もし自分がエジソンの母親だったとしてホームスクールを選択できるか

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育児・子供観察

発明王エジソンがホームスクール(ホームワーク)で育ったことは有名です。
彼は暗記型教育があわず、小学校中退という最終学歴ですが、実績はだれもが知るところ。
振り返って、いま日本やアメリカのホームスクール事情はどうなっているのか。
子どもを持つ親として、選択肢の1つとしての「ホームスクール」を考えました。

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ホームスクールとは、形態別の種類

「ホームスクール」とは、通学せず主に自宅を学習場所として学ぶ学び方。
ホームスクーリングを教育形態で分類すると、以下です。

①ラーニング・アット・ホーム
子どもが親(教師役)と一緒に学校の教科書なども使い学ぶ形態
子どもにとって一番身近で、自分のことを把握している親が教師役
最近はインターネットで在宅講座をする方式もある
時間に束縛されない

②アンブレラ・スクール
他のホームスクール生徒とともに、短期に同一のカリキュラム(授業)を受ける形態
ホームスクーリングを支援している学校がホームスクーラーをサポート
一定の場所に生徒を集めて授業を行ったりカリキュラムを用意したりすることもある

③アンスクーリング(非学校教育、ナチュラル・ラーニング)
子どもの自主性に任せて本人の学習する意欲・興味に従って教育を進める
カリキュラムや時間割がない点がおおきな特徴

僕自身は大半の人が属した一般的な学校を経て、いまに至っています。
そして大人になるまでホームスクールという選択肢を知りませんでした。
その理由の1つに、ホームスクールは日本ではグレーということもあると思っています。

日本の法律ではホームスクールは違法ではないが

ホームスクールについて考えるとき、以下の法律が関連してきます。

第3章 3-26「教育を受ける権利、義務教育」
3-26-1 すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
3-26-2 すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。

出典:日本国憲法

第4条 義務教育
1 国民は、その保障する子女に、九年間の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は、地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料はこれを徴収しない。

出典:教育基本法

第91条 第22条第一項又は第39条第一項の規定による義務教育履行の催促を受け、なお履行しない場合は、これを10万円以下の罰金に処する

出典:学校教育法

これらの踏まえ、1つのキーワードとして「義務教育」があります。
学校教育法の第1条に、以下の学校分類の記載があります。

学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校

出典:学校教育法

これらの学校を日本の義務教育では「学校教育法第一条(通称一条校)」と呼び、この認定を受けている学校で時間やテスト結果を残すことで、日本で教育終了資格が得られます。

「義務教育」という観点で考えると、日本の憲法で認められている選択肢ではない、ということでグレーになります。
ただ、日本ではその存在がグレーだったとしても、アメリカはホームスクールは認められています。

アメリカのホームスクールを選択しているのは3%弱

アメリカでは全州でホームスクールが認められています。
正確な数字は出しにくいらしいのですが、1つそれらしい数字が以下です。


出典:Number of Homeschoolers in US 2018-2019(HomeschoolConnect)

だいたい3%弱の子ども達が、アメリカではホームスクーリングを受けています。
日本では増加しているというようなニュースもありますが、日本はその実数を把握したものは見つかりませんでした。

アメリカでは、個人の権利に対して敏感という世相もありますし、過去事例も影響しているのではと思っています。
過去事例として、最も有名なのが、エジソンがそうだったというもの。
有名な人物の例としては以下です。

・トーマス・エジソン(発明王)
・アルバート・アインシュタイン(科学者)
・アイザック・ニュートン(科学者)
・ジョージ・ワシントン(第1代 アメリカ大統領)
・トーマス・ジェファーソン(第3代 アメリカ大統領)
・エイブラハム・リンカーン(第16代 アメリカ大統領)
・フランクリン・ルーズベルト(第32代 アメリカ大統領)
・アンドリュー・カーネギー(実業家)
・テイラー・スフィフト(芸能)

なぜホームスクールという状況が発生するか

積極的理由として、子どもの才能を伸ばしたい(親の考え)が上がります。
たとえば暗記型・詰め込み型があわない・向かない子どもが選ぶというケースです。
エジソンがこれにあたります。

横道ですが、アメリカは高い才能を持っている子どもを、より良い環境におくという社会一般概念があります。
このギフテッド教育については以前、以下で書いています。
https://rutenzanmai.com/child-care/genius-or-enjoying/

積極的ではない理由として、いじめや集団生活との折り合いがつけにくいというものがあります。
個人的にはいまのいじめは、悪質な状況になりやすい環境だと考えています。


出典:平成29年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(文部科学省)

日本でもホームスクールの有名な事例として、中島芭旺(ばお)さんがいます。
9歳から学校にいかずに、ホームスクールしており、以下の本も執筆なされています。
ただ、この一例を取り上げて、ホームスクール賛成というのは短慮だと思っています。

もし自分がエジソンの母親だったとしたら

この記事のタイトルである「もし自分がエジソンの母親だったとしたら」。
彼の母親のように「自分(の家庭)で育てる」という選択肢をするか、できるか。

僕は「家庭内ではなく別の教育機関を選ぶ」です。
理由は「自分が子どもに一般的な教育より高い教育をできる自信がない」です。
これには自分が社会人として、経験してきたことも大きくかかわっています。

僕はこれまでそれなりの数の、僕がリードする側(平たく言うと上司)の役割を経験しました。
その結果、(部下が)劇的に成長したと僕が感じる機会が少ない、と感じています。
成果を上げる人はいましたが、振り返ってみるとそれは僕が関わっているかどうか無関係で、どんな環境でも結果を出したのではと思っています。

さらにこれには大きな声では言えない、個人的な話にも裏打ちされています。
ある上場企業のTopの人と雑談した時、彼の以下の言葉が厳しい現実ですが自分の体感値に近いと思うからです。
「できる人は何をやっても結果を出す、できない人をできる人にするのは一定までは可能、それ以上はコストに見合わない」

もちろん大人と子どもで、考えるべき点は違うので同列で考えるのは無理もあります。
ですが、自分が人を育てることに向いているか・得意か、と考えるとその素養は高くないと自己分析しています。
まとめると、僕が自分の子どもをホームスクールで育てることができるかというと、難しいという結論になったというわけです。

僕自身はたくさんの人と接してきて、得るものは本当に多かったです。
相対的でもあり主観ですが、自分のレベルや特性、向き不向きなど、人と接して比較できたから自分がだいたいこんなレベルと把握もできました。

一応ですが、現時点ではわが家の子どもは、家庭内教育を選択するような状況ではありません。
それでも、いつ、そういう状況になるのかは分からないと思っています。

さいごに

もし、自分の子どもがいじめにあったとしたら、僕の第1選択候補は転校だと思っています。
その前に子どもの状況によって、しばらく不登校のような状況はまったく問題ないとも思っています。

大多数の子どもが所属する学校・幼稚園/保育園という枠組み。
その閉鎖社会ではじき出されたとしても、生きる場所は別にいくらでもあることは大人なら分かります。
それを子どもがわかるか、といえば難しいというのが子どもの置かれた環境。

そうであるがゆえ、親が「監視」ではなく「観察」というアンテナをいつも張っておく。
そして状況に応じて、違う選択肢(道)があることを差し出す。

Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.
(教育は、あなたが世界を変えるために使うことができる、最も強力な武器です。)

ネルソン・マンデラ(南アフリカ共和国第8代大統領、1990年 アメリカマディソンパーク高校のスピーチより)

偉人の言葉ですが、僕はこれに賛成です。
もちろん教育と言っても、教科書的な勉強だけではなく、生きる力をはぐくむ経験などもあると思っています。
これらの教育(環境)を整えることは、親が子どもにできる最高のプレゼントの1つだと僕は考えています。