年収差による子どもの体力差は縮まっている

スポンサーリンク
育児・子供観察

年収が高い家庭の子どもは運動ができる。
格差社会の1つの事象として、こうしたニュースを耳にします。
それは本当なのか、2018年の東京23区別の情報を見てみました。
結果、東京23区では以前に比べ、差が縮まっています。

スポンサーリンク

東京23区の平均所得グラフ

日本は東京一極集中で、東京はいまでも流入人口が多く、人口が増えている数少ない都市です。
その東京の中の23区内でも、平均収入に大きな差があります。
以下がよく見る、23区の1人当たりの年収です(2018年)。
数字は総務省発表の市区町村別の課税対象所得の総額を、納税者数で割った額です。

所得上位はおなじみの区であり、1位の港区の平均所得(年収)は1,126万円。
夫婦2人がこの平均所得であれば、世帯所得は2,252万円です。
港区の次に千代田区と渋谷区が、上位にランクしています。
23区全体の単純平均は521万円。

この数字をもとに、運動との相関を見てみました。

港区は体力総合評価が高いがそれ以外は横並び

先ほどの23区の所得と、東京都が発表している小学5年生の体力調査結果の結果の相関が以下です。


出典:平成30年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査 報告書(東京都教育委員会)

一番体力判定が良い(グラフの上側)区が、グラフの一番右(=高所得)の港区。
突出しています。
お金がある家庭の子どもは体力がある、典型的な例です。

ただ、それ以外のグラフの縦軸を見ると、体格体力の2位は墨田区。
墨田区の平均所得は379万円で23区中、17位。
体力3位は中央区で、平均所得順位は4位。
何より2位以降、大きな差はありません。

相関係数では(グラフ右下)、+0.5923と相関はありますが、強い相関はありません。
2013年は、相関係数が+0.7482だったので、2018年は相関が弱くなっています。

▼参考:相関係数の意味
-1~0.7=強い負の相関
-0.7~-0.4=負の相関
-0.4~-0.2=弱い負の相関
-0.2~0.2=ほとんど相関がない
0.2~0.4=弱い正の相関
0.4~0.7=正の相関
0.7~1=強い正の相関

睡眠が子どもには大事

僕は子どもも大人も、「睡眠が大事」と考えています。
よって、強制的なくらい強めに、子どもには早く寝るように仕向けています。
と言っても、うまく早寝できるときと、寝られず遅くなる日もあるのが子ども。

僕自身、オッサンなので睡眠の重要性を、体感しています。
しっかり睡眠できた翌日は、集中力が継続、頭の回転が速いので、昼間のアウトプットが高まる。
子どもも仕事ではないですが、しっかり遊んで、できればたくさん本を読んでほしい。
そのためには、良く寝て集中して楽しんでほしい。
僕はショートスリーパーでもない限り、人間は睡眠が大事というポリシーです。

ここまで前置きをしたところで、年収と睡眠時間の相関図が以下です。
個人的には、今回このグラフが一番見たかった情報です。


出典:平成30年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査 報告書(東京都教育委員会)

体力のグラフ以上に、大きな差はありませんでした。
グラフで上側ほど、8時間以上寝ている子どもの割合が多いのですが、どの区もほぼ横並び。
年収が高いご家庭は、睡眠への意識が高く上位にいくのか、と思ったのですがそうはならず。
全体として小学校5年生は、53.9%の子どもが、8時間以上の睡眠をとっているようです。

差があまりなかった理由の1つとして、東京は中学受験熱が高い地域。
高所得のご家庭の小学5年生といえば、中学受験準備の時期がイメージできます。
その結果、高収入家庭の区とそれ以外の区で差がないのでは、と理由を考えてみましたが正しいのか不明。

毎日朝食を食べる割合はもっと差がない

睡眠時間と年収に相関がなかったので、何か他に健康に良さそうなものがないか考えました。
健康に良さそう視点で考える時点で、自分のオッサン度が高いことが分かります。

「朝食を毎日必ず取る(割合)」情報があったので、グラフ化してみました。


出典:平成30年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査 報告書(東京都教育委員会)

今回グラフ化した中で、一番相関がない結果になりました(相関係数=+0.1208)。
朝食を毎日食べる割合の1位は世田谷区ですが、縦軸の上下割合の最上位と最下位の差は5%以内。
どこの区でもだいたい9割前後の子どもが毎日、朝食を食べています。

さいごに

東京の地下鉄に乗っていて、「ブランド物の所持率」が減ったと僕は感じています。
以前ほど、ブランド物のカバンや服を身に着けている人を見かけなくなりました。
もちろん、そういう人はゼロではないですが、以前より減り、派手さもなくなったという主観です。
増えたのは、素材にこだわっているブランドや、フェアトレードを意識したブランドなど。

局所的ですが、僕が所属している会社や、取引先の人を見ても、同じ傾向です。
中には世界的に有名な企業の人でも、「服はユニクロばかりですよ」とさらりと言います。

もちろん趣味人もいて、100万円を超えるような腕時計をしている人もいますが、東京は車を持たない人も本当に多い。
僕はバブル経済を知らないので、当時と比べられませんが、伝え聞く内容から想像すると、当時とは雲泥の差です。
何が言いたいかと言うと、見栄のようなものを重視する人が少なくなったと、僕は認識しています。

見栄のウェイトが減って、どこにお金を使うようになったのか。
子育て世代がどこにお金を使うかのアンケートで上位に来るのが「子どもへの教育」。
自分も含め、周囲の子育て世代を考えると、納得です。

これを使いどころを見極めている、と言って良いかは分かりません。
自分の人生も楽しみたいと考える人が、昔より多いのも確かです。
ただ、むやみやたらにではなく、情報を集め検討する姿勢は、以前より高くなっている時代です。

東京は、システムの塊。
そこで生きるには、自分も合理的に生きるのが楽。

東京は競争原理が強く、希少性の高い能力を身に着けたり、取り残されないような生存戦略を練る必要性が求められます。
ルールがコロコロ変わるので、情報を察知し、それに対応する(または捨てる)。
考え行動することが常態化、どんどん洗練した結果、平均値が高くなっていく。
厳しい現実として、アジャストできない場合の脱落もあり、それも平均値を上げる要素です。

考える人が増えた結果、年収が高い人とそれ以外の人の差が縮まったのかもと、今回のデータを見て感じました。