女性が職業をもつことに対する意識

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統計データ

2022年時点で、女性有業率(15歳~64歳までの生産年齢人口の女性の仕事をしている人)の割合は72.3%です。
25~49歳に絞ると81.2%と、仕事を持つ女性がいまは8割を超える時代です。
女性が職に就いていた方が良いかのアンケート結果では、高齢者ほど女性の職業保持にネガティブで、男女比では女性の方が仕事を持った方が良いと考える人は多い。
現実問題、生きていくために収入が必要で、本人の意思とは別に働かざるを得ない人が増えている世情ではあります。

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25~49歳の女性有業率は81.2%

1956年~2022年までの女性全体15歳から49歳までの有業率数位が以下です。

女性 有業率推移 15歳~49歳
出典:令和4年就業構造基本調査の結果(総務省)

2022年が最高値で71.0%。
この情報、1956年~のデータなので15歳からの有業率の結果で、いま15歳で働いている人は少数派です。

グラフは単純な右肩上がりではなく、最低値は1974年の48.0%。
1970年代前半の第2次ベビーブームの時期、専業主婦率が高かったことになります。
その後、女性の就業率は上昇し続けています。

女性 有業率推移 年齢階層別
出典:令和4年就業構造基本調査の結果(総務省)

年齢階層別にみると、15~19歳のみ減少、他の年齢階層は上昇しています。
2022年時点の最高値は「25~29歳」85.1%、次点「45~49歳」81.2%です。

女性がずっと職業を続ける方が良いと考える人が59.5%

女性が職業を持つことをどう思うか、内閣府が行った調査結果がこの段落です。
全国18歳以上の日本国籍の5,000人に対し、2022年11月~2023年5年に行われたアンケート結果です。

女性が職業をもつことに対する意識 総数・男女別・年齢別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

総合結果の1位は「こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい」の59.5%。
次点は「こどもが大きくなったら再び職業をもつ方がよい」の27.1%。
最下位は「女性は職業をもたない方がよい」の0.7%。
女性は職業を持つ方が良いと考える人が、2023年時点では大半です。

男女別・年齢別では、大差はなく。
70歳以上の層が「女性は職業をもたない方がよい」と考える人が多いわけではなく、0.7%と言う数字は平均の値です。
現代は高齢者であっても、女性有業に同意しています。

女性が職業をもつことに対する意識 男女年齢別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女年齢別の特徴としては、男女とも70歳以上は「子どもができるようになるまでは、職業をもつ方が良い」の割合が、それ以下の年代より高い。
同じく「男性18歳~29歳」も同じく、「子どもができるようになるまでは、職業をもつ方が良い」と考える人の割合が高く、年齢別、男女別で最多の14.2%。

女性が職業をもつことに対する意識 都市規模別・全国ブロック別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

都市規模別に見ても大差はなく、「小都市」が職業を持つことにポジティブな人がわずか多いくらい。
全国ブロック別では「北海道」と「北陸」が特徴的。
「北海道」は「女性は職業をもたない方がよい」と考える人が2.4%と、突出して高い。
「北陸」は「こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が1位で69.6%と、女性が働くの意識が他のブロックより頭一つ高い。

女性が職業をもつことに対する意識 男女雇用形態別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女雇用形態別にみると、「女性 主婦・主夫」が「子どもがおおきくなったら再び職業をもつ方がよい」と考える割合が34.6%と高い。
あとは、「女性 学生」は女性の中で唯一「こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が7割超えの70.5%。

男性を見ると、「男性 主婦・主夫」が特徴的で、「こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が33.3%と他の世代より圧倒的に低い。
もう1点、「子どもがおおきくなったら再び職業をもつ方がよい」も66.7%と、男性の他の層とまったく違う。
余計な心配ですが、男性が主夫で、女性が大きくなるまで子育て専念となると、収入はどうするのか。

女性が職業をもつことに対する意識 男女婚姻状態別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女婚姻別情報、女性の特徴として、「女性 パートナーと同居」の「無回答」が11.5%と突出して高い。
答えたくない理由は何なのか、特殊性を感じます。

男性はあまり特徴はありませんが、「男性 死別」の「女性は職業をもたない方が良い」が2.6%と高い。
結婚して奥様は働いていたが、その奥様がなくなられたとき、奥様は仕事しなくても良かったのかも、と回想しているのか。

女性が職業をもつことに対する意識 子どもの有無別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

子どもの有無別ですが、あまり差はありません。
「子どもがいない」人の方が、わずかに女性が働く意識が高い。
あとは、女性の方が男性より、働く必要性を感じています。

 

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考える人は33.4%

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」が、社会環境的に適していた昭和時代。
この考えについて、2022年末~2023年初頭のアンケート結果が以下です。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 総数・男女別・年齢別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

総合では、賛成合計は33.4%、反対合計は64.3%。
ほぼダブルスコアで、この考えについて反対派が主流です。

男女別にみると男性が賛成側優位。
年齢別では高齢者が賛成側優位。
最弱年層の18~29歳は、賛成合計18.7%、反対合計79.8%と約4倍の差になっています。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 男女年齢別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女年齢別にみて、「女性 18~29歳」の「賛成」が0%。
あとは「女性60~69歳」よりもその下の層「40~49歳」「50~59歳」の方が、賛成割合が多い。

男性は年齢が上がるにつれ、賛成派が分かりやすく増えています。
最高齢層の「男性 70歳以上」では、賛成が53.0%と半数を超えています。
いまの若者の平均給与額を把握しているなら、容易に賛成には投票できないと思うのですが、お金ではない発想なのか。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 都市規模別・全国ブロック別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

都市規模別は、ほぼ差はありません。
「町村」が少しだけ賛成派が多い程度です。

全国ブロック別では「北陸」と「四国」が、「賛成」が他に比べ低い。
「北陸」は特に「反対」意見の人が多く、女性が働くのが当たり前と考える人が多い地域です。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 男女雇用形態別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女雇用形態別でみると、「女性 正規の職員」は賛成派が少ない。
自分は正規雇用で働いて、それを肯定的に捉えているようです。
「女性 学生」も特徴的で、妻は家庭を守るに否定的な人が約9割。

男性側は「男性 自営業、自由業」に賛成派が多く、47.6%と半数弱。
あとは「男性 無職」も賛成派が49.4%と賛成派が男性の中で最多ですが、男性無職で女性が家庭を守って生活は成り立つのか。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 男女婚姻状態別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

男女婚姻状態別、女性の特徴は「女性 死別」に賛成派が多い。
女性の中で最も反対派は「女性 離別」と「女性 夫婦」の層です。

男性の中で賛成派最多層は「男性 結婚している」の44.7%。
逆に反対派最多層は「男性 パートナーと同居」の79.3%。

夫は外で働き、妻は家庭を守るに対する意識 子どもの有無別
出典: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)(内閣府)

子どもの有無別に見ると、「子どもがいる」方が賛成派(妻は家庭を守る)が高い。
男女比では、女性の方が反対派(妻も仕事を持っている)割合が高い。

ここまでをまとめます。
・現代は「こどもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と考える人が59.5%。
・「女性は職業をもたない方がよい」と考える人はほとんどおらず0.7%。
・女性の方が男性より職業をもった方が良いと考える人が多い
・「夫は外で働き、妻は家庭を守る」の考えに賛成派は33.4%、反対派は64.3%。
・年齢が高くなるほど、賛成派が増える
・男女比較では、女性の方が否定派が多い
・子どもの有無別では、子どもがいる方が賛成派が多い

どちらか1つではなく両方も

僕の幼少期は昭和時代後期で、父親はフルタイム就業者で母親はパートの家庭に育ちました。
経済的には裕福側ではなく、多分標準かややその下くらい。
典型的な一般家庭だったと認識していましたが、周囲も同様の経済レベルの友達ばかりでした。

当時、世の中にはお金持ちはいるのとは考えていて、そのイメージとしてはスネ夫の家。
自宅が広く、海外旅行やケーキなどが日常化している。
とはいえ、そんな友達は身の回りには存在せず、一緒に遊ぶ友達の母親はパートしている人が半数強くらいで、残りは専業主婦だったと記憶しています。

僕はリアルに聞いたことはないのですが、母親が働いて子どもがかわいそう、という物言いがあります。
僕はこの意見に反対です。
自分が、母親が働いていた家庭で育ち、不幸感を抱いていないためです。

母親が働いていても、子どもと関係性を築くことはできます。
自分の主観でしかありませんが、自分が子育てした経験からは、子どもとの関係性を一定以上にする方法がいくらでもある。

育児中であっても、親の人生は子どもとある程度は切り離すくらいが現代の標準です。
キャリアや目標など、母親には(父親も)一人の人間としての選択肢がある。
フルタイム就業で子どもとの時間が取れないのであれば、家事や食事準備など外注や購入することで時間のねん出はできます。

子どもと一緒に居続けて煮詰まる(息詰まる)お話も、育児経験者はみんな体験しているのではないか。
不満を子どもにぶつけるのではなく、程よく距離を置くのが解決策の1つ。
「仕事の方が育児より圧倒的に楽」の発言は、育児に正面から向き合った人の言葉です。

外で働くことで子どもと距離を取ることができ、自分のやりたいことやお金が稼げる。
子どもをお迎えして寝かしつけるまでの間、家事の合間にできるだけ子どもと向き合う時間を作る。
僕の身の回りのわずかなサンプルですが、夫が子どもの寝かしつけ担当と言う人もいて、彼は定時にキッチリ退社します。

母親が働くのが良いのかは、他人が口出しすることではありません。
働いても良いし、子どもが生まれ就学前あたりまではいったん仕事を辞めて育児に専念する方針にも賛成です。
子どもが就学する前あたり、一番かわいい時期に一緒にいるのは育児の楽しみが凝縮されています。

母親が職を持つことで子どもに悪影響を与えるとの罪悪感を持つのは総合的に見て良い結果にならず、現実的に妥当な割り切りです。
できることとできない事、やった方が良い事などのバランスポイントを探すのは、永久に続きます。

さいごに

僕は男なので、男視点でしかありませんが、女性の仕事が人生は選択肢が広いといつも感じます。

男性はフルタイムで働くことを、たいていの男女が求めている。
最近は男性育児休暇取得率が上がっていますが、一時仕事から離れることはあっても復帰が前提です。
対し、女性の選択肢は働く/働かない、フルタイム/パートタイムなど、無数の選択肢が見て取れます。

その結果なのか、男性社員の口からは「給与を上げて家族貢献する」の言葉はよく聞きますが、女性は自分の仕事にどこか迷いのようなものを感じるときがあります。