東京の人口は、日本全体ほどではないがこの先緩やかに減少していきます。
今回は23区別に2015年と2040年、人口ピラミッドがどんな形状になるかを見てみました。
周知の確認にしかなりませんが、2040年は2015年に比べ年齢が高い人口が多くなっています。
東京23区のなかでいくつかの区は、2040年も比較的若い層が残っているところもありますが、総論として若年層が圧倒的に少なくなります。
2040年は東京全体では若年層が減って60歳台が最大ボリューム
さきに、以前まとめた東京の人口減少の記事は以下です。
上記は折れ線グラフでこの先の東京全体の人口総数推移がわかります。
日本全体に比べまだ、東京は人口の減少が少ない。
東京以外の人口減少が大きいということでもあります。
そのうえで2015年と2040年の人口ピラミッドが以下です。
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2040年は全体的にボリュームゾーンが高年齢階層にスライドしています。
2040年の最大の人数となるのは男女とも[65~69歳]。
90歳以上の人口も、特に女性は2倍以上になっています。
逆に20歳以下の人口は2015より少なくなっています。
一応ですが23区のみ(都区部を除いている)の人口ピラミッドが以下です。
東京全体と違う点は、あまりありません。
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
東京23区の2015年と2040年の人口ピラミッド
千代田区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
最大のポイントは、千代田区は総人口が増加するという点。
そして2040年時の最大人口階層は50歳代、生産人口年齢です。
千代田区は2040年は、まだ安泰と言えそうです。
中央区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2015年次のグラフで気になるのが、10歳代が少ない点。
しかし2040年にはこの年齢層も増えているのが中央区。
生産年齢層も多く、千代田区とともに税収が望める区です。
港区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
収入順位でたいてい1位になる港区。
千代田区、中央区とともに、さすが安泰という区。
総人口も増えていきます。
新宿区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
人口総数としては、2015年にくらべ2040年は微増の新宿区。
グラフを見比べると、少しだけボリュームが高年齢化しています。
新宿区も2040年次は、まだ生産年齢人口が多い区です。
文京区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
文京区は2015年と2040年で、おおきくグラフ形状が変わらない点が特徴的。
やや2040年時に丸みを帯びますが、生産年齢世代がボリュームゾーンです。
2040年、90歳以上の男性が多い点がわずかな特徴と言えば特徴。
台東区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2040年、男性の人口は微増、女性が15%増加する台東区。
グラフは高年齢層に少し移動しています。
墨田区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
墨田区は台東区とほぼ同じ推移。
墨田区と違う点は、男性合計人口も女性合計人口と同じ15%増えるという点です。
2040年には、90歳以上の男性が多いようです。
江東区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
江東区のトピックスは、2040年の最大ボリュームが[65~69歳]ということ。
これまでの区では50歳代までが最大ボリュームでしたが、江東区は高年齢化が進みます。
品川区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
23区では標準的な、グラフ形状です。
2040年には2015年に比べややボリュームが高年齢化します。
目黒区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
目黒区も品川区同様、標準的なグラフ形状。
安定している区です。
若干、女性の増加が多いです。
大田区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
大田区は高年齢化が進む区の1つ。
2040年の最大ボリュームゾーンは[65~69歳]。
世田谷区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2015年も2040年も、23区では最大人口の区である世田谷区。
この区も高齢化が進む区のようです。
もう1点、他の区にない特徴として、30歳代のところに山(人が多い)があります。
高齢者も増えるが、若い世代も増える点が特徴的です。
渋谷区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
渋谷と言えば若者というイメージがありますが、2040年とくにそうした特徴はありません。
一般的な推移と同様、2040年は全体的に高年齢のところの人口が増えていっています。
中野区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
中野区も、2040年は2015年とくらべ、ほぼ人口が増えない区。
その中で、少しだけ高齢化が進むグラフ形状です。
2040年に[30歳~34歳]がすこし人口が少ないのはなぜなのか。
杉並区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
杉並区は2015年にくらべ2040年、男性人口が減少する区(女性はほぼ同数)。
その中でほかの区と同じく、全体的に年齢層が高くなっています。
豊島区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
「消滅」という単語が話題となった豊島区。
確かに若年層は減りますが、それは一部の区を除けば一般的。
グラフを見ると、標準的(高齢化していく)と見えます。
総人口は2040年でも、2015年比で微増です。
北区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
北区も標準的な区。
2015年に[55歳~59歳]が少ない点が特徴と言えば特徴。
もう1点、2040年には男性総数が、2015年に比べ微減します。
荒川区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
荒川区はグラフ形状変化の少ない区。
2015年の50歳代の凹み部分が、2040年はなくなるイメージ。
あとは、90歳以上の女性が多くなる区です。
板橋区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
板橋区は全体的に安定形状の形の区。
わずかの特徴点として、女性が男性より増加する区。
90歳以上女性も増加しています。
練馬区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2015年も2040年も人口第2位の区、練馬区。
ただ、練馬区は2040年では、総人口は男女とも微減の区です。
2040年に最大ボリュームが[65~69歳]という、高齢化が進む区です。
足立区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
2040年グラフで[65~69歳]が突出して多い点が特徴の足立区。
また人口増減では、23区で下から2番目、男女とも約5%減少する区です。
生産人口年齢も下に行くほど徐々に下がる、あまりよくない傾向。
葛飾区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
葛飾区も足立区同様、2040年グラフで[65~69歳]が突出して多い区。
人口増減も足立区同様、男女とも約5%減少します。
足立区と違うのは、2040年に20歳台が比較的多いという点。
江戸川区
出典:東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測 平成30年(東京都)
湾岸エリアで人口が増えそうなイメージの江戸川区。
実際は、23区内で最大の人口減少区です。
たしかにグラフ全体をみても、すこししぼんでいる感じがします。
2040年の最大ボリュームは[65歳~69歳]。
2040年も安定した区と高齢化が進む区はどこか
「生産人口(65歳以下)が多い」ことを安定と設定して、2040年に安定している区を選びます。
この視点でグラフを見直したのですがですが、65歳以下が多い区がほとんどでした。
逆に2040年に65歳以上人口が比較的多い区が以下です。
江東区、大田区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区
それでも2040年すべての区に言えることは「20歳以下年齢の人口は圧倒的に少ない」状況。
このまま大きな転換要素がなければ、2060年はより高齢化というのは既定路線となりそうです。
そんな東京都ですが、人口減少対策だけではありませんが、「2020年に向けた実行プラン」を出しています。
その中の大分類の一つ「ダイバーシティ ~誰もがいきいきと生活できる、活躍できる都市・東京~」があります。
政策の柱1 子供を安心して産み育てられるまち
政策の柱2 高齢者が安心して暮らせる社会
政策の柱3 医療が充実し健康に暮らせるまち
政策の柱4 障害者がいきいきと暮らせる社会
政策の柱5 誰もが活躍できるまち
政策の柱6 誰もが優しさを感じられるまち
政策の柱7 未来を担う人材の育成
政策の柱8 誰もがスポーツに親しめる社会出典: 2020年に向けた実行プラン(東京都)
少なくとも人口減少に危機感を持っていると受け取れるのは、政策の柱1に子供関連があること。
待機児童問題の1位が東京という反省もあるのでしょうが、急激な人口減少を避けたい、もっというと生産人口を確保したいという政治判断は理解できます。
それでも僕は何度も書いていますが「軟着陸」をうまく目指すことが、いまの日本や東京の現状だと考えています。
さいごに
今回の23区それぞれの2040年の人口ピラミッドを見て、どの区が高齢化が進むのかわかります。
ただ、コレで自分の住む場所を選ぶ人は、ほぼいないでしょう。
高齢者が少なく生産人口や弱年齢人口が多いので、住む場所を選ぶ。
少しでも活況な環境に身を置きたいと考えるなら、間違っているとはいえません。
ですが経済的上位を目指すならな、23区収入ランキング上位で選ぶ方が正しいでしょう。
人口ピラミッドという言葉がある通り、上部が少なく下部が多い形状がピラミッド。
日本を含む現在の先進国は、アメリカを除けばこの先どんどん逆ピラミッド型の人口になる予測です。
東京も2040年ではまだ、超高齢化状態ではなさそうです。
ですがグラフの形を見ると、その先の超高年齢化は誰もが予想できます。
後期高齢者という単語のセンスのなさは置いておくとして、超高齢化社会になる日本。
一定の生産人口がいなければ、社会福祉費用を未来からの借金でまかなうのか。
定年退職年齢がこの先も上がっていくことは、社会全体としてしょうがないと僕は考えています。
2040年には定年退職という概念も、もはや意味をなしていないのかもしれません。