ここ20年の中学生の運動部

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育児・子供観察

中学校の運動部参加者ここ約20年では-6.5%です。
少子化は理由の1つですが、同時期の中学生の減り幅は-11.5%で、少子化減少率の方が大きい。
参加種目別では、男子の野球が昔に比べ減少していますが、それ以外大きな変化はありません。
部活動は子どもの勉強にプラスに働くと、親の約2/3が考えています。

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中学生運動部の数は微減

2004年度から2022年度までの約20年間の、中学校の運動部の数が以下です。

中学校の運動部の数
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

2004年度が119,254、2022年度が110,562、-8,692(-7.3%)となっています。
同じ時期、学校基本調査での中学生数の減少割合は-11.5%。
少子化で生徒数が減少している割合より、部活数減少の方が少ない結果です。

中学校 男女別運動部数
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

男女の運動部数の推移が上記です。
男女とも緩やかに減少しており、どちらかが特別減っているわけではありません。
男子の減少率は6.7%、女子の減少率7.9%で、もともと女子の方が参加率は低いですが、ここ20年の減少率も大きい。

1運動部あたりの部員数減少が大きい

中学生 運動部 参加人数と割合
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

運動部の参加人数は-12.5%、先ほどの運動部数の-7.3%よりも多い結果です。
一度、廃部にしてしまうと再始動が難しいのは想像でき、人数は減っても、一定までは部活としての残るのは分かります。
また、再掲ですが、中学生数の減少割合は-11.5%なので、参加人数減少割合はほぼ同値。

中学生男女合計の運動部参加割合では2004年度は65.0%、2022年度は58.5%、前後比-6.5%です。
危機的な運動部離れのような報道もありますが、多様化から考えるなら順当な数字ではないのか。

中学生 男女別 運動部 参加人数
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

男女別の運動部参加割合が上記です。
2004年度と2022年度を比べると、男子が-22.5%、女子が-19.6%で、男子の方が運動部に所属しない生徒が増えています。

中学生 1運動部当たりの部員数
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

運動部減少数<運動部参加生徒数なので、上記の通り1運動部当たりの部員数が減っています。
減り幅は、男子が-16.9%、女子が-12.7%です。
多人数が必要な競技が、人数不足でチームとして成り立たない可能性が高まっていると言えます。

部活種類 男子は少し変化、女子は変わらず

この段落は、男女の種目別参加人数です。

中学校 種目別参加人数 男子 2022年
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

男子の1位はバスケットボール、2位はサッカー、3位が卓球、4位が軟式野球、5位がソフトテニスです。
卓球は2022年に躍進しているのではなく、2004年度は3位と昔から人気がある部活です。
大きな変化としては、軟式野球が2004年度は1位でしたが、2022年度は4位に下がっています。

中学校 種目別参加人数 女子 2022年
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

女子の1位はソフトテニス、2位バレーボール、3位バスケットボール、4位卓球、5位陸上競技です。
女子の2004年度と2022年度の種目を比べると、若干の入れ替えが発生していますがTop5の種目は同じです。

中学生の運動時間と体力合計点は大きく減少していない

運動部に入る生徒は微減を続けているので、実際の運動時間と体力合計点が減っているのか。

中学校 1週間の総運動時間 男子
出典:全国体力・運動能力、運動習慣等調査(スポーツ庁)

中学生男子の1週間の運動時間合計推移です。
2013年から「0分」という項目が増えています。
総論、真ん中区分の「60分~419分」が増加しており、運動時間が短い生徒と長い生徒が減っています。
1つ付け加えると、2021年と2022年はコロナウィルス禍のため、これは減少要因として留意点です。

中学校 1週間の総運動時間 女子
出典:全国体力・運動能力、運動習慣等調査(スポーツ庁

女子全体の流れは、運動する生徒が増えている。
「59分未満」が減り、「60分~419分」が増えています。
「420分以上」運動する生徒は、ここ約20年で-0.1%と、変わっていません。

中学校 体力合計点 男女
出典:全国体力・運動能力、運動習慣等調査(スポーツ庁

中学生の体力合計点推移が上位ですが、増減なし。
ここ約20年で、男子は-0.37%、女子は-1.01%で、体力合計点は大きく下がっていません。
子どもの体力が落ちている論評は、このデータからは誤報です。

指導員は外部が大半

中学校の部活の指導員は、中学校の先生が担当するケースと、外部にお願いする外部指導員に分けられます。
これら2つの種目別情報が以下です。

中学校 種目別 指導員数・外部指導員数 2022年
出典:加盟校・加盟生徒数調査集計表(公益財団法人 日本中学校体育連盟)

一目でわかる通り、2022年現在、中学校の先生が指導員となる割合より、外部指導員(グラフ内 灰色)の割合が大きい。
令和時代の運動部は外部者指導者が多い結果です。

親は子どもの部活にメリットを感じている

以下は栄光ゼミナールが2022年7月に実施した、「中学校の部活動と勉強に関する実態調査」です。
対象は中学1年生~高校3年生の子どもを持つ保護者236人。

子どもが中学校の部活動でメリットだと感じているもの
出典:中学校の部活動と勉強に関する実態調査(栄光ゼミナール)

塾通いする子どもの親が回答者のためか、プロスポーツ選手を目指すような回答は上位にはありません。
社会性や子ども自身の体力向上、ストレス発散など、地に足の着いた回答ばかりです。

子どもが中学校の部活動でデメリットだと感じているもの
出典:中学校の部活動と勉強に関する実態調査(栄光ゼミナール)

このアンケート、塾で行われたためとも言えそうですが、デメリットの1位は「勉強時間が減る」。
しかし2位が「特にない」となっています。
以降も、無理やりデメリットを上げるなら、のような回答が並んでいます。

中学校の部活動が勉強に良い影響を与えていると感じるか
出典:中学校の部活動と勉強に関する実態調査(栄光ゼミナール)

部活が勉強にプラスに働いているのか。
「とても感じる」と「どちらかと言えば感じる」の、プラス側解答合計は65.0%です。

中学校の部活動と勉強を両立できていると感じるか
出典:中学校の部活動と勉強に関する実態調査(栄光ゼミナール)

部活動と勉強を両立できているか。
「とても感じる」と「どちらかと言えば感じる」の、プラス側解答合計は77.9%。
部活動をネガティブ要因と捉えられていない割合です。

ここ約20年の中学校運動部についてまとめると以下になります。
・中学校で運動部に所属す生徒数は12.5%減少
・部活数は7.3%減少
・1部活動当たりの部員数は14.8%減少
・人気種目は男子の野球のみ順位下落
・部活動が勉強に良い影響を与えると考える親は約2/3

さいごに

部活のメリットについて、上記アンケート結果がありますが、個人的には以下です。
・体力の向上
・他者との関係性・社会性を学ぶ場
・計画性やタイムマネジメントの訓練
・地道な努力の積み上げだが、それが報われないことが大半

これらは、大人になってからも一生継続する内容です。
それを中学校時代から経験・底上げしておけるなら、中年期以降に徐々に効果を発揮してきます。

僕は中学校時代、真夏の炎天下でも水を飲んではいけない時代の運動部経験者です。
もう一度、経験したいかと問われたら絶対にお断りしますが、大人になっても当時の資産は自分の中に残っている。
それは複利マジックのようなものだと、いまは感じます。