この文章のトピックスは以下です。
・高校退学者数は37年で約6割減少
・退学者割合は-31.8%
・ただし2020年以降、退学者割合は微増
・国立高校の退学者割合は増加しているが、その人数は公立・私立よりは低い
・過程別にみると定時制高校の退学者割合が一番高い
・退学理由1位はずっと「進路変更」
高校退学者割合は37年で3割強減少

出典:日本子ども資料年鑑(社会福祉法人恩賜財団 母子愛育会 愛育研究所)
上記は高校退学者数と、退学者割合です。
人数1986年113,938人、2023年46,238人、前後比-67,700人(40.6%)
割合1986年2.2%、2023年1.5%、前後比の増減率は-31.8%。
人数は少子化で減るのが前提として、割合も減っています。
割合のピークは2000年の2.6%です。

出典:日本子ども資料年鑑(社会福祉法人恩賜財団 母子愛育会 愛育研究所)
上記は国立・公立・私立高校の退学者割合です。
国立2005年0.6%、2023年0.9%、前後比の増減率は+50.0%。
公立1986年1.9%、2023年1.2%、前後比の増減率は-36.8%。
私立1986年2.8%、2023年1.8%、前後比の増減率は-35.7%。
国立は退学者が1%未満と少ないが、増加している。
公立・私立とも37年で約3.5割、退学者は減っています。
中途退学率が高いのは定時制高校

出典:日本子ども資料年鑑(社会福祉法人恩賜財団 母子愛育会 愛育研究所)
上記は国立・公立・私立高校の課程・学科別、中途退学者とその割合です。
退学者数だけ見るなら全日制普通科が多いのは、母数が多いので順当。
2位が通信制で、全日制普通科の約半数と続きます。
中途退学率の1位は定時制で8.0%と頭1つ抜けています。
定時制はさまざまな事情を抱えた生徒が、全日制普通科より多く、また横の繋がりなども低いと考えるとこのくらいになるのか。
中途退学率の2位は通信制で、こちらも横のつながりは全日制にくらべ低いのは想像できます。
退学理由1位はずっと変わらず「学校生活・学業不適応」

出典:日本子ども資料年鑑(社会福祉法人恩賜財団 母子愛育会 愛育研究所)
上記は高校退学理由です。
理由1位は「進路変更」で1988年32.6%、2023年41.3%、前後比+26.7%。
理由2位は「学校生活・学業不適応」で1988年26.9%、2023年34.2%、前後比+27.1%。
この2つで退学理由の大半割合を占めており、どちらも37年で増加しています。
減っている理由で目につくのは「学業不振」で1988年12.2%、2023年6.8%、前後比-44.3%。
高校の学校の勉強についていけなくて退学する生徒は減っています。
画一から多様へ遷移途中
今回見てきたデータでは、退学者数も退学者割合も2021年まで減少していました。
それ以降は微増しているので、踊り場にきたと言えます。
退学者数が多かった2000年代前半までの理由として挙げられるのが以下。
・学業不振
・出席不足
・問題行動・非行
・校則への不適応
まだ生徒数が多かった時代、地域の学校もさまざまなレベルに分かれていました。
中でも偏差値レベルの低い学校は荒れた学校として、やはり退学率は高かった。
その後、2020年までは退学率は低下しています。
その要素として、以下のような環境が変わりました。
・学校の支援体制が充実
・スクールカウンセラー配置
・不登校支援
・高校進学率の上昇
1クラスの人数が減り、生徒1人1人に対しそれ以前より目が行き届くようになった。
社会全体としていじめやケアの意識が高まり、大人の介入が進みました。
ドロップアウトするあるいはしそうな子どもに対し、満額ではありませんがセーフティーネットが確立されました。
そして2020年以降、高校退学割合がわずかではありますが増えています。
近年、上げられるトピックスは以下。
・不登校者の増加、長期化
・学校生活への不適応
・SNS・ネットトラブル
・メンタルヘルス悪化
・人間関係問題
・家庭の経済格差含む家庭環境の悪化
・ヤングケアラー
他に、近年は通信制高校が急増しています。
これは退学者にとっての受け皿でもあり、以前であれば退学して就職のルートが大半だったものが、通信制高校や単位制高校、サポート校に通えるようになりました。
言い換えるなら「高校(学び)を辞める」のではなく「学ぶ場所を変える」選択ができました。
一昔前は、選択肢が狭かった高校選定ですが、IT発達により変化は訪れています。
オンライン学習や個別支援などは、昔に比べれば充実しました。
これは全体一律の授業にも影響を与えるであろう動きで、この先はより個人に会った学びが進んでいくと僕は考えています。
多様性が標準となれば、画一性だけではない選択肢は当然必要になってくる。
高校の授業が必須ではなく、それが不要という人には自分の道を歩むのも個人の選択。
あるいは不確定の時代、基礎こそが重要と考え、その一つとして高校レベルの知識・思考のうろ力を備えるために学ぶ。
自分に自信がない人であればこそ、高校退学イコール就職ではなく、転学して学び続けられるのは長い人生でプラスになる可能性は高いと感じます。
さいごに
僕の身近にも学校になじめない子がおり、試行錯誤されているのを見ています。
理由は他人が簡単に分かるようなものでもないと思っており、ゆっくり着地点を模索していくしかない。
社会に出てしまえば理解できますが、高校までは基本、閉鎖社会です。
決まったメンバーで数年間を一緒に同じ場所で過ごす。
それによって社会性が高まったり、協調やトラブル回避術を学ぶ場所にもなりますが、つらい状況になる子は一定数出てしまう。
小さなトラブルを乗り越えつつ、できればつつがなく学校生活を過ごしてほしいと、子どもを持つ親として強く思っています。
それでも、通っている学校になじめない場合は、別ルートを探ることができる時代です。

