「赤ちゃん本舗って、昔はもっとオモシロかったよなぁ」
この発言は今から10年ちょっと前に乳幼児の子育てを卒業されたあるご夫婦の発言です。
僕自身は赤ちゃん本舗は、実際にお世話になった身近な存在。
よってこの発言にとても興味を引かれました。
雑談のなかでその言葉が出てきた
冒頭の発言をされたご夫婦の子どもは今は中学生。
ここではその発言をされたご夫婦を以下記号で記載します。
ご主人・・・Gさん
奥様・・・・Oさん
僕と僕の奥様はある日、Gさん宅でGさんOさんとお茶を飲んでいました。
周りに子どももいない、大人だけのリラックスしたひととき。
話題は子育てのアレコレに飛んで、昔はこうだったとかのGさんOさんの話も興味深く聞いていました。
実際は昔と今では「常識」が違うことがあり、すべて同意することはありません。
GさんOさんもそのことはご承知で、時代とともに正解が変わるというご認識を持っている方々です。
常識が違う一例として「おしゃぶり」の話題がありました。
昔は「おしゃぶり」は一般的でしたが、最近は否定的な思想を見受けられます。
Gさん宅はおしゃぶりを利用、われわれは子どもに「おしゃぶり」は持たせませんでした。
こうした世代による違いも、全員「なるほどねぇ」と笑顔で話していました。
また世代差の1つとして、10年前は「インターネット通販」が今ほど普及していませんでした。
「インターネット通販」は一部の愛好家、イノベーター的な人が使っているという状況。
購入できるものも今ほどバリエーションがなく、セキュリティ的は本当に雑だった時代。
われわれは「インターネット通販」をかなり便利に使いました。
それとともに買う品目が多かったり、実物が見たかった場合、実店舗に足を運びました。
足を運ぶ先は一番多かったのが「赤ちゃん本舗」。
「西松屋」もメジャーですが、自宅からアクセスが良かった「赤ちゃん本舗」が実店舗で通った店です。
僕は「われわれはインターネット通販+赤ちゃん本舗利用で赤ちゃん用品」をそろえたという話をしました。
この僕の発言を受けて、GさんがOさんが冒頭の以下の発言をしました。
Gさん「赤ちゃん本舗って、昔はもっとオモシロかったよなぁ」
Oさん「うんうん、そうだったよねぇ」
個人的にかなり興味を引かれたフレーズでした。
なので「どんな感じでしたか?どこがオモシロかったですか?今とどう違ってましたか?」と聞きました。
Gさんは自分の記憶を探っているようで少し「うーーーん」と考えて以下の言葉を発しました。
「コレだ!って的確に言えないのだけど、多分もっと特色が強かった気がする。
店舗の大きさも小さく、当然商品数は今ほど多くなかった。
その中で当たりばかりではなく、ハズレ的な商品も買ったことを覚えている。
ザックリ雰囲気的な言葉になっちゃうんだけど、商品が「とんがっていた」んだよねぇ。」
赤ちゃん本舗の客観的数字から何か読み取れるか
売上や営業利益などの数値を探したのですが見つけられず。
知らなかったのですが赤ちゃん本舗は非上場だったこと。
そしてセブン&アイ・ホールディングスの子会社だったこと。
セブン&アイ・ホールディングスの決算報告書をみても該当情報はナシ。
セグメント別情報はありますが、赤ちゃん本舗単体情報が記載されていない。
1つだけ決算報告書でみつけた、増減率に影響する数字が「店舗数」。
出典:決算補足資料(セブン&アイ・ホールディングス)
2008年2月店舗数= 67店舗
2018年2月店舗数=109店舗(着地予想)
62%増加なので、店舗数は1.5倍以上になっています。
あとインターネット上でみつけた売上高情報が以下。
出典元が怪しいので参考値とお考えください。
2005年度売上高= 899億円
2017年度売上高=1,027億円
14%増加なので、店舗数ほどではないですが売上は増加しているようです。
営業利益(率)やキャッシュ情報がないと、財務判断出ません。
よって客観的数値判定は「判断不能(どちらでもない)」です。
上記の数字が正しいとすれば、店舗数の増加ほど売上は増加していない。
厳しい言い方をすれば踊り場で足踏み状態、挑戦タイミングなのかもしれません。
外部環境で一番影響を受ける「子どもの数」、日本では少子化まっしぐらですし。
僕は赤ちゃん本舗をかなり利用した
すでに記載しましたが僕は「赤ちゃん本舗」は実店舗で一番利用しました。
自宅からのアクセス面と、取り扱い商品が豊富という理由です。
たくさんの種類の商品を購入したいとき、1店舗でほぼそろうというメリットが狙いです。
実際に物理的な大物はほとんど赤ちゃん本舗で購入しました。
インターネット通販の方が商品数が多かったり、最新モデルがあることもわかってます。
しかし赤ちゃん用品はすぐ欲しい、失敗できるほど状況的に余裕がないなど緊急度正当度を重視。
事前に必要になると予測できるものは、ネット通販でも購入できます。
多分、商品も選べその方が節約にもなるのだと思います。
しかし第1子の場合、その何が必要か?の物差しがありません。
そのため状況がひっ迫してから、あわててネットで情報を調べ、購入するという後手後手対応。
まさしく「第1子あるある」の状況でした。
赤ちゃん本舗を利用したもう1つの理由
最大の理由は何度も記載している通り、立地的に近かったこと。
それ以外に1つ、思い当たることもあります。
それは赤ちゃん本舗が「あるリコール商品の時の対応」がとても良かったことが理由です。
リコール自体は赤ちゃん本舗は無関係、リコールとは別で赤ちゃん本舗が絡むことがありました。
ある大規模リコールがメーカーから発表され、僕はメーカーとやり取りして最終的に事は収束しました。
リコール商品は「チャイルドシート」です。
この対象商品を、赤ちゃん本舗で展示品を購入しました。
リコール対応方法として、一時期メーカーがチャイルドシートを預かって部品交換するというもの。
よって部品交換中は「代替商品を借りる」ということになります。
僕は代替商品をメーカーから受け取り、自分の車に設置したとき違和感に気づきました。
メーカー代替商品についている部品が、自分が購入した商品についていません。
コレはリコールとは別の問題であり、保証は購入店舗がする内容です。
そこで僕はことの経緯を赤ちゃん本舗に電話で伝えました。
「かくかくしかじか、リコールで代替商品を使って知ったのだが、そちらで購入した商品に部品が足りないです」
赤ちゃん本舗さんは僕の話を聞いた後、レシートと保証書を持参してほしい、と僕に言いました。
当たり前の対応なので僕はその申し出を承知して、2日後に店舗に伺いました。
店舗へ訪問後、店舗で状況を把握されている担当の店員さんに必要書類を渡しました。
するとその店員さんは店舗の奥に行き、足りない部品の入った段ボールを持ってきました。
そして僕に真摯な謝罪の言葉とともに代替品を渡しました。
「この度はこちらが販売した商品に落ち度があり申し訳ありませんでした。
あれからすぐにメーカーに問い合わせパーツを取り寄せましたのでこちらをお持ちください」
実物確認せずに電話連絡から2日後に実物の手配が終わっていることに、少し驚きました。
「レシート」「商品」「実物確認(実際に部品がないか)」してからメーカー発注もおかしくはありません。
この赤ちゃん本舗の対応が、普通というか当たり前といえばそうかもしれませんが、スピード感と丁寧な感じがとても好感を持ちました。
赤ちゃん用品は一般の大人向け商品などに比べ、より安全度や信頼誠意が求められるものだと思っています。
「誠実な対応」というのが、他の業界よりも重要だと僕自身考えています。
メーカーリコール対応がひどかった
余談ですが先に記載した「メーカーリコール」は、なかなかヒドイ対応でした。
大規模リコールだったようでで、そのメーカーの対応はかなり混迷。
僕はインターネットニュースでそのリコール情報を、メーカー発表からかなり早い段階でみつけ電話しました。
それでも何回電話してもつながらず、その週末の日中、何度もかけてつながりました。
僕はリコールは一定割合で発生すると考えているので、それ自体にそれほど怒りは持たないです。
しかし、購入者側は「本来なら必要のない」時間をとられ、不便を強いられる。
メーカーは一定の対応は必須と考えています。
僕は無茶を言うつもりもないので、粛々と代替品のやり取りをして完了で良いと思っていました。
しかし現実は思い通りにはいかず。
・代替品が用意できない
・代替品がいつ用意できるか確認して本日中に連絡する→連絡なし→3日後に着信
・配送時間の指定は無理、当日の朝、運送会社から時間を電話連絡するので当日は明けていてほしい
電話対応している人も、感情的に怒鳴られたりしているのか、声が疲れ切っていると感じました。
リコール中は、メーカー側は暴風雨の中ですが、それでも「もっと準備できるのでは」と思いました。
赤ちゃん本舗は劣化したのか
最後にこの記事タイトルの「赤ちゃん本舗は劣化したのか?」についての個人的な意見です。
僕個人の意見は「劣化」したのではなく「時代(ニーズ)にあわせて変化した」と考えています。
キーワードは「コモディティ化」と「(モール型)総合店舗推進」。
これはベビー業界だけではなく、日本全体の流れとして「コモデティ化」が進行しているということ。
コモデティ化=どの商品を買っても大差ない、均質化した状態。
「成熟」と言う言葉が当てはまるのかもしれません。
昔はもっと商品に特色、ばらつきがあったというなら、たしかに今よりそんな気がします。
この辺は何らかの根拠や数字があるわけではないので、体感的なお話です。
しかしこの体感的な部分が、先輩ご夫婦の冒頭の言葉になっているのかもしれません。
たとえるなら最近の家電などは特にコモディティ化が顕著。
家電量販店の店員さんからも、その正当性を後押しする言葉を聞きます。
「大きな声では言えませんが同メーカーでも、去年モデルと最新モデル、機能的にはほとんど差はありません」。
もちろんメーカー側も試行錯誤されているのは分かりますが、消費者側としては納得の言葉。
一昔前は特色が目に見えて分かる製品があったが、そうしたものが少なくなってきました。
いまはどこのメーカーのものでも、一定の機能と一定の品質をクリアしている。
こうした製品を「実店舗でたくさん取り扱う」と言うが現在の赤ちゃん本舗のやり方ただと思っています。
そもそも日本国内が少子化で、お金を持った祖父母も減っていく中、外部環境は厳しい。
赤ちゃん本舗は2017年、海外に目を向け「台湾に子会社」「中国は越境EC」展開。
拡大路線に進んでいる、というのはサイトにも記載がありますが、先はどうなるのか。
VR(仮想現実ゴーグルなど)が究極進化すると「家で感触を感じながら買い物」みたいな未来がくるのでしょうか。
赤ちゃん本舗の競合店は?
最後に一言。
赤ちゃん本舗の競合他社がどこなのか?
西松屋かベビザラスか?
違うと思っています。
今の一番の競合は「メルカリ」。
僕の知り合いもメルカリで個人間商品売買を活用しています。
特に赤ちゃん用品は、一定期間で不要になるものが多く、買いそろえる必要があるものが多いです。
子ども供服などは典型的で、頻繁にサイズ替えで使えなくなるという「更新頻度の速さ」。
それをメルカリを利用して、個人間売買で入手→売却を繰り返す。
強者になると、メルカリが主催しているさまざまなポイントをゲットして子どもの洋服代を極限まで下げています。
リアル店舗すべての競合となる、Amazonや楽天、Yahooショッピング、そしてメルカリ。
時代の変化は加速度を増しています。
ではでは
◆今回のまとめ◆
赤ちゃん本舗は劣化はしていない
進化しているともいえない
この先の舵取りは大変かも