運動できる子は成績が良い、運動神経成長は12歳まで

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育児・子供観察

子どもの運動神経発達は12歳がリミット、というスキャモン発育曲線があります。
神経の成長が12歳でほぼ100%になり、それ以降は伸びない。
そして子どもの外遊び時間は、年々減少していますが、そもそも運動することに意味があるのか。
少なくとも、運動する子は成績が良いという研究結果が世界中にあります。

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スキャモンの発育曲線では12歳で神経性長が止まる

以下が有名なアメリカの学者・スキャモンによって発表された「スキャモンの発育曲線」です。

出典:女性アスリート指導者のためのハンドブック(国立スポーツ科学センター)

スキャモンの発育曲線は、20歳時の発育を100%として、4つの系統の発達具合をグラフに表しています。
このなかで運動能力に関わるのが青色の神経型。

神経型(神経回路)は0歳~5歳ごろまでに80%まで成長、12歳でほぼ100%になる。
1度できた神経回路は、ほぼ消えることはなく、例として自転車を1度乗れるようになると、しばらく乗らなくても乗れるようなもの。

このうち、5歳~12歳の時期をゴールデンエイジと言います。
ゴールデンエイジには、分解すると3つの時期に分けられます。

  1. プレ・ゴールデンエイジ(5歳~9歳)=「神経系の発達」時期、運動の基礎を作る時期
  2. ゴールデンエイジ(10歳~12歳)=見てすぐにまねるできる「即座の習得」動きの習得に最も適した時期
  3. ポスト・ゴールデンエイジ(13歳~15歳)=短期間習得が難しくなる時期

いくつかの情報を眺めていると、技術習得時期として「ゴールデンエイジ(10歳~12歳)」が重要とありました。
ですが、僕が見ていて思ったのは「プレ・ゴールデンエイジ(5歳~9歳)」の重要性。
この時期は、神経回路の基礎をつくる。
基礎がなくては、応用はできない。
歳を追うごとに、基礎の重要性が理解できるので、これを強く感じます。

プレ・ゴールデンエイジの時期に、重要と言われるのが[走る][止まる][投げる]などの基本動作。
最近の言葉で言うと体幹を鍛えるのも近いと感じます。

その5歳~9歳のプレ・ゴールデンエイジ期に、現在の子どもは遊んでいるのか。

子どもの外遊びの時間は35年で45%減少

過去35年の「子どもが外で遊んでいる時間」の情報がCITIZINにありました。


出典:「子どもの時間感覚」35年の推移(CITIZEN)

35年のアンケート結果では、外遊びの時間が59分減少。
減少率は45%と、約半分の時間に短縮しています。

減少した理由はいくつか挙げられます。
・環境の変化(遊び場が減った)
・人数の変化(子どもの数の現象で、チームスポーツができないなど)
・習い事の変化

習い事は増えているのか、内閣府にデータがありました。


出典:子供・若者の状況 第6章 生活行動・意識(内閣府)

この右のグラフが習い事の情報で、習い事が大きく増加していません。
ただし、比較年が2004年と2009年なので短期間かつ、少し古い。

左のグラフのクラブ活動も、小学校高学年を除いて、減少してません。
5年推移情報ですが、習い事は大きく増加しておらずクラブ活動も、微増のようです。

ただし、親の運動に関する考え方は、変わっています。


出典:学校外教育活動に関する調査2017(ベネッセ教育総合研究所)

「運動や音楽よりももっと勉強してほしい」という考えの親が、どの年代でも増加しています。
このあたりを総合すると、子どもの運動時間は減少している、と僕は受け取りました。

運動や遊びをたくさんして運動神経が良くなると、何か人生に役立つのか。
1つに、学力との相関関係があります。

「運動能力」と「学力」には相関関係がある

「運動能力」と「学力」の関係に関する、いくつかの調査があります。

スウェーデンの小学校での運動と成績に関する調査を実施
運動以外ほぼ同条件で、毎日体育をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを比較
その結果、毎日体育をするクラスは、週2回体育のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かった

アメリカでも小学校3年生と5年生、合わせて250人規模の同調査を実施、同じような結果が出た
心肺機能・筋力・敏捷性を計測ろ、体力のある生徒たちは算数と読解で高得点
しかも、体力的に優れていればいるほど、得点も高い結果

出典:子どもの学力と体力の知られざる深い関係(東洋経済オンライン)

 

では日本ではどうなのか。

平成21年度から27年度までの期間の高学年男子221名、女子259名が調査対象
体力測定も学力測定も5年生と6年生の同じ対象者(21年度は5年生、27年度は6年生のみ)で実施
5年生で1回、6年生で1回と計2回測定
その結果、体力測定項目と学力測定項目間で多くの相関が認められた
しかし、いずれも相関は弱かった。

出典:小学生の体力と学力の関連性(日本生理人類学会誌)

 

また、筑波大学の研究でも「短時間の運動で記憶力が高まる」と発表されています。

・10分間の中強度運動で、物事を正確に記憶するために重要な「類似記憶の識別能力」が向上を、ヒトにおいて実証した
・これまで、海馬への運動効果は動物研究で多く検証されてたが、短時間運動でも実際にヒトの海馬に関連する機能向上を示したのはこれが世界初
・短時間の低~中強度の運動が前頭前野の注意・集中、計画・判断などの認知機能に効果的であることを提唱してきたが、今回は記憶力向上にも有用であることを新たに確認した

出典:短時間の運動で記憶力が高まる(筑波大学)

 

ベネッセの調査でも、スポーツ活動率が高い子どもは、成績が良いという以下の結果があります。


出典:子どもの「運動格差」を生じさせるものは何か?(ベネッセ教育総合研究所)

最後に、現実問題として、運動する子どもの家庭の経済情報に触れます。

所得による運動格差


出典:親の経済状況と子どものスポーツ活動(ベネッセ教育総合研究所)


出典:子どもの体力は親の収入で決まる? 23区で最も低いのは〇〇区だった(ハフポスト)

どちらのグラフも、経済状況が良い家庭の子どもは、良く運動しています。

友達と公園で遊ぶなら、基本お金は不要です。
しかし水泳やサッカーなどの習い事は、一定のお金がかかります。
ちなみに、男の子の習い事1位は水泳です。

東京では空地が少なく車が多い、東京以外でも知らない空き地に入ることは、現代ではハードルが高くなっています。
また、最近の親が考える「安全」も、習い事であれば、一定は担保される。
専門家に教えてもらうことにより、技術の向上、習得速度の速さもあります。
いろいろ考えると、水泳やサッカーを習わすのも良いのでは、と考える親が増えるのは納得です。

東京で共働きで働いているご夫婦であれば、1,000万以上の世帯収入のご家庭も多い。
こうしたご家庭であれば、月数千円~1万円ちょっとのお金は惜しまないでしょう。
ただ、このグラフは、この金額が厳しいご家庭もあることを物語ってもいるとも取れます。

さいごに

ゴールデンエイジをまとめます。

・運動を定期的にすると脳の神経回路が増える(特に中強度の有酸素運動)
・子どもの外遊びの時間は減少している
・「運動や音楽よりも勉強してほしい」という考えの親が増えている
・運動ができる子は成績もよい
・親の経済状況が良いご家庭の子どもはよく運動をしている

僕は今回「ゴールデンエイジを自分なりにまとめよう」という目的で調べました。
運動できる子は成績がよいだろう、と最初からできるだけ考えないようにしていました。
それでも、結果は「運動できる子は成績がよい(相関がある)」でした。
ただ、自分の経験上、これは合っていると思っています。

子どもに限らず、大人でも成長するには[環境]と[自分の努力]が必要です。
特に[自分の努力]は、子どもであれば「楽しい」要素がないと、継続が難しいとも思っています。

子どもが外で遊ばないなどの環境、家の中での遊びスマホがある現代。
子どもに自発的に体を動かしてもらうことを目指すなら、親は工夫が必要だと感じます。