給食費の値上げ論争が熱い

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育児・子供観察

食材費高騰で給食運営が厳しい。
すでにいくつかの自治体では給食費を上げていますが、この先の情勢を予想するに明るい状況は見込めません。
現場のお話を聞くにデスマーチの中、何かの打開策が求められています。
全員一致の解答がなくとも、決断が必要な時期と感じます。

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給食補助を実施済みと予定で83.2%

2022年はいくつかの要因で、日本もインフレになっています。
下記のようなニュースも見飽きましたが、インフレが日常化しました。

大手外食の約7割が値上げ 2度目、3度目の複数回値上げも2割以上に

これは、戦争やコロナ過、各国中央銀行がお金をばらまいた結果でもあります。
他にも、人口が80億人に達するニュースもありました。

世界人口は今年11月に80億人に:国連が「世界人口推計2022年版」を発表

地球規模で見ると人は増え環境は悪化、食べ物は大丈夫なのかの不安も出てきます。
身近な話として給食費値上げの話があり、すでにいくつかの自治体では値上げに踏み切っています。
それに対し行政側も救済策を実施しています。

学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組状況
出典:物価高騰等に対応した学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組状況をお知らせします(文部科学省)

「実施している」と「実施を予定している」を足すと83.2%。
4/5以上の自治体が、給食補助を実施・予定しています。

学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組状況・都道府県別
出典:物価高騰等に対応した学校給食費の保護者負担軽減に向けた取組状況をお知らせします(文部科学省)

都道府県別にみると富山県が100%など、すべての市区町村の学校で対応済みの場所も存在します。
最下位は愛媛県の42.9%、何か事情があるのか分かりません。
ばらつきはありつつも、8割以上で給食費補助対策が進行しています。

学校給食費のは20年で約14%上昇

以下は東京都区部の情報ですが、小中学校の給食費はわずかながら上昇しています。

小中学校の給食費推移
出典:小売物価統計調査(総務省統計局)

小学校では、2000年と2021年を比べると、488円上昇しており増減率は113.0%です。
中学校では、2000年と2021年を比べると、694円上昇しており増減率は116.8%です。
2020年にいったん下がっていますが、推移を見ると給食費は微増を続けています。

小中学校の給食費 市別
出典:2021年 小学校の給食費(総務省統計局)

上記、都道府県より小さい区分ですが、給食費にばらつきがあることが分かります。
ゼロ円の大阪市は例外としても、1か月3,000円未満の市から4,000円台後半が最高値。
関東とか関西などのブロック別に傾向があるわけではなく、西高東低などでもなく。
あくまで給食費は、市区町村レベルで決まっていることが見て取れます。
小学校の給食費の全体平均は3,877円です。

兄弟数でも補助がある

令和時代は、ほぼすべての小学校で、中学校は約9割で学校給食が提供されています。

2018年の学校給食実施率は、小学校の99.1%、中学校は89.9%。
2018年の給食回数は、小学校の191回、中学校は186回。

出典:平成30年度学校給食実施状況等調査の結果について(文部科学省)

この情報、公立と私立の両方の情報です。
給食回数は、中学校が小学校より5回少ない。
1つ上の段落のグラフでは、大阪市が給食費無料を実施していますが、それ以外の自治体でも以下のような給食補助を行っています。

学校給食費の一部無償化・一部補助の実施状況
第2子以降は無償:7自治体
第3子以降は無償:91自治体
第4子以降は無償:6自治体
学校給食費又は食材購入費の一部を自治体が補助:311自治体

出典:文部科学省 調査結果のポイント 調査1.学校給食費の無償化等の実施状況(文部科学省)

給食費限定ではなく、日本では生活困窮家庭に「就学援助制度」が存在します。
これは市区町村で決まっているもので、一定の所得金額以下のご家庭に対し、金銭支援する制度。
その費目のなかに「学校給食費」も含まれています。

金銭的余裕がないご家庭には補助があり、日本の子どもは学校給食が食べられる環境です。

デスマーチ状態の給食提供

「給食費を上げずに、いまと同じレベルの食べ物を提供するのはさすがにもう限界」
僕の知り合いの給食を管理している人が、2022年11月に言っていた言葉です。

「材料費が高騰、行政からの補助費があっても原価割れギリギリのところまで来ている。」
これが、この文章を書くきっかけになっています。

上記の発言をした人の職場では、雑談ベースですが打開策として以下が出ているそうです。
(1)給食費を上げる
(2)回数を減らす
(3)食材を安価なものに変える(国産から海外)

僕がそれまで知らなかったのですが、少なくともこの人の地域の学校給食材料は国産。
国産素材のみであのお値段というのは、失礼な言葉かもしれませんがやりくり上手です。
あるいは、農家さん達も子ども達への応援として、売れないような形の野菜などを相当安価でおまけでつけているなどもあるのかもしれません。

子ども達が口にする食べ物について不安は排除したい発想の「(3)食材を安価なものに変える」は不評らしい。
安易に値段に流れない姿勢は、サービス提供側のプライドを感じます。

そうなると(1)給食費を上げるか(2)回数を減らすが残る。
どちらも納得度は高いらしく、(2)の回数を減らして弁当を持ってきてもらうのも一案。

そうした話が、現場で何度となく出ている中、監督者・決裁者の動きはノロイらしく。
僕は公務員ではないので分かりませんが、もしかすると公務員の日常風景なのかもしれません。

他にも、保護者にアンケートを取って多数決で決めるなども上がっているらしい。
ただし実際、アンケートを取ってもそれが活用できるか、難しい時代ではあります。
「多数決で決まりました」となっても、それに従わない大きな声の人がいる。

IT業界で状況がどんどん悪化していくプロジェクトに対して使われる「デスマーチ」という言葉があります。
現在の給食状況を聞くに、同じ焦げ臭い匂いを感じます。

僕は、(1)給食費を上げるに1票入れます。
(2)回数を減らすは、共働き家庭が7割弱の現在、弁当を作る負担を増やすのはイマイチ。
(1)の実施にあわせて、値上げ対応が難しいご家庭は、行政補助を導入する。
代わりに、老人に使っている社会保障費を削減する。
何の変哲もないおもしろみのない意見ですが、実施にはハードルが高いと想像します。

少子化状況の中、全員ではなく一定割合の子どもに給食費補助を出しても、社会保障費全体からみればたかだか知れています。
子どもの数が1,167万人、1割が補助対象として、月に1,000円補助しても、年間で約140億円。
オリンピックや万博で使うお金よりも、圧倒的に低い数字です。

いまの政治の優先順位は、老人優先で子どもが後と感じます。
その優先順を決めているのは大人です。

自分のことばかり考える大人を見て子どもがどう思うか、給食費値上げ論争はその1つと感じます。

さいごに

子どもが、自宅でのご飯を残すが、外食だとモリモリ食べる。
学校給食も同じく、残さずどころかお代わりして食べる、と自慢げに語る。
家でご飯を作っている人に対して、炎上につながる危険ワードです。

僕は子どもの頃、ピーマン以外、好き嫌いがなかったのですが、言わんとしていることは分かる。
学校給食は、家庭で出るメニューと同じでも、なんだかおいしい。

この美味しいを分解しても、正直理由は分からず。
友達と一緒に食べている点は思いつきます。
それも、2022年現在のコロナ過、黙食は微妙な情勢です。

非日常が、おいしさを何割かマシマシにする。
近いのは、登山の時、頂上で食べるカップラーメンはご馳走を思い出します。