決まっており、列車遅延で出くわすと山口県までたどり着けない。
われわれはそこまでシビアな旅程ではなく、目的地方向に向かって一番早く移動できる列車に乗り継ぐスタイルでした。
鈍行列車が基本、快速列車に乗れればラッキーの気ままな旅。

最初の2時間程度は、心も身体も余裕がありました。
冒険が始まった高揚感もぎりぎり残っている時間帯で、体の痛みもほとんどなく飽きてもいない。
途中、通勤時間帯には乗客が多くなる場所はあっても、座っていられいたので本を読んだり車窓を眺めたり。

それでもだんだん動けないことや、暇が気分の大半を覆いつくして「ナニコレ、こんな感じがこの先何時間も続くの」気分になる。
そして、お尻が痛くなり始める。

通勤電車の座席は、長距離移動用には作られていません。
いつもの通勤では長時間乗らないので座席を気にしませんが、この時は横長のあの椅子が長時間用ではないのを身を持って体験できる。
新幹線ならリクライニングして寝ていれば、数時間移動でもやり過ごせます。
疲れたら車両と車両の間に移動して、ストレッチしたりもできる。
鈍行列車の横並び座席では、座席を開けたらどれかが座るとしてずっと座り続ける必要があり、寝るのも一苦労する。

昼前、乗り継ぎのタイミングで、大休憩をとることにして、駅の外に出てご飯屋さんを探す。
ここは青春18きっぷの強みで、駅の出入りが自由な点はすばらしい。

この時点で、僕は旅程の半分弱しか消化しておらず、すでに過酷な旅を十分すぎるほど実感している。
同僚の残り時間を考えると気が遠くなるような気分なので、そこから目をそらす。
身体的には体の内部から「ギシギシ」音が聞こえそうなくらい、節々がこっている。
そんな身体だと歩く行為は気持ちよく、ストレッチも兼ねたランチの時間でした。

その後、僕は数時間で自分の自宅の最寄り駅について移動は終了。
実家への最後の鈍行列車路線に乗った時、ゴールが見えた時のあの心が軽くなる状況。
人間は見えないゴールに向かっているときはやはりつらく、目標設定は細切れにたくさんにする意味はここでも正しいと言えます。
実家までの在来線は見知った景色で、過酷な旅だったけど経験できたのは良かったと独り言ちていました。
と言っても、この時点では帰りも同じ移動が待っており、考えたくないのでそのことは頭から意識的に消し去り、つかの間の実家での休息をした記憶があります。

後日、往路に一緒に移動した同僚にぶじ完遂できたか聞いたら、即答で「往復とも青春18きっぷで移動し切ったけど、二度とやらない」と断言していました。
彼は初日、21時くらいまでかけ、移動できるところまで移動して宿に泊まり、翌日、また半日在来線の旅をしたそうです。
往復で文庫本5冊を読破したとせめてもの救いというか当てつけのような感想も話していましたが、気持ちはわかる。
彼に比べるなら僕は1/3の移動距離だったので、強く意見しにくかったのですが、僕も長距離を鈍行列車移動は二度とやりたくないに1票でした。

それでも若い時、こういう経験をするのは、後々まで思い出して微笑むネタになる財産だと年を取ると理解できます。
山に興味がない人が富士山を登るのも近いものがあり、大変な経験は美化されたり笑い話になって自分のよりどころになります。

青春18きっぷ移動を人に勧めるかと問われれば、僕は以下と回答します。
やったことがなければ1度くらいは長距離移動してみると何か見つかるかもしれませんよ。

さいごに

僕が利用した時代の青春18きっぷは、1枚5日分形式で複数人で使えるチケットでした。
上記の通り、僕は自分の実家の往復で2日分を消化し、残り3日分利用権利が残っていました。

この残チケットをどうしようか。
さすがに(過酷な)長距離移動をしたいと思っていませんでしたが、近距離で使うのもその効果から考えるならもったいない。
結果、一緒に帰省した同僚とは別の友達を誘って、2時間程度の鉄道移動の旅先に残りのチケットを利用しました。

この時の友人は2時間程度の鈍行列車で「お尻が痛いなぁ」と発言しました。
それを聞いた僕は「いやいや本気で青春18きっぷの力を引き出したなら、そんなもんじゃないのだよ」と心の中で返しました。