日本人の海外留学生は減少ではなく増加

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統計データ

少し前、日本人の海外留学生が減っていると言うニュースを見ました。
もともとそれほど多い人数ではないと思ってたのですが、気になって調べてみました。
結果は「近年は増加」している。
留学先上位10国や、アメリカ大学の学費推移とともにまとめました。

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日本人の海外留学生は近年増えている

「日本人の海外留学生が減っている」という内容のニュースを見ました。
調べたところ、その元ネタはOECD(経済協力開発機構)の以下のグラフです。


出典:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)

たしかに、このグラフでは2000年台に比べ、2010年台は減少しています。
OECDは、減少理由として「内向き志向」と「海外に出るリスク回避」を挙げています

身の回りを観測してみても、納得できるような、納得できないような。
身軽にどこでも行っている人もいますし、ディフェンシブな生活をしている人もいます。
多様性が受け入れられつつある社会になっている感覚はありますが、留学生の増減につながるかといわれると、納得感はありません。

留学生が減少する要因として、OECDの2つの理由以外に考えてみました。
ですが、イマイチ説得力がありません。

・親の所得低下(=近年の奨学金需給率の激増)などの金銭的な理由
→富裕層師弟がもともとの対象層ならいまも一定数の富裕層はいる
→本気で海外留学する人は自分でなんとかする
・スマホ普及で手軽にイロイロ完結

 


出典:平成29年度協定等に基づく日本人学生留学状況調査結果(独立行政法人日本学生支援機構)

対して、独立行政法人日本学生支援機構の調査による結果が上記です。
2009年から2017年の留学生数ですが、明らかに増加しています。
2008年以前のデータは集計していなかったとのこと。

このグラフは期間は短期から長期まで含まれている合計数。
期間別の留学生数が以下です。

 


出典:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)

2009年に比べ、2016年はすべての留学期間階層で増加しています。
留学生数が一番多いのが[1か月未満]、一番少ないのが[1年以上]の長期。
少なくともニュースで僕が認識していた「留学生数は減っている」のは間違いでした。

18歳人口比で考えると減っているのか


出典:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)
出典:18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移(内閣府)

先ほどの留学生合計数をその年の18歳人口で割ったものが上のグラフです。
留学生は18歳限定ではないので、傾向をみるだけの参考値です。
それでも、割合は増加しています。
それも2009年と2016年比では約2.7倍です。

結論はやはり「日本人の海外留学生数は増えている」でした。
参考までに世界の留学生数の推移はどうなっているのか。

 


出典:Education at a Glance(OECD)

世界全体の留学生数、縦軸が100万人なので、2015年は460万人です。
世界全体の人数の流れは「微増」です。

日本人留学生の留学先国Top10


出典:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)

2016年の留学先Top10と、留学人数が上記です。
1位はアメリカで、2位オーストラリアの2倍以上。

英語圏が多く、次いで近隣国。
納得の結果です。

個人的に意外だったのが7位のタイ。
シンガポールであれば分かりますが、僕が知らない何かあるのでしょう。

アメリカ4年制大学の年間授業料

日本人留学先国1位のアメリカ。
アメリカは大学授業料が高額という話も聞きます。


出典:Median Incomes v. Average College Tuition Rates, 1971-2016(ProCon.org)

実際の授業料と滞在費は上記の通り。
どんどん上がっている、ということが分かります。
4年制私立大学の年間授業料・滞在費は2016年で約500万円(1ドル110円換算)。
4年間で2,000万円と考えると、相当の額になります。

 


出典:Median Incomes v. Average College Tuition Rates, 1971-2016(ProCon.org)

同じ情報元のページは年収の中央値と学費の関係について記載されていました。
私立大学の学費が年間4万ドルを超えている現状を考えると、確かに男女とも年収を超えているようです。

このデータの授業料の算出方法が分からないので、参考データです。
授業料は同一州内居住者は授業料が安かったりと、個別要素があります。
それでも一概には言えませんが、全体の流れとしては興味深い流れです。

さいごに

「英語が必要か?」という問いがあります。
僕は一昔前は「必須ではないがあった方が良い、特に技術職は必要度が高い」と考えていました。
ですが、この先は微妙かもと思っています。
その理由が翻訳機器進化とインターネットの発達。

知り合いから「韓国からの留学生を1日預かった経験」を聞きました。
その知り合いは韓国語が話せない、先方も日本語は厳しいという状況。
どうしたかというと、無料のスマホ翻訳アプリを利用したそうです。

結果は「ほぼ意思疎通できた。リアルタイムを求めないのであればまったく問題ない」でした。
この先、技術の進歩でリアルタイム性はどんどん良くなっていくでしょう。

そしてインターネットの普及で、物理的移動の必要性(人と合って話す)が変わりました。
海外の大学では過去授業を見たいのであれば、インターネット公開が進んでいます。
また英語を学ぶための語学留学は、自宅で1時間当たり数百円でskypeでマンツーマン受講できる時代です。
すでに一部の企業では、skypeによるバーチャル会議が主流というところもあります。

この先、物理的に同じ場所にいるという事がどの程度、その人にとって意味を持つのか。

いまの子ども達は、間違いなく、いまの親世代よりデジタルに精通していきます。
黒電話をいまの子どもに渡して「電話の切り方がわからない」というのは、昭和生まれ人にとっては笑い話です。
老人世代の一部が、電子決済を嫌がったり、インターネットを拒否したりと世代間格差は必ずあります。

自分の子どもが何かに挑戦するとき、親が障害になることなくサポーターになれるか。
変化を程よく受け入れ、それをできるだけ楽しみたいと思っています。