子どもが自分のことを最初になんと言うのか。
統計では「わたし」や「僕」の一人称(代名詞)ではなく自分の名前が早いです。
やがて自分の名前ではなく、一人称へ変化、自分で自分の名前を言う子どもはほとんどいなくなります。
どんな呼び方であったとしても、初めて「自分」のことを発言したとき、僕は小さく感動しました。
最初は「自分の名前や愛称」で自分を表現
まず、子どもが自分をどう呼ぶのか、調査結果があります。
調査対象場所が長野市とその近郊という限定ですが、時期が2015年と新しく、対象数が1,576名なので、信ぴょう性は高そうです。
出典:幼児期の自称詞使用に関する実態調査(守秀子)
・自分を呼び始める時期は2歳くらいから
・2歳の時は「(自分の)なまえ、愛称(〇〇ちゃんなど)」が8割以上、「人称代名詞」を使う子どもはほぼ0.6%
・年長ではじめて「人称代名詞」が1位になる
・自分の呼び方を「使わない」子もいる
グラフにはありませんが、元データには男女別の数字もあります。
その特徴は女の子の方が「なまえ、愛称」を使う子が多く、年長でも半数以上は使い続けています。
大人になるとそれが息をするように自分の一人称を使い分けます。
子どもの最初の一人称は、一つの壁を超えるようなものかもしれない、と子どもを見ていて思っていました。
わが家の子どもは「なまえ」ではじまり「人称代名詞」へ移行
わが家の子どもは一番、人数が多い流れである「なまえ」→「人称代名詞」へ移っていきました。
「なまえ」は2歳くらいから、「人称代名詞」は3歳くらいから。
1歳の時の子育てのピークは越えてはいましたが、2歳時はまだ子育て戦争真っ最中、あまり余裕がありませんでした。
1歳のどこかから、われわれ父母の呼称は、人称代名詞で呼ばれていました。
しかし、自分のことは一度も言葉にしたことがない。いつその時がくるのか、せわしない日常に追われながらも、待っていました。
その時点でわれわれ夫婦は、わが家の子どものことを「名前」で読んでいました。
2歳前後のころ、ついにその時は訪れました。
「○○(自分の名前)はね、xxがしたいの」。
「そうか、最初は人称代名詞ではなく、自分の「名前」で自分を表現したか」と、普通の顔をしながら「そうか、じゃあやってみよっかー」というような返答しつつ、内心、また一つ越えたなぁと思っていました。
男性の一人称選択は悩ましい
一人称については、男女でやや使い分けで違いがあると僕は考えています。
女性には「わたし」というオールマイティーな一人称があります。
「わたし」が嫌という人は、それはそれで選択肢が厳しい。
対して男性の一人称選択は、人生にはいくつか悩む時期(選択期)があります。
まず、男性の人称代名詞候補を以下の5つとします。
①僕
②俺
③わたし(私)
④自分
⑤(自分の名前)
幼児期は意識して使い分ける時期ではないので、あまり考えても意味がないですが「⑤(自分の名前)」か「①僕」。
中高生のときの周りの目線を強く意識、カッコつけるような時期なので「②俺」。
ただ「①僕」を使っていても、大人から見るとおかしくないですが、友達にバカにされそうな集団もあると思います。
「⑤(自分の名前)」は、小学校くらいからは、バカにされます。
社会に出てからは、会社や組織では「③わたし」が基本として、プライベートで学生の時に使っていたものをそのまま使うのか。
「②俺」というのも、時代的には減少している気もしますし、かといって「①僕」はナイーブ感がある。
「③私」をプライベートに使うのは堅苦しく、「④自分」は他人行儀な気もしています。
当然、プライベートの個人の話なので、何を使っても基本良いと思いますが、結論は「俺」か「僕」が多いと思います。
だた、上で並べてみた通り、男性は年齢(時期)で、自分の呼称を変えるのが一般の流れでしょう。
さいごに
僕自身の自分の一人称は、小学生のときは「俺」、社会に出てから「僕」にしました。
学生時代は自分の能力に自信がないので、強く見せかけるために「俺」を選択していた、といま振り返ると感じます。
社会に出てから肩の力が抜けて、偉ぶる無意味・悪影響さを知り、「僕」くらいでちょうどよいかもと選択しました。
「自分」も、客観的に自分自身を見ているようで好感なのですが、これは僕には第二候補。
社会人であれば目上の人と接する機会も多く、「俺」は控えた方が良い場面があります。
それでも、ある程度TPOをわきまえていれば、自分がのしっくりくるものを使うのもありだと思います。
大工の棟梁が「僕」と言ったら、不安になる僕は、古い慣習に縛られているからかもしれません。
蛇足ですが、科学的根拠がまったくない血液型判断と同じく、一人称でその人をカテゴライズするのは、イマイチだとも思っています。