100年前に比べ最高気温は2.8度上昇しているが、学校エアコン設置は約半数

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統計データ

自分達が子どもの頃に比べ、体感的に暑くなっている気がします。
地球温暖化については、賛否両論あり、絶対的な回答はまだ出ていません。
では、日本の気温はどうなっているのか。
救急搬送人数や学校のエアコン設置率などあわせてみてみました。

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気温は100年前に比べ上昇している

以下の6箇所の1900年~2017年の最高気温推移が以下です。
[東京][大阪][札幌][那覇][名古屋][福岡]
各年の7月と8月の日中最高気温の平均推移です。


出典:過去の気象データ検索(気象庁)

このデータからまず言えることは「100年前にくらべ気温が上昇している」ということ。
各都市で上昇温度は違いますが、すべての都市で気温は上昇しています。

 

1900年 2017年
札幌 19.1 22.3 3.3
東京 28.5 31.1 2.6
名古屋 30.5 32.7 2.2
大阪 30.6 33.5 2.9
福岡 25.7 29.5 3.8
那覇 31.5 33.5 2.0
平均 27.6 30.4 2.8

出典:過去の気象データ検索(気象庁)

一応ですが、これはあくまで6都市のデータです。
人口が多い場所や、南北などを考えて選定しました。
コレが日本全体ということでなないことを付記しておきます。

6都市平均で、1900年と2017年で2.8度、気温が上昇しています。
細かく見てみると、気温は上がったり下がったりしています。
一部を除いて、総論は右肩上がりです。

1つ、興味深い点は、近年は沖縄が一番気温が高いわけではない、ということ。
具体的には、例えば大阪は2017年こそ、沖縄と同じ33.5度でした。
しかし、それより少し前の2000年~2016年は、ほぼ大阪の方が最高気温が高いです。

理由は分かりませんが、沖縄が日本で一番熱い地点ではないというのはニュースでもよく聞きます。
ニュースで高温だと言われる地点は、いまは岐阜県多治見市や埼玉県熊谷市、群馬県館林市。

ちなみに2018年7月時点の、日本の観測史上での最高気温Top10は以下です。
1位が有名な埼玉県熊谷市、2位が意外で高知県、3位も有名な岐阜県多治見市。

都道府県 地点 観測値℃ 日付
1 埼玉県 熊谷 41.1 2018年7月23日
2 高知県 江川崎 41 2013年8月12日
3 岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
4 東京都 青梅 40.8 2018年7月23日
山形県 山形 40.8 1933年7月25日
6 山梨県 甲府 40.7 2013年8月10日
7 岐阜県 美濃 40.6 2018年7月18日
和歌山県 かつらぎ 40.6 1994年8月8日
静岡県 天竜 40.6 1994年8月4日
10 山梨県 勝沼 40.5 2013年8月10日

出典:歴代全国ランキング 最高気温(気象庁)

 

熱中症搬送人数も増加


出典:救急搬送状況(総務省消防庁)

熱中症による救急搬送人数の推移が上記です。
2008年と2009年が低く、それ以降30,000件を大きく超えています。

搬送者の内訳をみてみると、成人と高齢者が大半。
中でも高齢者の比率が、2008年=39.5%、2017年=48.9%と増加。
ニュースで高齢者の熱中症が多く流れますが、それを裏付けています。

 


出典:救急搬送状況(総務省消防庁)

新生児と乳幼児の、熱中症搬送人数です。
体がまだ未熟な状態での熱中症は、大人よりも危険。

それでも新生児はかなり低く推移乳幼児は搬送者総数と同じで2010年以降、増加して横ばいです。

 

▼熱中症は重症度の3段階
軽度(I度)=めまい、頭痛、筋肉痛、ふくらはぎなどのけいれん、あくびなど
中等(II度)=疲労・倦怠・不快感、手足に力が入らない、I度よりひどい頭痛、吐き気・嘔吐、判断力や集中力の低下、意識がもうろうとするなど
重度(III度)=意識障害、歩けない、けいれん発作


出典:救急搬送状況(総務省消防庁)

続いて熱中症で搬送され、初診での傷病程度が上記です。
初診時は大半が軽症、ついで中等症です。

 


出典:救急搬送状況(総務省消防庁)

傷病程度が重い2つの情報が上記。
幸いなのは、搬送人数に比例して、死亡が増えていないことでしょう。

2010年は死亡者が増えていますが、それ以降は減少。
熱中症が危険という、一般認知の増加も一因と予想します。

 

気温上昇理由と子どもへの影響

気温上昇理由

気温上昇の理由は、複合要因でもあるため深く触れません。
それでも、ヒートアイランドが大きな要因ということは筆頭のようです。

・都市化・・・熱がこもる、夜になっても暑い
・照り返し・・・地面吸収がない
・緑の減少・・・植物の「蒸散」による気化熱減少

子どもが危ない理由

このブログは子育て中の筆者が書いているので、この点が最大に気になる点です。

・体温調節機能が未発達
・大人と背の高さが違うので気温差がある
・自分で不快に気づくことができない可能性

2番目の大人と子どもの温度差は、以下のweathenewsの画像が分かりやすいです。


出典:芝生の上は反射熱が少ない(wethernews)

 

子どもの様子で注意すべき点

・日中に不必要なあくびが多い
・体温が40度以上
・大量の発汗、おしっこは出ていない
・体温が高いのに、汗が出なくなった
・だるい、手足の痛みを訴える

上記のような様子が見えらら、要注意です。
けいれんや意識喪失が出たら、即時救急車です。

・クーラーなどが効いた場所へ移動、できなければ木陰などで子どもを寝かせる
・救急車到着まで、できるだけ体を冷やす
・冷やす場所は首筋、脇、足の付け根を、濡れタオルなどで冷やす
・衣服は緩め、靴下などは脱がす
・うちわなどで仰ぐ
・水分補給させる(できれば経口補水液、意識喪失時は与えない)

意外と知られていないのが、お茶やコーヒーは熱中症時には不向きということ。
理由はカフェインが含まれていると、利尿作用で水分が出てしまうため。
ベストは経口保水液ですが、通常は水が基本です。
スポーツ飲料は糖分の懸念がありますが、体内吸収率が良いので熱中症には向いています。

 

熱中症のメカニズム

人間の身体は「外へ熱を逃がす熱量(放熱)」と「体内で作られる熱量(産熱)」でバランスを保っています。
産熱した熱を放熱しきらず、バランスが崩れると熱中症になります。

この際、外気温以外に大きな要因になるのが「湿度」。
湿度が高いと、発汗しにくくなる、外へ熱を逃がしにくくなるということです。

高温になると熱中症というイメージは大抵の人が知っています。
しかし「湿度」が関係してくる、ということは意外と知られていません。
日本は高温多湿、湿度が高い国です。

湿度も含め、熱中症の危険を客観的にあらわしたものが「暑さ指数(WBGT)」というものです。
気象庁が発表しているもので、以下で確認する事ができます。

外部サイト:暑さ指数(WBGT)の実況と予測(気象庁)

 

幼稚園や学校のエアコン設置率


出典:公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況の結果について(文部科学省)

2017年の47都道府県のエアコン設置率、幼稚園・小中学校・高校が上記です。
各グラフの都道府県名の横に、2015年~2017年の7月と8月の最高気温を付記しています。

幼稚園の設置率最高=栃木県の97.7%。
小中学校の設置率最高=香川県の92.3%。
高校の設置率最高=沖縄県の84.9%。

各グラフの一番下に全国平均も記載しています。
2017年時点ですべてあわせると、エアコン設置率は半分程度ということになります。

コレが高いのか低いのか。
1つ言える事は、北海道など比較的温度上昇がない都道府県は、普及の必要性は低いでしょう。

 

同じ情報ソースに体育館の情報がありましたので、ついでに掲載します。


出典:公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況の結果について(文部科学省)

あえて100%幅のグラフにしています。
言える事は体育館はほぼエアコン設置されていないということ。
小中高の公立学校の全国平均で、エアコン設置率が1.2%です。
現代のの高い外気温で、蒸し暑いなどの状況でもあった場合は、体育館は危険と言えそうです。

 


出典:公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況の結果について(文部科学省)

最後に公立小中学校のエアコン設備設置状況の推移が上記です。
十分といえないでしょうが、近年、設置は増えています。

 

さいごに

僕は学生時代に、エアコンがある学校に通っていたことがあります。
しかし僕が通学中、一度もエアコンがオンにされませんでした。
理由が「ずっと使っていないので、つけるとどうなるかわからない」から。

その頃の記憶をたどってみると、まだ今ほど気温が高くなかったような気もします。
それでも「なんだかなぁ」という思いは、いま、振り返ってもあります。
何かあってからの後手対応は、悪手です。

事前に危険度を判断して、できることをする。
災害対策と同じで、日射病になるという前提で準備しておく。

子どもだけでなく、自分やパートナー含め全員がそうなる可能性があります。
現代の真夏の日中は「熱波」と呼ぶにふさわしい状況です。

家族に子どもが増え、僕は「子ども視点」という新たな視点を持つようになりました。
大人ももちろんですが、子どもは自分でうまく言えないこともあります。

子どもの不調にすぐに気づけるよう、余裕を持たないと危ない夏の暑さだと思っています。

ではでは。

◆今回のまとめ◆都市の気温は上昇している
救急搬送人数も上昇している
エアコン設置率は半分程度