日本全国のレジャープール数は微減を続けています。
利用者数も減っており、利用者が減って施設が減るのかその逆なのか、両方なのか分かりません。
それでも、暑い日、子どもがプールに行きたいと言い出すのは育児家庭では良くある話。
少子化もレジャープール施設減少理由になりますが、大きなレジャープールは子どもにとって思い出になる場所です。
レジャープール数は最盛期の半数以下
子どもがプールで遊びたいと言い出した時、就学前であれば家庭用のビニールプールも選択肢に入りますが、小学生以上となるとそうもいかない。
自宅付近の公共プールはその第一候補になりますが、本気の遊び要素を求める場合、大きなウォータースライダーがあるプールがターゲットになります。
日本全国のレジャープール数推移情報が、 e-Stat 政府統計の総合窓口にありました。
出典:社会・人口統計体系(e-stat)
まず目につくのは、1996年が一番多く1999年に一気に減少しています。
1999年になぜ、これだけ減少しているのか理由は分かりません。
計測方法が変わったとも考えられますが、その理由はデータ元にはありませんでした。
減少理由として思いつくのは、1990年代はバブル経済崩壊後の後片付け時代。
バブル時代にレジャープール含む建物をたくさん建てたが、採算が取れずに閉業するシナリオです。
僕はバブル経済を知らない世代ですが、1990年以降、それ以前の勢いが一気にしぼんで後ろ向きになった感じは分かります。
令和時代のさびれた温泉街と同じく、レジャープールもそうなっていたのか。
出典:体育施設の利用者数(e-stat)
「社会体育施設」と「民間体育施設」のレジャープール利用者数が上のグラフです。
2020年はコロナウィルス蔓延時期で、この減少は特殊事情です。
この2020年を除いても、全体傾向は右肩下がり。
レジャープール数が減っているので利用者数が減っているのか。
他には、日本の総人口が減っている点や、少子化もその理由に挙げられます。
レジャープール数の都道府県平均は6.96カ所
2018年の都道府県別のレジャープール数が以下です。
出典:社会・人口統計体系(e-stat)
都道府県別レジャープール数の1位は埼玉県の21施設、2位が千葉県の20施設、3位が静岡県の19施設。
レジャープール数がゼロの都道府県が、福井県と鳥取県の2つ。
日本海側はレジャープール数が少ない傾向が見て取れます。
1都道府県あたりレジャープール数の全国平均は6.96です。
出典:社会・人口統計体系(e-stat)
出典:人口推計(総務省統計局)
都道府県別レジャープール数をその県の人口で割ったものが上記です。
たとえば東京の場合、人口92.1万人にレジャープール数1つになります。
レジャープール数がゼロのところはカウントしていません。
レジャープール数で1位の埼玉県は、1プールあたり34.9万人。
全国平均では43.8万人なので、平均よりは良いが最高値ではなく。
人口当たりでレジャープール数が一番多いのは宮崎県。
宮崎県人口が108.1万人に対しレジャープール数が11施設あり、1プール当たりの人口は9.8万人で全国で唯一10万人を切っています。
プールでの水難事故は1桁
警視庁に水難事故発生件数情報がありました。
水難事故なので、プールに限らず海や川なども含まれています。
以下、水難事故件数について、以下高校生以上と中学生以下の2分類での推移です。
出典:山岳遭難・水難(警察庁)
全体を見ると変化がなさそうですが、10年間の前後でみると92.3%と7.7%減少しています。
また、グラフ内の灰色部分の中学生以下に絞ると、ここ10年で52.5%と約半数まで減少しています。
出典:山岳遭難・水難(警察庁)
プール事故のみに絞った死者・行方不明者数が上記です。
ここ数年はずっと1桁で、古いデータがないので分かりませんが、少ないと言える数字です。
以前、スイミングプールの文章を以下で書きました。
この文章を一言で言うと、スイミング人口も市場も減少しているという内容です。
泳ぐ人が減っているのは、プールでの事故減少の理由になります。
ここまでをまとめます。
・レジャープール数は微減を続けている
・1996年~1999年の間に一気に減少した
・レジャープール利用者数も減少し続けている
・1都道府県あたりのレジャープール数平均は6.96
・ここ数年のプールでの死者・行方不明者は1桁台
大型レジャープールは想い出の一コマ
自分の子ども時代の記憶を思い起こしてみると、僕はプールが大好きでした。
学校のプール開放日は用事がなければ基本参加、他にも友達と連れ立って公共プールに自転車で遊びに行っていました。
数年に1度、大人が大きなレジャープールに連れて行ってくれる時は、テンションマックス。
大型ウォータースライダーなどで、朝から夕方まで猿のように滑り倒していました。
(書いていてあれですが「猿のように」という表現はいかがなものか)
子どもにとっては、その年齢に沿ったプールは楽しい。
ちょっと怖いけど、その怖さを克服できた自尊心充足があります。
友達同士の会話で「俺、あの滑り台、10回滑ったもんね」「俺なんか・・・」は、よく見られる光景です。
全員がプール好きではありませんが、レジャープールでは子ども達の楽し気な声が溢れています。
レジャープールは、監視員さんがいる面でも安全が確保されています。
他にもトイレや更衣室、シャワーが便利だったり飲食物もすぐ手に入る。
お金はかかっても、夏場の子どもアクティビティ有力候補の1つです。
他に水に入る候補として、海水浴があります。
海水浴は少し整えられた自然での遊び、レジャープールは人工物での遊びと大別できます。
そのどちらにもメリットデメリットは存在する。
以前のこのブログでも書きましたが、僕は過去に海で離岸流に引き込まれた経験があります。
他にも川の激流に飲み込まれたり、いま考えると相当危なくたまたま生き残った感があります。
その時の恐怖感は今でもしっかり残っており、それゆえ水の怖さを知っています。
自然の中で遊ばせてもらうと、こういう生死にかかわる経験をすることがある。
川で泳ぐ行為は昔は見逃されていただけで、その危険度から現代ではほぼ禁止行為です。
いま、僕は自分の子どもが危険な状況にならないよう、先回りするときがあります。
そういう時に頭をよぎる、死なない程度の経験は危機管理能力として生きる力につながるのではないか。
結果的に安全だから言える話で、強く生きられる人間をを育てる視点で見た時、葛藤する部分です。
とは言え、現実的には命にかかわる危険な場所に子どもを行かせるのは難しい。
アンビバレントですが、その中間点を探るのも子育ての醍醐味です。
それでも現実的には、海の水を飲んでしょっぱい感覚くらいは普通に知っていてほしい。
レジャープールだからといって、絶対安全ではないのも当たり前の心構えです。
水の怖さを知った上で、思いっきりレジャープールで遊ぶ経験は、子ども時代の良い想い出になります。
さいごに
以下、さいたま市のレジャープールについての資料がありました。
「海なし県」の言葉通り、海が身近にない埼玉県での公共プールの利用意向ですが「公共プールを利用したことがある、利用したいと思っている」と回答した人は40%です。
半数以上の人は、プールに対しネガティブです。
この資料では他に、プール収入微減が続いていて入場料値上げを検討している記載があります。
前回書いた記事の博物館も補助金減少状態で、施設側は収入獲得が懸案となる時代です。