年齢と共の上がる孤独感、孤独は大切な時間

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・14歳までの子どものうち約1/4が孤独を感じている
・14歳までの子ども、男女比では女性、年齢が上がる毎に孤独を感じる人が増える
・20歳~39歳では孤独を感じる割合は大きく変化しない
・60歳以降は徐々に孤独を感じる人が増えていく
・孤独を感じる割合が高い人を属性別にみた結果は以下
└未婚
└男性単身
└最終学歴は大学院
└就業状態は仕事なし(失業中)
└賃貸に住んでいる
└年収100万円未満

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孤独感を感じる子どもは女性の方が男性より多い

孤独感(間接質問) 10歳~14歳
出典:家こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)(内閣府)

上記は小学校高学年~中学生(10歳~14歳)の孤独に関しての間接質問です。
間接質問とは、以下の3つの項目への回答をスコア化し、その合計スコアが高いほど孤独感が高いと評価する内容。

問4-1 以下のア)~ウ)の項目について、あなたはどれくらいよく感じていますか。(それぞれについて1つ)
ア)自分には話せる人がいないと感じることがある
イ)自分はまわりから、取りのこされていると感じることがある
ウ)自分はひとりぼっちだと感じることがある
※ア)~ウ)の選択肢はいずれも、「まったくない」、「ほとんどない」、「時々ある」、「いつもある」

孤独感が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、男性は83.4%、女性は71.5%。
男女比では、男性の方が孤独を感じる割合が低い。

年齢別では、年齢が上がる毎に孤独を感じる割合が増えています。
10歳の落ち込んだ経験が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、82.6%。
14歳の落ち込んだ経験が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、70.7%。

孤独感(直接質問) 10歳~14歳
出典:家こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)(内閣府)

上記は小学校高学年~中学生(10歳~14歳)の孤独に関しての直接質問です。
先ほどのスコア化された間接質問とは違い、そのままの質問について答えてもらった結果です。

孤独感が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、男性は80.9%、女性は71.2%。
1つ上の間接質問の結果と近い値です。

年齢別でも間接質問と同じ傾向で、年齢が上がる毎に孤独感が高まっています。
孤独感が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、84.1%。
孤独感が「まったくない」と「ほとんどない」と答えた割合は、65.6%。

高齢になるほど孤独感は高まる

孤独感(間接質問) 15歳~39歳
出典:家こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)(内閣府)

上記は15歳~39歳の孤独に関しての間接質問です。
(間接質問がどういう物かについては、この文章の1つ上のブロック参照)

孤独感があるかについて、「決してない」と「ほとんどない」と答えた割合は、男性は45.0%、女性は41.2%。
子どもの解答と同様、女性は年齢が上がっても男性に比べ孤独を感じる割合が多い。

年齢別では、20歳を超えると大差なくなりますが、19歳未満はこの中で一番孤独感が低い。
15歳~19歳の孤独感があるかについて「決してない」と「ほとんどない」と答えた割合は52.0%。
35歳~39歳の孤独感があるかについて「決してない」と「ほとんどない」と答えた割合は39.9%。

孤独感(直接質問) 15歳~39歳
出典:家こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)(内閣府)

上記は15歳~39歳の孤独に関しての直接質問です。
傾向は1つ上の間接質問と同じです。

男女比では、わずかに女性が孤独を感じる割合が多い。
年齢別では、ほとんど変わりはありませんが、15歳~19歳のみ孤独感を感じる割合が低い。

孤独感(直接質問) 40歳~80歳以上
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は40歳以上の孤独感を感じるかの回答です。
総論は高齢になるほど孤独感は高まっています。
40歳~19歳の孤独感があるかについて「決してない」と「ほとんどない」と答えた割合は23.6%。
80歳以上の孤独感があるかについて「決してない」と「ほとんどない」と答えた割合は17.1%。
身近な人の死が歳を重ねる毎に増える状況から、当たり前なのかもしれません。

他者とのかかわりが少ないほど孤独感を感じる

ここからは累計別で見た時の、孤独感があるかの情報です。

配偶者の有無別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は配偶者の有無別の孤独感があると感じる割合です。
1位は「未婚」9.7%、2位は「離別」の8.8%。
最下位は「有配偶者」の3.0%です。

世帯構成別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は世帯構成別の孤独感があると感じる割合です。
1位は「男性単身」11.9%と、この属性のみ2桁です。
2位は「女性単身」の7.0%。3位は「二世代世帯(ひとり親と子)」6.5%。
最下位は「一世代世帯(夫婦のみ)」の3.3%です。

最終学歴別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は最終学歴別の孤独感があると感じる割合です。
1位は「大学院」6.7%で、最高学歴属性がトップです。
と言っても、他との差は大きくはなく最下位でも「専門学校」の4.4%です。

現在の仕事別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は就業形態別の孤独感があると感じる割合です。
1位は「仕事なし(失業中)」9.9%で、やはりというか他より高い数字です。
最下位が「会社役員」の1.7%ですが、会社では孤独であってもプライベート繋がりが多いのはイメージできます。

居住形態別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は居住形態別の孤独感があると感じる割合です。
1位は「公営の賃貸住宅・UR・公社」8.9%で、2位は僅差で「民営賃貸住宅」8.7%。
最下位が「持ち家(戸建て)」の3.5%で、4位の「持ち家(マンション等)」4.8%とともに、マイホーム保有者の孤独感は低めです。

世帯の年間収入別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は世帯年収別、孤独感があると感じる割合です。
総論、年収が高いほど孤独感を感じる人が少ない。
1位は「100 万円未満」8.1%、最下位は「1,000 ~1,499 万円」の1.9%。
「1,500 万円以上」は下から2番目の3.2%です。

外出頻度別孤独感(直接質問)
出典:人々のつながりに関する基礎調査(内閣官房孤独・孤立対策担当室)

上記は外出頻度別、孤独感があると感じる割合です。
1位は「外出しない」16.0%と、頭一つ高い数字です。
以降、基本、外出頻度が高いほど孤独感は低くなり、「週5日以上」外出する人の孤独感を感じる割合は4.3%です。

 

孤独は自分との対話に最適

首相官邸のサイトに、以下の記載があります。

孤独・孤立対策
「絆」のある社会の実現を目指し、多様なつながりの中で、お互いが支え合い、助け合いながら生きていくことのできる社会を構築していくことが重要です。社会的に孤立し、不安を感じる方々に、官民や民間同士がそれぞれの垣根を越えてつながりを深め、社会全体で手を差し伸べていきます。

・孤独・孤立対策(全般)
・自殺対策
・生活困窮者支援
・児童虐待防止対策
・子供のSOSへの対応
・性犯罪・性暴力、DV
・フードバンク
・住まいの支援
・その他関係省庁の施策
・孤独・孤立に関するフォーラム

出典:孤独・孤立対策(首相官邸)

自殺や貧困、虐待や子どものSOS、DVなど、明らかに対策を講じた方が良い内容が並んでいます。
こうした状況に置かれた人は孤独だと想像でき、全員ではないにせよ他者サポートが受けられにくい環境にいる。
安易に他人の事情に不用意に足を踏み入るのは難しい点を考えてしまうと、悩ましい事象でもあります。

追い込まれて視野狭窄に陥ってしまっている人がいたとして、だれかが手を差し伸べる。
手を差し伸べる人は、身近な人が妥当であったり、行政の第三者的な人の方が話しやすいケースもある。
行き詰って孤立(孤独)な人には余裕がないことを考えると、他者サポートは問題解決の有用な糸口になり得ます。

孤独を回避した方が良い事象がある一方、現代社会の課題として孤独を忌避しすぎていると僕は感じています。
SNS普及で、他者とのかかわりの形について、いままでとは違う形式が生まれました。
物理的に会ったがない人とのつながり、多数のフォロワー、インターネット以前は知り得なかった他人の状況など。
SNSは文字通り社会とネットワークするツールですが、他人のリア充を見て自分の孤独感を増すツールでもあります。

人生の大半は明るい部分よりも土台をつくる地味な時間が大半と頭でわかっていても、切り取られた非日常を見て自分の境遇と比較してしまう。
氷山の海面下の部分がその人の強さであり自分の楽しみを作り出す部分ですが、それを子どもが理解・実践できるかは難しく、SNSをペアレンタルコントロールするのもうなずけます。
僕の子どもの頃にSNSがあったなら、ずいぶん振り回されたと想像できます。
SNSは承認増幅機能でもあり、それは孤独を良くないモノと考えられますが、そう考えてしまうなら危うい。

孤独は悪ではなく、大切な時間。
本来、人間は一人であり孤独が前提、さみしい状況が自然な状況です。
孤独の中で自分と対話して、自分の答えを見つける時間を持たない人生は危うい。
たくさんの人に囲まれての深い自省は望めず、情報多寡の状況も情報処理に手いっぱいになってしまう。

僕の知り合いで、散歩しながら思考をアーシングするのを習慣化している人がいます。
嫌な事や腹が立ったとき、好きなパン屋さんに向かって歩く。
その後、河川敷や大きな公園を目指し気の向くまま歩いて、買ったパンを食べる。

はたから見たら、ボッチといわれる行動です。
しかし本人視点では、孤独とは対極の自分と対話している芳醇な時間です。

他人と会話している状態が孤独ではない状態ではなく。
自分と話すのも、自然と話すのも対話です。

さいごに

学生時代、いつも同じメンバーで行動する。
それが故なのか、ボッチがカッコ悪いと勘違いしてしまい、必要以上に周囲に同調して自分の意見を抑え込む。
大人になって振り返ってみると、小さな世界だったと笑える話ですが、当時はそれに気づけません。

僕は、上記のような子ども時代を送った記憶があります。
社会性を身に着ける1つの手段として有効だったのかもしれませんが、いまの自分の考えは必要以上に群れたいとは思わない。

社会との調和は生きていくうえで大事ですし、他者に関心を持つのも自分を見ることでもある。
その上で、自分との折り合いも大切にしたい。

いまは「ソロ活」が普通の時代になりました。
単身世帯は半数を超えこの先も増える未来は確定しており、一人がよりクローズアップされていきます。
横並びではないものを受け入れるもの含め、個が優位になっていきます。