長期欠席者は増加中だが救済策もある

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育児・子供観察

2021年度の長期欠席者は、前年比で大きく増加しました。
1991年度からみても、ずっと右肩上がりでしたが、さらにそれが加速。
1つにはコロナウィルス感染回避という、避難的な理由は含まれてはいます。
いまは長期欠席者に対する救済策もあり、その1つがITになるのは容易に想像できます。

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長期欠席理由の1位は不登校

2021年度の小学校の長期欠席者数は180,875人、中学校は232,875人でした。
長期欠席者とは年度間に30日以上、登校しなかった人を指します。
理由別内訳が以下です。

小中学校の長期欠席 不登校 人数 2021年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

1位が「不登校」、59.2%と約6割を占めています。
2位が「コロナ感染回避」で14.3%と、2021年度らしい特殊事情が次点です。
3位が「病気」の13.8%。

小学校と中学校での違いは、中学校は「不登校」が多く、小学校は「コロナ感染回避」と「その他」が多い。
「その他」とは、上のグラフ内「その他」以外の4項目に該当しない分類です。
具体例として、保護者が登校の必要を認めない、家族介護、外国での長期滞在などです。

小中学校の長期欠席 不登校 割合 2021年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

全体生徒数からみた、長期欠席者割合が上記です。
小中学生別の長期欠席理由合計は、小学生が2.9%、中学生が7.2%。
小学生が100人中3人、中学生が100人中7人と、年齢が上がると長期欠席者割合が増加しています。

 

小中学校 病気・経済的理由・不登校で長期欠席者 2021年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

どのくらい欠席したか・出席したか、小中学校別の病気・経済的理由・不登校で長期欠席者の人数です。
90日以上欠席者が大半で、2つ目のブロック「出席日数が10日以下」と「出席日数が0日」はわずか。
長期欠席者の中でも、大半はほとんど登校しないではなく、学校には行っているが合計すると年間で90日以上は休んでいます。

長期欠席者は2021年大幅増加

下記グラフは、理由別の長期欠席者数の推移です。

小中学校 理由別長期欠席者数 推移
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

最大ボリュームの灰色線「不登校」で、近年上昇しており2021年度はその勢いが増しています。
あとは2020年からの分類「コロナ感染回避(グラフ内 薄い黄色線)」が新規で発生。
「コロナ感染回避」も、全体欠席者中14.3%に達しています。

小中学校 理由別長期欠席者 割合 推移
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は全体生徒数に対して、理由別長期欠席者割合のグラフです。
やはり「不登校」が伸びているのはすぐに分かり、2021年度は2.6%になっています。
ほかに2021年度は「コロナ感染回避」と「その他」が0.6%です。

小中学校 不登校児童生徒数 推移
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は、小中学校の不登校人数の1991年度からの推移です。
どちらも近年伸びており、一番古い1991年度が不登校児童数が最小でした。

小中学校 不登校児童生徒数の割合 推移
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

このグラフ内の1991年度はすでに少子化が始まっており、1991年度が子どもの数が一番多い時期。
最新年になるほど子どもの数が少なくなっているにもかかわらず、不登校児童数は増加しているので、上のグラフ通り割合は増加しています。

不登校者を救う手段

これまでの情報で長期欠席者が増加していることが分かりますが、その受け皿的な情報を以下いくつか掲載します。

相談・指導等を受けた学校内外の機関等及び指導要録上出席扱いとした児童生徒数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

グラフ内の上側の「教育支援センターや児童相談所で相談・指導等を受けた実人数」は以下を合計した数字です。
①教育支援センター(適応指導教室)
②教育委員会及び教育センター等教育委員会所管の機関(①を除く)
③児童相談所,福祉事務所
④保健所,精神保健福祉センター
⑤病院,診療所
⑥民間団体,民間施設
⑦上記以外の機関等

下側の「養護教諭やスクールカウンセラーなど専門的な指導を受けた人数」は以下の合計数。
⑧養護教諭による専門的な指導を受けた人数
⑨スクールカウンセラー,相談員等による専門的な相談を受けた人数

2つの合計が71,544人となり、これだけの数の子ども達が、受け皿的場所で相談・指導を受けています。

学校外の機関等で相談・指導等を受け,指導要録上出席扱いとした児童生徒数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

外部相談等をした中で、出席扱いとなった人数が上記です。
小中学校を合計すると27,997人で、1つ上のグラフ相談した人からの割合では39.1%。
約4割が出席として認められています。

不登校児童生徒のうちICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

最後に時代ならではとして、ICT活用で出席扱いとなった人数が上記です。
小中学校を足すと11,541人。
この数字が高いとは言えないかもしれませんが、クラスになじめず、あるいはいじめをうける悪環境のとき、ICTで救えるのであれば技術の勝利です。

マイナス要因を取り除くためのオープン化

ウィキペディアの「長期欠席」ページに以下の項目があります。

■欠席の起きる原因
・いじめ・教員との相性問題
・教師の問題行為
・学業上の不安(学業不振・浮きこぼれ)
・クラブ活動・部活動への不適応
・家庭の不和
・コンプレックス(劣等感以外にも、当人に内在する様々な理由による)
・非行
・席替え
・生徒の社会適応能力、人間関係構築能力の欠如
・現状の学校制度(管理教育など)
・上級学校への進学による環境変化(悪化)
・社会の学校・進学・就職に対する状況・価値観の変化
・長期欠席の一般化による相乗効果

出典:長期欠席(ウィキペディア)

分類すると、「本人」「関係者」「環境」で分類できそうです。
複数分類にあてはまるものもあり、たとえば教師の問題行為は「関係者」と「環境」がそれにあたります。

子どもを持つ親として、この「関係者」と「環境」はできるかぎりなくしたい。
その方法として、オープン化を思いつきます。

子どもにとって学校は人生の大半であり、厳しい環境になったとしても「逃げればよい」は容易とは思えず。
教師はその狭い世界の中で絶対権力者になり得る可能性があることを起点に、第三者目線が入るシステムをつくる。
あるいは、子どもの意見をうまく吸い上げる取り組みをする。

情報をオープン化することで、早期の他者介入の可能性を高めることを目指す。
ハインリッヒの法則「1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故がある」で言うなら、300件の怪我にいたらない状況の内に対処する。

幼稚園児で発生した先生による虐待ニュースに記載されたコメント「教室内は全録画でよいのでは」と言う意見がありました。
僕はいま、学校内の教室や廊下を全録画「する」か「しない」かどちらかに投票するなら、「する」を選びます。

一昔前なら、プライバシー視点で「しない」を選択したかもしれませんが、子どもを持ち、いじめや虐待のニュースを見聞きすると、その回避策としては間違いなく効果がある。
物理的ないじめが減って、いじめがネットに移行するとしても、学校で嫌な思いをする子が減るならそれだけでも意味があります。

横道に逸れますが、そもそも、いまの社会は監視カメラだらけで、駅などの公共機関やコンビニやスーパーなど、カメラがないところはほとんどなくなっています。
人間が慣れる動物だと自分でも納得しており、いま、街中でカメラを見ても脳内でカメラと認識すらしなくなっている。
自分のいまの職場で全録画するとなったとしても、多分すぐに慣れる気がします。

大人は自分で環境を選べても、子どもにとってそれは簡単なものではなく。
気の弱い子を考えるなら、周囲のサポートが手厚すぎるくらいでちょうど良い。
他に、長期欠席者への復帰は、親や先生の配慮は当たり前すぎるくらい重要だと想像します。

学校なんか行かなくて良いという物言いも、子どもが自殺するくらいの深刻な状況では当然の選択肢ですが、安易に僕は逃げ続けた先の未来が明るいとは思えず。
そういう時にITで救えるのであれば、テクノロジーが人を助ける最高の活用法です。

22世紀に、物理的に学校に全員が集まっているか。
僕は学校に行く人と、バーチャルで参加する人に大きく分かれると予測します。

どちらが良いではなく、自分が選ぶ。
どれを選択しても、現代よりも個人の決定を尊重する姿勢が標準になっている気がします。

さいごに

いまでもたまに部活での体罰が発生したニュースを見ますが、まだそんな悪習が残っているかと思うとともに、密室での大人になれない人の悪行と感じます。
最近、野球選手のダルビッシュ有選手が「いまの子ども達が大人になるまで変わらないだろう」と言ったのは、いまの大人達への箴言です。

僕自身、不登校経験はありませんが、それは運が良かっただけと思っています。
一時、軽いいじめを受けたような気もしますが、大人になってトラウマになるような記憶はなく。
もしかすると、クラス以外に部活動などに積極的に参加していたのが、逃げ場になっていたのかもしれない。
生存者バイアスですが、やはり逃げ場的な場所を複数確保するのは、生き残る手段の1つです。

リアル社会とバーチャルの境界線が、どんどんあいまいになってきています。
その上で、リアルだろうとバーチャルだろうと、いくつかの接点を持って楽しく生きる。

いまの大人より子どもの方が、うまく使い分けられそうな気がします。