この文章のトピックスは以下です。
・小学生の読書量は減少傾向にあったのが2023年は上昇している
・小学生男女比では女子が、学年別では低学年の読書量が多い
・中学生はここ数年の読書量は増えている
・中学生の男女比では女子の読書量が多い
・高学生はここ数年の読書量は減っている
・高学生は年次が上がるごとに読書量は減っている
小学生の読書量は減少していたが2023年は増加
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は小学生、全体と男女別の1か月の読書冊数です。
全体傾向はバスタブ型で、一番古い1989年が最高値でそこから下がって、最新年の2023年に上昇しています。
男女比では女子の読書量が多い。
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は小学生、学年別の1か月の読書冊数です。
一番古い1989年を除いて、低学年ほど読書量が多い。
グラフ内緑色線の小6は、ほぼ最下位を続けています。
中学生の読書量はここ数年は増加傾向
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は中学生、全体と男女別の1か月の読書冊数です。
データが3年分しかないので、ここ数年の傾向です。
男女比では小学生の時と変わらず、女子の読書量が男子より多い結果です。
小学生と同様、最新年の2023年は読書量が増えています。
コロナウィルス禍影響かと思いきや、2020年もそれにあたるので微妙ではある。
ただ、コロナ過外出自粛で、試しに本を読んでみたら、本がおもしろく読書の楽しみを知った人が広がった可能性は考えられます。
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は中学生、学年別の1か月の読書冊数です。
全体的には大差はありませんが、中学1年が一番読書量が少しだけ多い結果です。
高校生の読書量のここ数年は減少している
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は高学生、全体と男女別の1か月の読書冊数です。
データは2年分しかないので、推移ではなく2年分の結果です。
全体傾向は右肩下がり。
2021年はコロナ過最中ですが、読書量は増えていません。
また、小中学と違うのは、高校は男子の読書量が女子を上回っています。
出典:白書シリーズWeb版(学研教育総合研究所)
上記は高校生、学年別の1か月の読書冊数です。
高1が高く(読書冊数が多く)、高3が低い。
大学受験準備を考えるなら、妥当な傾向です。
人生の寄り道としての読書
何かに追われる感覚、自分が作り出した架空の脳内生物が生き急ぐようにこちらを見ている。
コスパやタイパ、効率化などの言葉を最近よく耳にしますし、自分の将来を考えると漠然とした不安があり、自分の資本主義的価値を高めないといけないと焦る。
「思春期や青年期の若者のあいだで不安が蔓延している」という事実だ。
メリカ国立精神保健研究所の報告によると、刺繍んきの若者の3分の1近くが、少なくとも1度は不安障害に陥った経験があるという。
この傾向は一時的な広がりではなく、不安を抱える若者の数は増え続けている。
18歳~25歳で不安を感じている人の割合は、2008年では8パーセントだったが、2018年には15パーセントに増えた。
不安を感じている若者が増えていることは、私も個人的に感じ取っていた。
優秀な学生の多くが、FOMO(Fear of Missing Out 取り残されることへの不安)を感じているのだ。
それも、楽しいことから取り残されるのではないかと不安になるのではない。
「終わりのない成果競争で生き残るために欠かせない何かを、自分はやり損ねているのではないか」と不安になっているのだ。
現代ではFOMO、振り落とされないようにしないといけない感覚が増えていると、周囲を見て感じます。
リスキリングもその1つ、最近、妊娠中や出産後の女性に対してそれを求めた結果、ネットで炎上していました。
乳児がいる時期はやることが多すぎて、未来よりも現在を生き残るステージで追われる感覚を持つ余裕すらなくなりますが、ふと立ち止まった時、キャリア視点で大丈夫だろうかと考えてしまうのも分かる。
長い目で見てみると、育児に本気で取り組むのはプラスになりますが、当事者はまだそれは分かりません。
余裕がなくなると、大切なことを含むさまざまなモノを受け取られなくなってしまう。
限界を超えて走り続けて、転んで強制停止になるのを考えると、意識的に立ち止まる勇気は中庸でもある。
そんな時の1つアプローチとして、いつも読んでいるビジネス本ではなく、自分の好きな娯楽の本を持って1日、のんびり過ごしてみる。
フルタイム就業者で家族がいて、週末もなかなか自分の時間が取れないのであれば、平日に有給休暇を取得して1日オフの日と決める。
適当に目的地を定め、本を1冊持って電車に乗る。
電車ではなく自転車や歩きで、大きな公園を訪れるのも一案です。
その日は何もしない日と固く心に誓って、大きな公園のベンチで横になって読書する。
真夏や真冬は読書環境として過酷なので、春や秋の直射日光を浴びても耐えられる気温の時が最適です。
座って本を読んでも良いし、横になっても良い。
風が吹くと木の葉が揺れる「さー」という音が聞こえる。
聞いたことがあったりなかったりする鳥のさえずり、犬同士のじゃれあいのような吠える声、通り過ぎる人の会話、子ども達の高い声。
浮世離れモードに自分が入って、周囲の音も耳に入ってもどこか遠くの世界のお話として聞き流す。
読書を阻害しない喧噪であれば、そのまま読書を続けます。
集中を妨げるようならノイズキャンセリングイヤホンで音を遮断する手段も現代にはあります。
基本は読書タイムですが、鳥の鳴き声を聞いて「聞き覚えがあるけどなんだっけ」と横道に逸れるのも良し。
持ってきた本が自分の好みにフィットして、周囲の状況が耳に入らなくなるような本だった日は大当たりです。
早く次のページをめくって先を知りたい欲求との闘いですが、本日の休息コンセプトと同じく慌てずゆっくり。
おもしろい本の読後感は、大作映画を見るような疲れもありますが、そこには軽い疲れとともに大きな満足感があります。
読み疲れて、軽い昼寝も心地よい。
平日、睡眠不足と感じているなら、その反省も兼ねたぜいたくな時間の使い方です。
お腹が空いたら、近くのコンビニやファーストフードでテイクアウトを買ってきて食べる。
あるいは、近所にある気になっていた外食屋さんに入って、お目当てのメニューに舌鼓を打つ。
空っぽの1日。
nothingではなくempty。
入れ物が空の状態だと、何かを入れられる。
入れ物が溢れていると、追加しても零れ落ちる。
明日からまた歩き出すための休息のお供として、本は活用できます。
さいごに
電車に乗って読書していてたら、気が付いたら目的地駅を乗り越してしまうような、のめり込む本に出合えた時は嬉しい限り。
あるいは、寝る前に本を読み出したところ、もう少しを繰り返すうち朝日を迎える。
フルパワーの意志力を使って、もう寝ないと明日の仕事に響くと断腸の思いで本を閉じるが、翌日の仕事中も続きがどうなるのか楽しみでしょうがない。
ショート動画が隆盛している現代。
2倍速で動画を見る人も増加しており、タイパ思想の言葉通りになっています。
1冊の200ページくらいの難しくない文庫本を読むのに、2時間~3時間として。
これだけの時間を要する読書に対し、タイパを意識する人には心理ハードルがあるのは分かる。
それでも良い映画と同じく、良い本に出合えるとその後の人生が少し豊かになります。