食事中のテレビ視聴は余白をなくす

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育児・子供観察

テレビを見ながら食事する人の割合は、60歳代を除く成人では減少しています。
対し、子どもがいるご家庭では、ここ10年間、変わらず約3/4です。
ディスプレィタイムが気になる親は、テレビを見せながらの食事でよいのか葛藤しながら、朝の準備時間はEテレのお世話になるのもよくある光景です。
テレビを見ながらの食事は太るという研究結果から健康面でマイナス、他に精神面でも空白は現代では貴重な環境です。

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テレビ視聴しながら食べる人の割合

家での食事中の時に何をしているのか、2022年に行われた小学4年生~中学3年生、400人のアンケート結果が以下です。

家で食事の時どんなことをしているか
出典:小学4年生~中学3年生 400 人に聞く“食事”の実態と“食”とのかかわり(農林中央金庫)

2位「テレビを見る」の全体平均は75.8%と、全体の約1/4です。
1位の「家族と話をする(86.0%)」と合わせて、いまの家庭での食事中の主流は「テレビが付いている状態で家族と話しながら食事をしている」ようです。
性別でみると男子(72.5%)より女子(79.0%)、年代別では小学生(73.0%)より中学生(78.5%)が、テレビを見ながら食事をしています。

晩ご飯中、テレビをつけている家庭は多い?少ない?
出典:晩ご飯中、テレビをつけている家庭は多い?少ない?(ベネッセ)

こちらはベネッセが行った、全国の小学1~6年生の保護者対象の2,472名のアンケート結果です。
「毎日つけている(46.8%)」と「たまにつけている(27.3%)」を足すと74.1%。
1つ上のグラフ、農林中央金庫のアンケート結果とほぼ同値です。
どちらの結果も、約1/4のご家庭でテレビが付いた状態で食事をしています。
このアンケート実施は2013年なので、ここ10年、変わっていないとも取れます。

テレビを見ながら食事をすることが多い
出典:テレビを見ながら食事をすることが多い(博報堂 生活定点調査)

最後に、20歳以上の大人がテレビを見ながら食事するかのアンケート結果です。
こちらは家族構成情報がないので、何人で食べているのか不明です。

全体平均では、1998年=74.8%から2022年の65.1%と、約10%減少しています。
ここ10年変わらず、子どもがいるご家庭の約3/4はテレビが付いていましたが、大人向けアンケートでは減少傾向です。

このグラフは、全体数値ではなく年代別の推移情報です。
20代~40台は減少しており、60代が伸びている点、時代を表しています。

まとめると、大人だけを見ると食事中にテレビを見る人は減少、子どもは変わらず約3/4が見ている結果です。
変わらずです。

テレビ視聴しながらのメリデメ

子どもがいるご家庭のあるあるですが、テレビを見ながらご飯を食べると親が怒る。
それが、子どもが高校生くらいになると、食事中はテレビが付いている状態に変わる。
各ご家庭の指針で決まりますが、昔からご飯を食べながらのテレビ論争はありました。
テレビ視聴しながらのメリット・デメリット、ネットのいくつかの情報をまとめると以下です。

▼メリット
・テレビの内容が会話のきっかけになる
・朝の準備時間にテレビをつけておく
・親が楽
・天気予報など生活に役立つ番組がある

▼デメリット
・姿勢が悪くなる
・衛生面
・子どもの言葉の発達に悪影響
・子どもが一人でテレビを見ながらご飯を食べるなら個食
・しつけに良くない
・健康面

最後の健康面について「テレビを見ながら食べると太る」研究結果が2020年に発表されました。
イギリス・サセックス大学のマーティン・ヨーマンズ教授、ソフィー・フォースター博士の研究によると、テレビなどに集中すると、食べ物の量を調整できずに満腹感に気づきにくくなる。

120人の参加者に対し、何かに集中している時、食事量がどう変わるかを確認した。
その結果、集中している参加者は、最初に高カロリーまたは低カロリーの飲み物を与えられたかどうかに関係なく、ほぼ同じ量の追加ポテトチップスを食べた。
何かに集中していない参加者は、追加のスナックの量を調整することができた。
後者のグループの人々は、エネルギーの低い飲み物を飲んだ後よりも、エネルギーの高い飲み物を飲んだ後の方が、ポテトチップスを食べる量が45%少なかった。
体が満腹になったときに気づく能力は、脳にどれだけ注意力が残っているかに依存する。
マーティン・ヨーマンズ教授は、テレビなどを見ながら食べるのは、健康的な体重を維持したい人にとって、重要考慮点と述べている。

出典:TV-watching snackers beware: you won’t notice you’re full if your attention is elsewhere(サセックス大学)

大人でも子どもも変わらず、テレビに集中して食事量が調整できず太るのは回避したい。
健康感度が高い現代風潮から考えると、テレビ視聴しないで食事が良いとなります。

メディア総接触時間

上のグラフ「[成人] テレビを見ながら食事をする事が多い」では、60代を除きここ20年でテレビを見ながらご飯を食べる人は減っていました。
これはテレビを見ながらの解答で、スマホやパソコンなどなど他のディスプレィ機器については加味されていません。

メディア総接触時間の時系列推移(1日あたり/週平均)
出典:メディア定点調査2021(博報堂DYメディアパートナーズ)

上記はご飯を食べながらではなく、1日のメディア総接触時間です。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌は減少。
一番減少しているのは「新聞」で、2006年=32.3分が2021年=14.3分で、44.3%の増減率です。
2番目が「雑誌」で、2006年=19.6分が2021年=9.3分で、47.4%の増減率です。
新聞・雑誌を読む時間は、ここ15年で半分以下になっています。

代わりに伸びているのが、パソコン、タブレット、携帯/スマホ。
タブレットは限定的だったしても、スマホの伸長率が著しい。
増減率では、2006年=11分が2021年=139.2分で1265.5%、2021年は2時間19分スマホを見ています。

食事中のスマホは、スマホの小ささと相まって相性が良い。
一般的なレストランで、一人客がスマホを見ていない人の方がいまは少ない時代です。
吉野家の牛丼を食べる客層は一人が一番多いと思いますが、その大半が席についてオーダーしてから席を立つまで、スマホを眺めている。

食事中のテレビ時間が減少していたとしても、それがスマホに変わっている時代です。

余白を意識して作る時代

いまさら耳タコであり、現代人の大半が首肯する「情報過多」。
テレビもその1つで、視覚による情報は脳への影響は大きいもの。

ニュースは情報量が多いとしても、バラエティ番組でも脳はテレビに引っ張られる。
子ども向け番組も、どうしてこういう展開にしたのだろう、この人のセリフは伏線なのかと、大人脳で考えてしまうこともある。

一概にルール化は難しくとも、家庭の食卓で子どもに食事に集中させたいのであれば、テレビは付いていない方が良い。
付けるのであれば限定的、たとえば朝の登園前の一定時間だけなどは臨機応変対応は1つの形です。
その間に、親が出かける準備をするのは、子どもが幼少期はいまの共働き育児世帯の標準風景です。

わが家では食事中はテレビを付けません。
一度それに慣れてしまうと、後戻りができないのを考えた結果、それが日常(習慣)になりました。

テレビを付けていない食事について、僕が大事だと思っているのは「余白」です。
昨日の続きの予定調和ではなく、未来を楽しむための沈思黙考タイム。

テレビが付いていない状態だと、「食べる」か「会話する」か「考える」になります。
家族のだれかが話し始めたら、自然にその会話に耳が向く余力がある。
いつも会話を真剣に聴く必要はなく、適当に流すことも含めつつ、少なくとも話している内容は脳でキャッチしている。
子どもの話はとりとめがない内容もありますが、それは期間限定のおもしろさでもあります。

食事中、だれも話していない時間帯は、口をもぐもぐ動かして頭の中で何か考えている。
大人であれば目先の雑事や少し先の予定、子どもは自分の好きな映像が出てきたりしているようで、見ていて楽しそうでもアリ想像力が存分に発揮されているイマジネーションの時間です。

テレビを付けずに、手持ち無沙汰な状況をつくる。
脳にも心にも余白ができ、あれやこれや考える時間になる。

少し背伸びするくらい負荷がかかった状態は人を成長させますが、適度に隙間(余白)を作って考ると、見える景色が変わります。

さいごに

車の運転中に、ラジオや音楽を聴く。

僕はドライブが好きで、あの無心に近い状況は現代では貴重だと感じています。
運転中はスマホやテレビホを見られず、ラジオの音と周囲の情報を半分無意識に処理している。
交通ルールや周辺状況確認は意識下で処理しつつ、ぼんやりと世界を眺めるような。

現代の日常はいつも追われている感覚があり、見るともなく見る、離見の見にも通ずるような、ぼんやりは意識しないと難しい。
ドライブ以外では、一人で入るお風呂も近い状況です。

お風呂タイムは自分だけのリラックスタイム。
こういう時間にアイデアを思いつくのは、「シャワー効果」や「マインド・ウォンダリング(心の迷走)」の言葉がある通り、大切な時間です。