NHKの45年に渡る調査で「結婚しても、必ずしも子どもを持たなくてよい」が、2018年に最高の数字になりました。
個人的には、日本は少子化で衰退一途と捉えていますが、この調査結果には賛成です。
理由は子どもを持つ持たないは個人が判断すること。
縛られるのではなく、自由な発想がしやすい良い時代だと思っています。
結婚イコール子どもという発想はマイノリティ
出典:第10回「日本人の意識」調査(2018)(NHK)
このデータを見て、僕が最初に感じたことは「自由度が高くなった」という事です。
昭和時代の前半生まれくらいの世代は、まだ「家(家系存続)」を残す思想が残っていたと認識しています。
結婚して子どもを持つことが当然、それ以外の選択肢を強い表現をするなら「認められていない」時代だったと思っています。
それが2018年の結果では、必ずしも子どもを持たなくてよいが、子どもを持つのが当たり前の約2倍。
個人社会のマイナス点もありますが、僕はこの流れは成熟社会であり、良い傾向と考えています。
時代によって、大切なものは変わります。
たとえば戦国時代の重要度は「個人」より「家(家系存続)」。
個人の死の価値はいまに比べ圧倒的に低く、自分が死んでも家が残るのであればそちらを選ぶ思想が、当時の武士は当たり前でした。
エンタメ本ですが、以下の本に「家(家系存続)」を残す内容がでてきます。
歴史ものにアレルギーがない方なら、一気に引き込まれるオススメの本です。
では少子化はどうするのか、それは個人ではなく国で考える問題です。
少子化の流れはいまのままではどうしようもない
以前のデータの再掲ですが、少子化推移が以下です。
出典:性別出生数および出生性比(国立社会保障・人口問題研究所)
2018年の生まれた子どもの数(推計数)は921,000人。
2018年の死亡数(推計数)は1,369,000人。
その差は448,000人。
出典:平成30年(2018)人口動態統計の年間推計(厚生労働省)
2018年は、約45万人が減少しています。
この45万人という数字、同じくらいの人数の市区町村が以下です。
だれもが知っている市区町村が、1年でまるごと1つ、消滅した数字です。
兵庫県 西宮市=488,126人
大分県 大分市=478,113人
岡山県 倉敷市=476,073人
石川県 金沢市=465,325人
広島県 福山市=463,020人
東京都 葛飾区=452,761人
兵庫県 尼崎市=451,072人
東京都 町田市=433,938人
神奈川県 藤沢市=431,286人
愛知県 豊田市=425,848人
千葉県 柏市=424,322人
香川県 高松市=419,696人
富山県 富山市=417,332人
長崎県 長崎市=416,419人
東京都 品川区=403,338人
岐阜県 岐阜市=402,537人
このまま日本はさらなる人口減少を、見て見ぬふりをするのか。
僕は、現在の政策ではそうなる、と予想しています。
別視点として「ママにやさしくない社会なので子ども増加は見込めない」と考えています。
では少子化対策はどうするのか。
少子化を急激に回復したロシアのお話が、以下の本に記載されています。
ロシアが行った施策は「子ども2人生んだ家族に、平均年収の2倍のお金を上げます」ということ。
この本によれば、ロシアでは平均年収2倍で、郊外であれば家が買えるという状況。
この施策によりロシアの合計特殊出生率は、1999年=1.16から2016年=1.75になった。
日本でも「子ども2人産んだ方に家を差し上げます」という法律ができたら、即物的ですが効果は高いと僕は思っています。
当然ですが税金投入なので、財源が必要、そのざっくり試算が以下です。
2017年6月住宅金融支援機構調べでは、全国平均の住宅購入価格は3,955万円。
この記事では4,000万円とします。
一気に払うには厳しいので、一般サラリーマン同様30年ローンで分割する。
ありえませんが、4,000万円を利息ナシ30年分割払いとすると、月額11万1千円。
コレを今の出生数約100万人中、1家族が平均2人産むデータから、50万家族に支払う。
11万1千円 x 12か月 x 50万家族 = 666,000,000,000円
6,660億円が1年間に必要な金額になります。
出典:第15 回出生動向基本調査(厚生労働省)
6,660億円が高いか安いか。
このまま人口減少を受け入れるのか、一定数以上の人口を維持し続けたいのかで、判断は分かれます。
僕は人口は現在の2/3くらいに減った方が良いと思っていますが、いまの子育て環境では急激な減少という未来を予想しており、このくらいしても良いと思っています。
さいごに
僕自身、現在は子どもがいます。
なぜ、子どもを持とうと思ったのかというと、一部の方には受け入れられないことも承知ですが「自分が経験してみたい」というワードが近いです。
生物学的に子孫を残す本能的なものや、家系存続という発想は僕にはありません。
僕のことをよく知る幼馴染には「子ども、向いてなさそうだ」と僕は評されていました。
それに反抗する意味も、無意識にあったかもしれません。
それでも一番、近い言葉は「子どもを持つとどんな世界になるのだろう(経験)」だったと感じています。
僕は人間は突き詰めると「自分」からは逃れられないと考えています。
その「自分」も、何をもって「自分」なのかという究極の問いがあります。
デカルトの「我思う故に我あり」です。
こうした考えの結果、わが家の子どもには失礼かもしれませんが、子どもを持つという親側のエゴを実行したとも言えます。
ではいま、子どもを持っていない方に「子どもを持った方が良いですか?」と質問されたら。
「ご自身で決断するしかないと思います」と答えます。
子育て未経験であると伝わらないと思いますが「判断」ではな「決断」です。
実際に子どもを持ってみて、嬉しいこともつらいこともあります。
何度も書いていますが、子育ては真剣に向き合うと、とてつもなくヘビー。
子どもの行動や言動の意味不明さと一貫性のなさ、気分屋さん、自意識過剰、親は寝不足と疲労蓄積。
思い通りにならない生物と24時間365日が少なくとも数年間続きます。
横道ですがGoogleのビッグデータ分析結果の本があります。
この本の中には「子どもがいる人は、子どもがいない人よりもその決定について3.6倍後悔している」という結果が出てきます。
誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性
子どもを持つことは、たいていの人にとって大きく人生が変わります。
経験してわかりましたが、子育ては綺麗ごとでは済まされません。
正直、子どもが好きか嫌いか、親側の向き不向きはあると思っています。
無理を続けて、親がつぶれるのは悪手です。
たまたま(結果論)ですが、僕にとっては良い点の方が上回っていました。
まさか、自分が自分以外の人間に、これだけ気持ちを持っていかれるとは。
それくらい、日々のこまごまとしたことも含め、財産とも呼べる時間をもらえました。
やはり結論は月並みですが「ご本人が決断するしかない」となってしまいます。
そして心の中で「フィットするならとてつもなく楽しい世界がそこにはあります」とも思っています。
僕は結婚後に、僕の奥様と子どもを持つか話し合ったときに「自分が経験したい」と素直に話しました。
後々、僕の奥様からこの発言について「正直、引いた」と言われました。