この文章のトピックスは以下です。
・ふりかけ支出額は約四半世紀で8%伸びている
・同期間、お米消費は-46.7%と半減している
・Google検索キーワードでもふりかけは近年が最も検索されている
・世帯年収別では高所得層ほどふりかけ支出は高い
・年齢別では30歳~49歳の層が一番支出額が多い
・市別に見ると1位は富山市、最下位は神戸市、全国平均は\1,695
ふりかけ商品支出額は約四半世紀で8%伸びている
出典:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)(総務省統計局)
上記は2人以上世帯のふりかけとお米の消費支出額推移です。
ふりかけは2001年\1,649、2023年\1,781、前後比プラス\132で108.0%です
最高値は2023年、2024年もふりかけ大手各社予測では過去最高売上予測となっており、総論僅かずつですが伸びています。
お米は2001年\38,293、2023年\20,397、前後比マイナス\17,896で53.3%です。
良く言われるお米離れは進んでいますが、ふりかけ売り上げは伸びています。
出典:小売物価統計調査(総務省統計局)
上記はふりかけ値段推移です。
1つ上のグラフでふりかけ売上全体(市場)が伸びていましたが、単価がどうなっているのか。
2015年\202、2024年\221、前後比プラス\19で109.4%です。
昨今の物価高騰と同じくふりかけ値段も上がっていますが、上昇率は低めです。
出典:検索キーワードボリューム調査(Google Trends)
参考までにネット検索キーワードボリュームであるGoogle Trendsの「ふりかけ」検索数の推移が上記です。
最高検索数の年が100となり、このグラフ内で最高値100は2023年。
約20年の推移では、一目瞭然の右肩上がりです。
世帯別では中年層、高所得層のふりかけ購入金額が高い
出典:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)(総務省統計局)
上記は2023年、月別の100世帯当たりのふりかけ購入頻度です。
おもちのように冬によく食べられるような傾向がないかの確認ですが、そうした傾向はありません。
各月のばらつきはなく、わずかに2月と8月が低い程度です。
出典:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)(総務省統計局)
上記は世帯年収別、ふりかけ購入金額です。
分かりやすく、世帯年収が高いほどふりかけ購入金額は高い。
高所得層のふりかけ支出が多い理由について、高価格帯のふりかけ購入や、わかめご飯のように健康志向の可能性はあります。
出典:家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)(総務省統計局)
上記は世帯主・年齢別、ふりかけ購入金額です。
中年層が最大ボリュームで、子どもがいる世帯で子どもが食べるイメージが思いつきます。
70歳以上がふりかけ購入金額最下位で、現在の高齢層はふりかけは縁遠い。
全国でみると富山がふりかけ消費量1位
出典:家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(総務省統計局)
上記は市別、ふりかけ購入金額です。
全国平均は\1,695で、地域部別の特徴などは見つけられません。
1位富山市\2,580、2位福井市\2,217、3位山口市\2,193。
下から数えて3位那覇市\1,442、2位札幌市\1,432、1位神戸市\1,334。
なぜ富山市が1位なのかネット検索したところ、以下の情報がヒットしました。
富山市は海産物に恵まれており、昆布消費量が多く白エビやゲンゲなどの観光客にも人気の特産ふりかけがある。
また稲作地域でもあるのでお米が豊富でもあり、ふりかけ消費量が1位のようです。
ふりかけの消費量が日本で一番!
総務省家計調査による、“2020年ふりかけへの年間支出額が多い都市ランキング”で、全国1位となった富山市。
豊かな風土によって美味しい食事が堪能できる場所として、また米どころとしても有名ですが、白米とよく一緒に食べられているのがふりかけです。
中でも”白とろろ”や”黒とろろ”など、独自の地域の食文化と共に発展した、昆布系のふりかけが大人気!出典:ご当地キャラバン vol.4 富山市(株式会社 明治)
ふりかけはシンプルにおいしい
いま、ふりかけ消費量が伸びている理由の1つに、昭和時代の罪悪感とその罪悪感がない世代についてのコメントが以下です。
高度成長期、日本のお母さんたちは“良妻賢母”のイメージから、食卓にふりかけを使うことに罪悪感を覚えていました。当時は、自分が楽しくふりかけを食べた記憶を持つお母さんが少なく、子どもに『おかずがあるのだから、ふりかけではなくおかずでご飯を食べなさい』と注意することが珍しくなかったのです。ところが、ふりかけをおいしく食べた記憶を持つ団塊ジュニアが親世代になった2000年代前半から、親子でふりかけを味わう光景が当たり前になりました。
出典:昭和の食卓では嫌われた「ふりかけ」が過去最高の売り上げに 節約志向で大人の「夜ごはん」でも重宝(AERA dot.)
言われてみると、僕が子どもだった頃、僕の母親は子どもに対しふりかけを薦めてはいませんでした。
想像するに「骨が溶ける」と言われたコーラに近い扱いだったのかもしれません。
親としてはできれば遠ざけておきたいが、子ども達はルールギリギリの背徳感もあってかそれを求める。
僕は子どもの頃、キャラクターふりかけはもちろん、鰹節ふりかけが大好きでした。
大人になるころ、大人向けふりかけと呼ばれる商品が発売され、それもまた美味しいと思っていました。
令和時代のいま、わが家の子どもはふりかけが大好きです。
旅先で新しい味のふりかけがあると、もりもりご飯を食べています。
宿泊旅行時、旅館で立派な食材(おかず)を振舞っていただけているのに、ふりかけご飯をたくさん食べる姿を見て、こっそりもったいないと思いますが気持ちは分かる。
今回、ふりかけの各種データを見て知ったのは「ふりかけは物価の優等生」です。
直近のふりかけ価格はやや価格上昇していますが、お米値段が1.5倍以上になったことに比べればその増加金額はわずか。
そもそもふりかけ自体の単価が安いので、家計影響度も低い。
ふりかけとは?
ふりかけの起源については、美味滋養を目的として大正時代から昭和にかけて数か所で考案されたといわれています。
諸説ございますが、熊本の薬剤師の吉丸末吉氏が、当時の日本の食料不足、特にカルシウム不足を補う方法として、魚の骨を粉にしてご飯にかけて食べたことが始まりと言われています。戦時体制下では栄養食品であるふりかけの軍納は強制であり、貴重な軍納品でした。出典:ふりかけとは?((一社)国際ふりかけ協議会)
上記はふりかけの元祖が、カルシウム不足を補うための魚の骨の粉であると記載されています。
他にも、わかめご飯やゆかりなど、健康に良いと言われる食材を使ったふりかけもあります。
健康志向は現代の流れですが、そんなことより「美味しい」や「手軽(時短)」が現代におけるふりかけの評価だと思っています。
子ども達が喜んでふりかけご飯を食べる姿は言葉不要です。
さいごに
僕は大人になって、わが家の子どもが食べるという理由で「のりたま」を10年以上ぶりに食べました。
一口目の感想、脳内独り言ですが「おいしいなぁ」でした。
「のりたま」の歴史を調べてみると、2024年時点の製品は2020年に発売された9代目。
60年以上の歴史の中で、何度かバージョンアップしています。
昔は健康被害懸念のあった材料を使う食材もありましたが、いまそんな食材を使ったなら瞬時に淘汰されます。
のりたまの歴史を見るに、正常進化して生き残ったダーウィン進化論を感じます。
のりたまは歴史のやすりに耐えている、ベストセラーの言葉がフィットする商品です。