あなたの子どもはうまく謝罪できますか?

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育児・子供観察

突然、知らない子どもが自分の子どもに砂を投げつける。
あなたはその時「うまく対応」できますか?
似たような出来事はいくらでもあります。
被害者/加害者問わず、親になったら一度は考えておくとそのときに効果を発揮します。

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前提状況

とある公園で、僕は子どもと一緒に遊んでいました。
冬で気温が低かったの日ですが、日なたはそれほど寒くない。
風もあまりなかったので、僕の子どもは軽めのジャンパーを着ていました。

その公園は地域に根差した公園で、中規模くらいの面積。
地域によくある公園の中でも中規模くらいの広さの公園です。

公園には滑り台のついた大型複合遊具やブランコ、砂場があります。
大型複合遊具は比較的シンプルで、主な対象は小さな子ども向けのものです。

われわれが公園に行ったときには、3組の親子がいました
みなさんお父さんとお子さんという組み合わせ。

僕と僕の子どもは公園併設のトイレに行ってから、複合遊具の滑り台で遊んでいました。
僕が滑り台の下側で子どもを待ち、子どもが何度もグルグル滑り降りてくるという状況。
その時はわれわれ以外、複合遊具で遊んでいる子どもはいませんでした。

 

なにが起こったのか

僕の子どもが滑り台を滑り降りてきたときに、知らない男の子が僕たちに近づいてきました。
以降その男の子をA君とします。

A君は滑り台から降りてきた僕の子どもの1メートルくらい前で止まり、持っていた砂を僕の子どもに向けてバッと投げました
子ども投げ方なので本格的な投球ではなく、手をちょっと上に上げてポイするイメージです。
A君が投げた砂はそれほど多くはなく、それでも僕の子どものあごから胸元にかかりました。

 

その時に僕が発した言葉

予想外の出来事で、僕は瞬時に言葉が出せませんでした。
何か言葉を発しようとしましたが、うまく言語化できない状態。
やや間があって、発した言葉が以下。

おいおい、それはダメだろう

強い口調ではありません。
怒鳴るような言い方ではなく、あきれてものが言えないというような口調。

僕の言葉を聞いたA君は「きょとん」としています。
僕の言葉を受けて、とくに表情の変化はありませんでした。
笑顔でも悪意顔でもなく普通の表情で「ん?」という表情。

僕の子どもは、イヤなことがあると表に出す「イヤ顔」をしました。

 

その後の砂をかけた子どもとその親の対応

5メートルぐらい先に、A君の父親がいました。
と言っても、この時点でA君の父親が誰か、僕は認識していません。
僕の「おいおい・・・」という言葉が聞こえたよう、男性が近づいてきました。
ウチの子が何かやってしまいましたか?

 

この発言でこの人がA君の父親であることを、僕は知りました。
その父親は現場は見ておらず、事象発生時は自分のスマホを見ていました。

僕はA君の父親に「A君がウチの子どもに砂を投げつけた」ということを淡々と伝えました。
それを聞いたA君の父親はハッとした表情になり、A君を探しました。

この時、A君は現場から5メートルほど離れた砂場に行っていました。
多分、その砂場の砂を持ってきたと予測できます。

A君の父親はすぐにA君のところに行き、事情を聴いているようでした。
というのも少し距離があったので、僕にはボソボソとしか聞こえません。

人の親子のお話を盗み聞きするのもあまり良いとは思えないのですが、やはり意識がそちらに向いている。
何を子どもと話しているかは気になっていました。

それと同時に自分の子どもにどういう行動をするかも考えなくてはいけない状況。
ウチの子どもは少しスネているようで、まだ「イヤ顔」をした状態。
どうするのか悩みましたが「切り替えが大事」と思い、「良し、もう1回滑ろう!」と言いました。

 

すると背後から足音が聞こえてきました。
多分謝罪に来たのだろうと思い、僕は振り返りました。

そこにはA君が先ほどと同じような普通の表情で僕の前に立っていました。
この時の位置関係はA君と僕がほぼ正対、僕の子どもはA君の右斜め前です。

A君は僕に向かって「ゴメンナサイ」と言いました。
表情は不満顔や怒り顔イヤイヤ顔などのいずれでもなく、平常表情でした。

それに対し僕は自分の子どもの気持ちもくみ取ったほうが良い、と思ったのですが発した言葉が以下。
うん、わかった。もうやらないでね。

A君はA君の父親のところに走って行って「ゴメンナサイしてきた」と報告していました。
やはり距離があるのでやや聞き取りにくいですが、ほぼそんな言葉でした。

A君の父親は「だれに誤ったの?男の子に誤ったの?」とA君に聞いています。
A君は主に父親である僕に謝りましたが、僕の子どもの前に立って謝ってはいません。

再度A君はわれわれのところにきて、今度は僕の子どもの前に立って「砂をかけてゴメンナサイ」と言いました。
そしてA君の父親に「男の子に謝ってきた」と報告していました。

僕の子どもはその謝罪をうつむきながら無言で聞いていました。
少しの間イヤ顔は続きましたが、僕がしばらく抱っこしていたら機嫌が戻り、イヤ顔が消えまた遊びだしました。

 

今でも読み解けていないこと

この一連の流れの中で、読み解けなかったのがA君の行動の理由というか動機。
もっと言うなら悪意があったのかということ。

3歳~4歳の子どもが、知らない子どもに砂を投げる。
事が起こるまでに遊具の取り合いや、おもちゃの嫉妬などは多分ない状況。
もちろん、A君がわれわれが遊んでいた滑り台を滑りたくて眺めていた可能性はあります。
しかし少なくともA君は砂を投げるまで、その遊具の近くにきていなかったことは事実です。

あとは「人に砂を投げる行為が悪い」ということがそもそもわかっていない可能性。
小さな子どもがまだ善悪判断ができないことがあるのは当たり前。
こう思った理由は「表情の変化がないこと」「A君が最初ぼくに謝ったこと」「謝罪言葉が平たんだった」と僕が感じたためです。

 

A君の父親の対応はどうったのか

子どもが他の子どもに、一般的に考えて「悪い行動」をしたときの親の対応。
A君の父親の今回の対応は正しかったのでしょうか。

まず問題が発生したとき、すぐに「うちの子が何かしましたか?」という確認。
使っている言葉も悪くなく、まずはフラットな目線で客観的事実を確認している。
その後、自分の子どもに本当にそれをしたのか?という質問。
そして子どもに謝罪させるよう、促している。
1度目の謝罪相手が当事者ではない父親である僕だったので、再度当事者の僕の子どもへ言葉を変えて謝罪させている。

良い対応だったのでは、と僕は考えています。
あえてダメな点を上げるなら、事が起こったときにスマホを見ていたということでしょうか。

 

僕の対応はどうだったのか

正直、今回の僕の動きが「最適」だったか、今でも自信がありません。
そして何が「最適」なのか、今でもうまく結論を出せていません。
この出来事について、後日、家庭内で僕の奥様と話し合いました。
僕の奥様に話をしていて、まだ自分の中でしっくりしないものが残っています。

それでもA君が砂を投げた直後の言葉は、良かったと思っています。
「おいおい、それはダメだろう」

自分の子どもが被害者なので、もっと高圧的に怒鳴るなどのシナリオも考えられます。
しかしそれで自分の子どもの(将来視点含め)良い影響があるとは僕には思えません。
理不尽なことに対し感情的に対抗する、それを見た子どもが「そういう対応で良いのだ」と思ったらやはり不適切です。

偽善論というお話ではなく「何でも許す」と言うほど、僕は人間ができていません。
それでも出来る限り冷静に客観的に未来志向でありたいと思っています。
誤解を恐れずに言うなら、究極的には「受容」だと考えています。

別案として「何も言わない」というのもやはり悪い対応だと考えます。
僕の発した言葉は、自分の子どもの意思も代弁しており、A君の行為の悪質性も指摘しています。
語調が強くなかったこともやはり良かったのでは、と思っています。

 

後日振り返って考えたこと

すでに書きましたが、この事象について自宅で僕の奥様と話し合いました。
イロイロ話をしたのですが、一番のポイントは以下です。

自分の子どももいつ加害者になるかわからない、その時自分たちがどう対処するのか?

幼児期の子どもに「善悪の判断」や「行動の完全なる責任」は、当然無理です。
長年生きていてもさまざまな失敗をして、修正をしながら調和点を探すのが人間。
そして大人であれば、当然行動の責任を負う覚悟を持つことは当たり前です。

子どもはまだ、自分の行為の意味、自分以外の影響がそもそも白紙状態のことがあります。
言葉通り「何気なく」一般社会でNGである行為をしてしまう。
NG行為を他人に対して行ってしまった時、親がどうするのか。

僕の奥様と僕で話し合った「加害者になった時の対応」は以下です。

  • まず本当にそれをやったか本人に確認する
  • 本人がそれを認めたら一緒に行ってしっかり謝罪する、できれば本人が謝罪、できなければ親が謝罪
  • 子ども本人がやっていないというのであれば、本人と一緒に相手のところにいって事実を確認する
  • 加害者であった場合は、相手方への謝罪をした後、場所を変え子どもの目の高さを合わせ子どもの目を見て叱る
  • 叱るのは「その場」で「すぐ」に「短く」「手ぬるくならない」ように
  • 叱った後に子どもを抱きしめる
  • そして気持ちの切り替えを親が率先する
  • 家に帰ってから夫婦で情報共有・その行動が良かったか振り返る

「親が謝罪する」のか「本人が謝罪させるのか」コレは意見が分かれそうなトコロです。
親が謝罪する姿をあえて子どもに見せて、子どもが自分が悪いことをしたと認識させる。
または子どもに謝罪をさせて、自分の行為に対する責任を認識させる。
この辺りは子どもの発育状況や、加害レベルなどで画一的な答えはないと思います。

 

また、こういうことを夫婦間で共有する事はメリットがあります。

  • 自分が経験していないことでも考えるきっかけになる
  • 第三者視点でその事象について検証・検討できる
  • 両親の行動がバラバラだと子どもがどう考えてよいか迷う
  • 夫婦間のコミュニケーションになる

特に最後の「夫婦間コミュニケーション」は副次的ですが良いですね。
一般的な正解がない話題ほど、イロイロ意見が出て話す意味も高まります。
子どもが手のかかる時期は、話し合い時間を取るのが最初のハードルですが。

ではでは。

◆今回のまとめ◆

子どものやりとりは四角四面にはいかない
誰しも加害者になる可能性
そのときのために事前検討は有効