アクティブラーニングに通ずるプレゼン能力、大人のプレゼン経験者は9割

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育児・子供観察

この文章のトピックスは以下です。
・大学生アンケ―トではアクティブラーニング経験者は82.5%
・アクティブラーニングが役に立っていると答える割合75.0%
・アクティブラーニングと認識しているのは「グループディスカッション」「プレゼンテーション」など
・社会人の約9割はオフラインでプレゼン経験者
・社会人のプレゼン視聴経験も約9割

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アクティブラーニングが役に立っている割合は3/4

アクティブラーニングの中で、求められる能力として取り上げられる出力能力。
それはプレゼンテーションで必要な素養と近いです。

あなたは中学・高校のいずれかでアクティブラーニングを経験しましたか
出典:アクティブラーニングは本当に活きているのか? 現役大学生の声から考える効果(マイナビ)

上記は、アクティブラーニングのワードが出てきた後の世代、2020年に大学生だった人に対してのアクティブラーニング経験です。
アクティブラーニング経験者は82.5%と、ほとんどの大学生が自分を経験者と回答しています。
ただ、実際のところアクティブラーニングは広範囲にわたっており、思い当たる点はたいていはあるとは言えます。

どのような形態のアクティブラーニングを経験しましたか(複数回答)
出典:アクティブラーニングは本当に活きているのか? 現役大学生の声から考える効果(マイナビ)

上記は、どのような形態のアクティブラーニングを経験したかの複数回答結果です。
1位は「グループディスカッション」、2位は「プレゼンテーション」、3位は「ディベート」。
どんなレベルか分かりませんが、共通項としては自分から情報発信経験です。

中学・高校で経験したアクティブラーニングが役立っていると感じますか
出典:アクティブラーニングは本当に活きているのか? 現役大学生の声から考える効果(マイナビ)

上記は中学・高校で経験したアクティブラーニングが役立っていると感じるかの回答です。
「非常に役に立っている」と「少し役に立っている」を足すと、75.0%でちょうど3/4。
大学生の大半は、アクティブラーニングを肯定的に捉えています。

社会人の約9割はプレゼン経験

このブロックは、子どもではなく大人の解答結果です。

これまでのプレゼンテーション経験 オンラインとオフライン
出典:オンライン/オフライン・プレゼンテーションに関する意識調査(一般社団法人プレゼンテーション協会)

上記はこれまでのプレゼンテーション経験 オンラインとオフラインの回答結果です。
オフラインでプレゼン経験ありと答えた割合は89.2%、オンラインプレゼン経験ありは56.8%。
約9割の社会人は、オフラインプレゼンを経験しています。

これまでのプレゼンテーション視聴経験 オンラインとオフライン
出典:オンライン/オフライン・プレゼンテーションに関する意識調査(一般社団法人プレゼンテーション協会)

上記は、自分がプレゼンターではなく、プレゼンテーション視聴経験です。
オフライン・オンラインとも約9割と、プレゼンが身近にあります。

大人になってプレゼンする機会が9割あるなら、その能力をアクティブラーニングという名目で、子ども時代から練習しておくのは理にかなっています。

プレゼン能力を高めるために

プレゼン経験がどんな素養が必要か、トレーニングになるかを上げてみます。
・課題発見力
・言語化する能力、語彙力
・深堀りする力
・相手の立場に立って考える能力
・論理的思考
・ドキュメンテーション能力
・構成力
・表現力、発話力、スピーチ力
・度胸、経験
・自信、自己肯定感
・(自分のプレゼン動画を見返して)客観視する力、修正力

プレゼン経験がない子ども視点で言うと以下が上げられます。
・(お題は与えられるとして)調べる力
・自分が分かっていないことが分かる
・スライド作成時には表現パターンが増える、図示化の有用性が分かる
・練習する意味が分かる
・人前で話す難しさを理解できる
・小さな成功と反省点を積み重ねられる

人に教えるのが難しいのは、自分が説明する内容を正確に理解していないから起こります。
プレゼンするにはその内容を深く知る必要があり、プレゼン経験は学びが深まるアクションです。

またプレゼンは、日常生活においての対人関係と近い部分もある。
自分の言いたいことを、自分が知っている言葉で話しても伝わりません。
相手にとって興味がある内容を、相手に伝わる言葉で、そっと渡す。

あまり細かすぎても煙たがられますが、日ごろから親が子どもと会話する時、疑似プレゼンを意識するのもトレーニングになります。
「今日、何があったの」と聞いた後、何回か深ぼってみる。
幼少期は語彙も少なく、主語なし発言は多いので、それを少しずつ修正して伝える経験を積む。
オープンクエスチョンだと子どもが面倒くさがるなら、クローズドクエスチョンに変えてみるのも1つの方法です。
「今日の給食で、一番おいしかったのは何?」とか「今日の授業で分からなかった点、1つ教えて」など。
親子の会話を子どもが避けるようになる年齢までしか親子プレゼントレーニングはできませんが、オートクライン(自分で話すことで自分の潜在的な考えに気づく)は大人になってからも有用です。

僕が、プレゼン経験が日本人に大きな効果があると思うのは、結論を先に話す点です。
日本語の文法も影響していると思っていますが、ビジネスにおいて「結論優先」が分かっていない人がいます。
上司に質問されて、短い言葉で結論だけ返す人の信頼度が高いのは、たいていの管理職は首肯するのではないか。

「A→B→C→だらかDです」が学校では普通、学ぶときには正しいフローで、基本的には一足飛びはありません。
ただ、実社会においては「いきなりDのみ」は有効で、プレゼンはその一つの形です。

たくさんのインプットからの厳選アウトプット

いまは公立学校でもプレゼンを意識した生徒側に発表機会を設けていると、わが家の子どもの授業の話を聞いていて感じます。
比較対象は自分の昭和時代の小学校なので対象として妥当なのかは分かりませんが、昭和時代の小学校では授業は教師から生徒への一方通行が大半でした。

一例ですが、わが家の子どもは夏休みの自由研究について、全員がクラスの前に出て発表機会がありました。
この課題をしっかりと取り組むなら、アクティブラーニング要素はかなり踏襲しています。

たとえば、歴史好きな子どもがいたとして、その子が夏休みの自由研究で「関ケ原の合戦」をテーマとする。
自由研究で作るものは、親子で話し合って東軍西軍の陣配置のジオラマに決めました。

テーマが決まれば、基礎調査として、資料を読み込むところから始まります。
書籍はマンガから入っても良し、子ども向けの絵が多い文献を何冊か見繕って図書館で借りたり、ネット調査も参考になる。
開戦前の陣構え、決戦時の各隊の位置、西軍敗走時の動き。
好きなジャンルを調べてより詳しくなる「沼」というスラングがありますが、課題提出と自分の興味が重なる、時間を忘れる温泉のような良い沼です。

現地に行けるのであれば、それは間違いなくプラスになります。
開戦前に徳川家康の陣があった桃配山に登って、石田三成の陣があった笹尾山を眺めてみる。
実地してみると意外に近いのが分かり、2つの小高い山の間の平地で各隊が時間経過とともに戦う姿が頭の中でイメージできます。

いま、関ケ原には「関ケ原古戦場記念館」という新しい施設もあり、こうしたところに訪れて知識強化もおもしろい。
この施設には、さまざまな関ケ原合戦の情報が一堂に集まっているのはもちろん、迫力の動画を放映している時もあり、これを見ると合戦がいかに生々しかったかも分かる。

書籍を読んで思い描き、現地に赴きリアル情報から自分の中の関ケ原の合戦を修正する。
頭だけではなく、自分自身の実体験(身体知)に基づいた物語は、臨場感が違います。

準備ができたら、まずは子どもに関ヶ原のお話を最初から最後まで作ってみてと投げてみる。
たいていは相当なボリュームになっており、大事な点は何かそぎ落とす部分を削除していく。
この辺り、大人が会社で資料作成するのと同じです。

出来上がった物を、何度か発表させてみる。
最初は、言葉は悪いですがボロボロなのは当たり前で、どこまでそれをブラッシュアップしていくか。
視線を含む姿勢や話すスピードも、年齢次第ですが完璧を目指すのではなく、年齢に合わせて目立つ点だけ修正が良いかもしれません。

完成度が高まってきたら、動画を取って子どもと一緒に見てみると自分の至らなさ加減も分かる。
自分のプレゼン動画を見るのは大人は辛いですが、子どもは意外にケロッとしている場合もあります。

親は実際の発表は見られないので、本番の評価やフィードバックはできません。
子どもに「どうだった」と聞いても、「うまくできた」くらいの解答が関の山。
何が良くて何が改善点かなど定量評価できれば、次につながりやすいですが、できることを一歩ずつ。

わずか数分のプレゼンテーションでも、準備に膨大な時間がかかります。
伝える難しさを知るとともに大事なことで、一生続くお話です。

さいごに

プレゼンとは違いますが、2024年3月に桐朋高校卒業式の答辞がネットで絶賛されていました。
僕も内容を読んで、これほど練られた文章を高校生が紡ぎ出すことに、鳥肌が立ちました。

「ものすごい名文」「胸が熱くなる」有名進学校の卒業生のスピーチに「とんでもない18歳」と絶賛の声

答辞はスピーチであり、プレゼンではありません。
ただプレゼンで求められる要素と近く、最も重要な点として受け手の反応があります。

少なくともこの答辞を聞いた在校生と卒業生は、一生の財産になったのではと想像します。