子どもの教育やスポーツなどの経験に、親がどれだけお金をかけるか。
社会情勢として、主に都心部で中学受験率向上や習い事が増加しています。
過干渉にならないよう子どもの意見も取り入れて、どこか落としどころを探る。
目指すゴールは子どもの人生の成功かもしれませんが、この考えが蜃気楼でもあります。
親の2/3は子どもに大学進学してほしい
以下のグラフ情報は、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000名にアンケート結果です。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
お金をかければ学力や学歴が買えると感じているのか。
いきなり、直球ど真ん中の質問です。
一番多い回答が「ややあてはまる」の48.1%と約半数。
「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計が62.7%。
現代は約2/3の親が、お金が学力に影響すると考えています。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
教育資金をねん出するために、自分達親の老後資金よりも子どもの教育費を優先する。
「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計が59.3%。
1つ上の学力イコールお金の賛同者の62.7%とほぼ同値です。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
子どもを大学に進学させたいか。
「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計が84.5%。
一般的には私立であっても大学の学費が、小学校から大学までの中で一番高額になります。
その最高額の大学進学願望が8割以上。
「いまどき大学くらいは出ていなければ」という言葉の通りです。
勉強も重要だがスポーツや芸術の方が上
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
知育や英才教育のついての質問で、「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計が66.8%。
こちらもやはり、子どもの頃からお金をかけて塾などに通わせたい親の願望は約2/3です。
いまどきの子ども、4~6歳の半数が2つ以上の習い事をしています。
それが知育や英才教育を意識しているかと言えば、現代の親はたいてい考えている。
単純に子どもが楽しめるものもあったとしても、費用対効果やコスパ発想で、それが必要かの判断は行われているものです。
親が音楽好きでピアノを選んだとしても、音楽による脳への良い影響など、後付け理由としても考えない親は少数派です。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計が40.9%。
座学が体を動かすより重要と考える親は、約4割。
これまでの約2/3の親が学習が重要と考えていた割合と、少し差が出ています。
最高値は「あまりあてはまらない」の49.4%。
約半数の親は学習塾より、スポーツや芸術を推しています。
子どもの独立経験は大学進学希望率より低い
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
自宅から遠ければ下宿や寮生活もよいと考える人は、「非常に当てはまる」と「やや当てはまる」の合計が45.4%と半数弱。
残りの半数強は、自宅から通える大学を子どもに選択させたいと考えています。
それが経済的な理由なのか、子どもを近くに置いておきたいのかわ分かりません。
仮の条件ですが、親の自分が地方在住、子どもが女性性、その子が東京に進学したいと言い出した時、心配になるのは理解できます。
その心配を押し殺し、笑顔で子どもを送り出す親もいれば、それが難しい状況もある。
現実には、一人暮らしで仕送りまで親が資金を出すと、まとまった金額が必要になります。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
アルバイトはせず学業に専念してほしいと考える、「非常に当てはまる」と「やや当てはまる」を足すと42.2%。
残りのアルバイトして学生生活の費用に充ててほしいと考える「非常に当てはまる」と「やや当てはまる」を足すと57.8%。
親の仕送りが見込めない子どもが必須条件としてアルバイトするケースもある。
他方、アルバイトで社会性を身に着けたり、インターンで未来につながる経験をしてほしいなど、他の狙いも思いつきます。
出典:子どもの教育資金に関する調査2022(ソニー生命)
最後に、子どもに海外経験させたいか。
アルバイトして学生生活の費用に充ててほしいと考える、「非常に当てはまる」と「やや当てはまる」を足すと58.4%。
これまでに出てきた、教育が重要と考える約2/3に近い結果です。
海外経験も、教育の一環と考えているとするのは雑かもしれませんが、個人的には近いものを感じます。
現実はコロナ過なので、海外渡航はハードルが上がっていますが、このアンケートを実施したのが2022年とコロナにも慣れた時期のもの。
コロナ過であっても学生時代は期間限定で、若い時に経験させたいと考える親もいるのかと想像できます。
親がレールを敷きすぎない
子どもの教育にお金をかける狙いを上のグラフから読み解くと、それが学歴に直結するからとなります。
現実、親の所得が子どもの学歴と相関があるお話はよく聞きます。
それと同時に出てくるのは、高学歴の親の子どもは学歴が高い。
違う意見として全検査IQ(FSIQ 全体的な認知能力)が高いと、生涯所得が高くなり、そこに学歴は無関係と言うものはあります。
それでも、高所得な親が高学歴であり、一定以上のお金がないと子どもの経験を狭めてしまう時代。
いまどきの塾は数十万から、夏季講習なども含めると年間100万円は必要。
兄弟2人なら、この額を苦も無く出費できるご家庭は、所得や資産では一定以上です。
お金を稼ぐことや自分のやりたいことに執着する高所得者もいますが、僕の身の回り観測の少数情報としてですが、子どもの人生にプラスになる何かを探すのを親が楽しんでいる。
子どもの事を考える総量が多く、コスパ思想は標準装備なので、たくさんの選択肢の中から、厳選して通う学校も習い事を見極めています。
また、一昔前の言葉ですが、教育ママの考え方のように勉強ばかりしていれば未来が明るいと考える親は、僕は現実の世界では聞いたことがない。
身体と脳の影響や、どう接するのが子どもの自立を促すかなどの情報は、普通の思考パターン内になっています。
その結果、身体を鍛えたり、自立のためにどんな経験が良いのか考える。
海外留学は、自分を見つめなおすきっかけとして、昔からそのポジションを得ています。
僕は数か月、国外で過ごしましたが、自分の甘さや日本国内では周囲に守られていたことが痛感できる経験でした。
こうした経験を踏まえ、親主導で先回り準備しても、必ず子どもが高学歴になるわけではありません。
それでも、子どもが少しでも優位な位置にいてほしい親心、少なくともそれは僕にはあります。
絶対に成功する方法は存在しませんが、失敗回避はある程度予見できる。
ただし、失敗経験が少ない子どもが自立できるとは思えず、失敗と成功のバランスポイントの模索も永遠の調整点です。
いろいろ親が考えても、それは親の考えで子どもに押しつけすぎない姿勢。
親の幸せと子どもの幸せは別モノと考えるのは、基本スタンスです。
さいごに
経験をお金で買う時代と上に書きましたが、少なくとも以前よりその言葉は重くなっています。
ただ、お金で変える経験は予定調和となりやすく、練習レベルを超えないモノもある。
学習塾などは本番(入試試験の合格)のための練習なので、それが目的ではあります。
練習ではないモノとして、勇気を振り絞って異性に告白してふられる。
心臓をバクバクさせながら挑戦した、その1つの経験。
お金で買う経験と自由意志での経験、どちらが自分の言葉になるかと言うまでもなく。
どちらか1つを取る物でないのは当たり前ですが、どちらも両輪として重要。
大事なのは、車輪を動かし人生を前に進める行動です。