2018年に、日本人の海外留学生数が増えているという文章を書きました。
その後、2022年のいまはコロナが収束しておらず、海外に出る人は激減しました。
コロナ過直前のアンケートでは、子どもの2割は40歳時点で、世界で活躍していると答えています。
海外で活躍できる人になってほしいと思う親は増えていると思いますが、場所問わず「何とかなる」思想ができる人になってもらいたい思う親はもっと多いと思っています。
40歳に世界で活躍すると予想している子どもは2割弱
内閣府に、子どもと若者が答えた「40歳くらいになったときどうなっていると予想していますか」のアンケートがあり、その中の海外についての記述がありました。
出典:子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)(内閣府)
アンケート回答属性は、13歳~29歳までの男女10,000人。
彼ら彼女らが40歳になるのは、11年後~27年後、ざっくり2030年~2050年前くらいです。
その時点で、世界で活躍しているか。
結果は、デコボコしていますが、15%~20%強をいったりきたり。
データの中で最新年の2019年が一番高い数字で、22.1%。
一応ですが、2019年は、まだコロナが拡散する前の年です。
上記は世界で活躍しているかどうかなので、日本国内に居住しているも含みます。
以下、2年間だけですが、海外に住んでいるかのデータが同じ情報ソースにありました。
出典:子供・若者の意識に関する調査 (令和元年度)(内閣府)
海外で活躍していると答えた人の割合に比べ、約10数%少ない。
海外で活躍>海外居住の結果です。
海外在住の子どもの数
実際に海外に住んでいる子女数推移が以下です。
出典:海外在留邦人数調査統計(外務省)
2017年までのデータですが、右肩上がりです。
2008年と2017年を比べると、21,319人増え、増減率は134.8%。
出典:海外在留邦人数調査統計(外務省)
単位が小さい地域が分かりにくいですが、すべての地域で2008年とくらべると2017年は増加。
一番増加率が高いのが欧州の148.7%、次点が中南米の147.7%です。
コロナ過に入ってからの情報も含まれている、留学生数の情報は以下です。
出典:「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文部科学省)
2018年度までは順調に伸び、2019年度に少し下がり、2020年度のコロナ過で前年比-98.6%と激減しています。
実数では、2019年に107,346人が、2020年度は1,487になっています。
帰国子女の数は減っている
国外に出るのではなく、帰国する子どもの数は以下です。
出典:学校基本調査 e-Stat(文部科学省)
このグラフは山型で、2015年が一番高い。
2016年以降の数字が下がっているので。この頃はまだ邦人留学子女数が増えている時期なので、出る人は増え戻る人は減っており、全体で海外駐留する子女が増えています。
子どもだけ海外にいるケースは全寮制学校が思いつきますが、日本人で全寮制に入る人は少数派。
大半は親の仕事に付いていくがその理由で、子ども本人の意思とは無関係だと予想します。
余談ですが、帰国子女からの感想で印象に残っているのは、海外の給食はマズイです。
最後に外国人の子どもが、日本国内の公立学校にどのくらいいるのか。
出典:学校基本調査 e-Stat(文部科学省)
基本右肩上がりで、日本国内の公立学校に通う外国の子どもは増え続けています。
この情報は公立学校の集計値なので、インターナショナルスクールは含まれていません。
日本の国力低下、日本に来る海外の子女の(富裕)層を考えるなら、公立学校ではなくインターナショナルスクールが思いつきます。
その意味で、この公立学校グラフの数字以上に、海外の子女は日本の学校にいると考えられます。
何とかなるは非認知の究極系
海外に出るメリットを、Google検索した結果のサマリーが以下です。
・語学が堪能になる
・異文化に触れる、日本の文化を見直す
・多様な価値観、ダイバーシティ
・海外に友人ができる
・コミュニケーション力が上がる
・マネジメント能力、リーダシップ、問題解決能力
・チャレンジ精神、経験
・就職に有利
・自分を鍛える場
・レジリエンス能力向上
・自立する、成長する
子育て中の親の間で、海外在住とは無関係によく出てくるワードは上記最後の「自立(自律)」。
未来予測ができない時代、どこででもやっていける人になってほしいのは、たいていの親の願望の言い換えです。
上記、海外に出るメリットを眺めてみると、自立と親和性の高いものが多いのは無関係とは言い難い。
また、自立以外に、異文化、多様性、ダイバーシティはいま流行りと言って良いワードです。
国外に出て、現地の人と話すと日本が島国だったと感じるシーンに出くわすこともあり、日本人が単一民族思想がベースになっているのだと分かります。
同じ日本人であれば、違和感がリアルで「ちょっと、おかしいんじゃない」と思うことも、外国の人がそれをやっていると比較的素直に受け取れます。
ムスリム(イスラム教信者)が1日5回お祈りをするのを見て、そういう文化なんだと知る。
日本人だけの会社で、仕事中に5回、座禅を組むという話は聞いたことがありません。
たぶん、いまであればこれも許容されそうですが、日本がほぼ同質文化であるがゆえ、異分子に対して日本人の許容度は低いと感じます。
世界に比べると日本人は、環境要因もあって閉鎖的です。
その上で、実際に海外に出て生活している日本人と話をして感じるのは、彼らは物理的にも精神的に身軽になっている。
どこででもやっていけるし、何かに縛られる感覚が低い。
意図せず海外では、自分を持っていないとやっていけず、謙虚に他人を受け入れる。
裏には、一言では言い表せない傷もたくさんあり、歴戦の強者の風体も垣間見える。
結果、多様な経験を積み上げ「何とかなる」発想ができるようになる。
この「何とかなる」が、自立の要素として大きいのは間違いなく。
海外にいると、自分が何とかしなければならないシチュエーションが多くなります。
それは半ば強制的であっても、長い目で見ると自分を鍛える良い時間です。
さいごに
海外で活躍する人の職業として、役者やミュージシャンあるいはスポーツ選手など、晴れやかな舞台をイメージはしやすい。
しかし現実は、世界で活躍するレベルの芸能関係やスポーツ選手の割合を考えてみると、何万人に一人レベルではなく、単位が数百万人とか数千万人に一人の壁が立ちはだかります。
振り返って現代では、海外企業が日本に進出していたり、国内企業でも海外と取引が増えました。
一緒に働く人も、日本人以外というのも日常風景。
コンビニをはじめとする飲食店も国外の人が増え、一昔前に比べ国内でも国際化が進んでいます。
この先の日本人の人口減少を補うため、移民受け入れを続けると僕は予想しています。
日本経済の下り坂を考えても、日本人が海外に出る必要性も高まる。
そんな時代、「何とかなる」精神を持てる人に、わが家の子どもがなってほしいと感じます。