少子化の時代、3世代世帯が減り続ける日本。
祖父母の希望も、3世代世帯希望者は減少しています。
物理的にも精神的にも離れつつあるのは、文化の成熟・個の確立でもあります。
個人を大切にするのであれば、自然の成り行きです。
3世帯同居は減っている
ここ25年の、祖父母側視点での子どもの家との距離の希望が以下です。
出典:平成30年住生活総合調査の調査結果(国土交通省)
上記は、同居と同じ敷地内に住むを合わせた結果です。
1998年が29.8%で、2018年が18.6%で約40%の減少。
同居を望む高齢者が減っています。
出典:平成30年住生活総合調査の調査結果(国土交通省)
次に祖父母視点で、徒歩圏から片道1時間の場所に子どもが住むことを希望する人の情報です。
1998年が18.9%で、2018年が21.3%で13%の増加。
近居を望む高齢者が、少し増加しています。
両方のグラフの合計値の前後比はマイナス9%。
だんだん、子どもと近くに住みたいと考える高齢者は減っています。
出典:令和3年版高齢社会白書65歳以上の者がいる世帯の割合(内閣府)
上記は、実際に三世代世帯の数です。
期間も長く1980年からの情報ですが、分かりやすく下がっています。
下がり幅で言うなら、高齢者希望より実際の三世代世帯同居が減っている。
一緒に住みたいと希望しても、現実はそうなっていません。
帰省はお互いに気を遣う
「孫疲れ」の言葉がある通り、小さな子どもと長時間一緒にいるのは疲れる。
高齢になって体力や集中力が落ちているところ、孫から目を離すのも何かあったら心配。
出産年齢が上がり、祖父母と孫の年齢差が開き、一昔前は初孫が40歳代後半もあったが、いまは60歳代以上も増えている。
それが「孫疲れ」の言葉を助長している一面はあります。
会ったらかわいいが、1日~2日程度くらいでちょうどよい。
現実、嫁姑の気遣い、奥様の実家での旦那側の居心地の悪さも考えると、上記が妥当な気もします。
それでも、人生終盤期の最大の楽しみは孫と触れ合う事。
こうした、孫パワーはたいていの祖父母が持っている。
僕の親は孫が帰省するようになって、家電製品を大幅に入れ替えました。
エアコン、冷蔵庫、扇風機、洗濯機。
それまで、自分たちが使うだけなら古くても良いと、何十年物の家電製品が僕の実家では使われていましたが、孫が祖父母宅で宿泊するようになって変化。
理由は、孫や嫁にとって滞在環境が悪く、孫が寄り付かなくなるのを心配して交換。
これは実際に僕が祖父母から聴いた話です。
僕の母親は二層式の洗濯機を、ずっと使っていました。
いまの若い人は、それが何を指しているのか分からない、昭和の名残です。
孫が帰省するようになって、帰省期間中に洗濯機を回したいと僕が何とはなしに話したことに触発。
次の帰省時に、最新式ドラム洗濯機が導入されていました。
夜、洗濯機を回せば、乾燥まで自動でやってくれるので、翌朝子どもの洋服の心配がない。
機械の進歩と言えば、通信機器もいまは一般普及しました。
高齢者もメールを使いこなす
シニア世代向けスマホも含め、いま高齢者でも何らかのモバイル端末を持っています。
全員がメールを使っているわけではないと思いますが、通話とメールくらいを使える人が多い気がします。
メールが使えれば、孫の写真をメール添付で受け取れる。
スマホでブラウザが使えれば、夏休みのプールや、運動会などの孫の動画をいつでも見られる。
コロナ過で開催されなかった行事もありますが、場所に縛られずに子どもの成長が写真や動画で分かる時代です。
僕は頻繁に自分の親に連絡しませんが、祖父母への連絡頻度の情報がありました。
出典:離れて暮らす親と会話する頻度は?(ALSOK)
40歳代~50歳代の人々は、一番多いのが1週間に1回、2番目が1か月に1回、離れた親と会話しています。
離れて暮らすと、親がトラブルに巻き込まれていないか心配になる。
孫のイベントをネタに親に連絡して、それとなく変化がないか確認するのは、中年の心理です。
核家族化(世帯少人数化)が、高齢の祖父母を心配せざるを得ない状況でもあります。
祖父母は親を甘やかしすぎと思っている
親子や祖父母と孫の関係性は、時代とともに変化していきます。
変わらないのは祖父母にとって孫は「目の中に入れても痛くない」存在。
そのうえで、昔と変わってきているパワーバランスはあります。
出典:家族とコミュニケーションに関する調査(mixi)
グラフ内の1つ目の「ついつい孫を甘やかしてしまう」は、多分昔より多くなっているような。
2つ目の「孫に対しどこまで厳しくしてよいか分からない」が影響、厳しく言って孫に嫌われたくない、自分たちの時代のやり方と現代が違っているなど、いろいろ思いつく点はあります。
「孫の教育に関してあまり話さない」のは、増えているのかどうか分かりません。
一昔前の言葉「教育ママ」や「何はともあれ大学は出た方が良い」と考える人は減ってはいると思いますが、孫が自分でより良い人生を送ってもらいたいと祖父母が考えるのは当たり前として、教育に口出しするか。
子どもの親側視点で、祖父母にどの程度介入してほしいか、というとお金は出してもらえるならありがたいが口出しはしてほしくない、が大勢を占めそうな気もします。
その結果が「どのような孫とのかかわり方を自分に求めているのか分からない」なのかもしれません。
総論、子どもの親側も祖父母側も、お互いバランスポイントを探っている。
仮に祖父母が遠方に住んでいて、リアルに会える回数は年数回であれば、祖父母にとってはオモチャを孫に買ってあげるなど、甘くて良い気もします。
変化の速度が速いというよりルールが10年で変わるので、親子の年代での違いはもちろん、祖父母と孫の年代を比べるなら、別物と考えるのが適当。
自分達のやり方を変える必要はありませんが、人としての姿勢みたいな変わらないモノは除いて、祖父母が孫に生き抜く術を押し付けるのは無理筋です。
結論、祖父母は一歩引いて、孫との楽しみに焦点を合わせるのは、全体幸福となります。
さいごに
わが家の子どもは、たまに祖父母と電話するときに、喜んで電話に出ます。
理由は、次買ってもらうオモチャをあらかじめ電話で伝えておきたいから。
祖父母はオモチャの名前を聞いても分かりませんが、「分かった。待ってるからね」の解答をする。
電話を切った後、わが家の子どもに「リアル店舗で売ってないかもしれないかもね」と言うといまの時代ならではの子どもの答えが返ってきます。
「ネットで買えば良いんじゃない」