いまはもうない

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育児・子供観察

小児科の経営が厳しいというニュースを見聞きします。
調べてみると、その要因の1つに小児科医師数が増えている状況も関連していそうです。
それでも、人気のある医者はいつも待ち行列が長いのは、いまも昔も変わりません。
人気のあるものが自分にとって必ずしも良いわけでもなく、必要なモノか選択する力は大切です。

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小児科医師数23.8%増加、子ども19.1%減少

少子化でもあり、コロナ過で医者控えの昨今、病院には逆風が吹いています。


出典:令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)
出典:人口推計の結果の概要(総務省統計局)

棒線が小児科施設数で、ここ20年で12.6%の減少。
同時期の15歳未満の子どもの数は11.4%減少で、減少率はほぼ同じ。
折れ線グラフが小児人口当たり小児科施設数で、ほぼ横ばいがそれを現しています。
一言でいうと、子どもの数も病院数も、ほぼ同率で減っています。

このグラフ、2019年までの情報なので、コロナ過前のデータです。
2020年以降は、病院数がこれまでより減っている(いく)と、周囲を見ていて感じます。


出典:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(厚生労働省)
出典:人口推計の結果の概要(総務省統計局)

2つ目のグラフは小児科医師数で、期間も1つ目のグラフより10年長く30年推移。
この期間、医師数は23.8%増加、子どもは19.1%減少しています。

もともと小児科医が足りなかったのであれば需給バランスは取れますが、そうでなければ供給過多。
歯医者がコンビニの数より多く、歯医者経営が大変という話はよく聞きますが、小児科医が大丈夫なのかと思ってしまうレベルの乖離です。

供給が増えたところ、コロナウィルス禍で需要が減る。
小児科廃業の危機というニュースは、このグラフからはあり得るお話です。

ママ友からの病院の有用な情報

いま、自分が通っている歯医者さんが倒産したとして、次の歯医者をどう見つけるか。
虫歯が痛いなどのせっぱつまった状況でなかったとして、どんな選択条件、何で探すのか。

1つに、ネットの口コミサイトを見る方法があります。
5段階評価と数行~数十行のコメント付きの歯医者評価サイトは増えつつありますが、そもそも匿名の書き込みなので、その信憑性は微妙です。
百件以上の口コミが集まっているのであれば、少し信頼性は上がりますが、10件程度だとサクラの可能性もあり得る。

ご近所さんに、近所の歯医者さん評を聞くのもありますが、こちらは母数が少ない。
レストランでも、「本当においしかった」と人に薦められて行ってみると、「それほどでも」経験は日常。
評判自体、個人の主観なので参考値なのですが、とっかかりとしての1つの方法ではあります。

大人の歯医者選びも含め悩ましい病院選びですが、子どもも同様です。
緊急であれば、指定されたいくつかの病院しかないのですが、予防接種を受けるかかりつけの小児科医選びも、わが家では最初、ネットでの口コミを参考にいくつか回って、その時点で一番良さそうな病院を、かかりつけ医としていました。

その後、子どもが一定の年齢になって、園に通って親同士のつながりが出てくる。
仲良くなったママ友から、習い事の話題とともに病院の話題も出てくる。

わが家では、大きな指針になったのがこのママ友からの情報。
一応ですが、僕がママ友から聞くのではなく、僕の奥様がママ友から仕入れる情報を共有してもらっています。

病院の雰囲気や、先生がどんな対応だったか。
病院を選んだ理由や、この点はイマイチだったなど。
その病院に通い続けたかも、有用な情報です。

近年、病院では自動予約システム導入が進んでいます。
ネットや電話の自動音声で予約できるシステムは、コロナ過になってその有用度を増しました。
ただ、これも利用者視点のお話で、病院側にはコストなのも間違いはなく。

わが家の子どもがある時、近場の眼科で視力測定をしたが、数値が出せないことがありました。
子どもが落ち着いて測定できない、その病院の先生との相性が悪いなど、複合要因だと思っています。
もう少し年齢が大きくなってから再診というお話で、いったん引き上げたのですが、再診するか足踏み。

そんな時、自宅から自転車で行けない電車で行く場所に、評判の良い小児眼科の情報をママ友から入手。
そのママのお子さん3人も、電車でその小児科医に行って「良かった」との評を聞きました。

わが家の子どもも、その評判の良い小児眼科に行きました。

古くとも人気があると残る

人気の小児眼科なので、予約を取るのも一苦労。
その病院は、IT化や電話の自動予約受付システムもない予約方法で、電話で口頭予約。
電話もなかなかつながりませんでしたが、なんとか1か月先に予約できました。

病院外観は、築30年は過ぎている雑居ビルの1階。
ビル外壁の色がくすんでいて、看板も昔ながらの古いもの。
古いビルらしく、入ってみて天井が低い事にも時代を感じます。

他にも年季が入ったものが多く、クーラーは少なくとも20年以上は経過していそう。
ソファーも昭和時代の見本感じで、セピア色の写真が似合うイメージです。

それでも人気の病院であることは、待合室の待っている人の人数からも分かります。
座席は、開院中はいつも誰かが座っていて、立っている大人もパラパラいる。
清算を終えた人が帰宅しても、同数は常に来院している状態でした。

30分以上待ったあと、わが家の子どもの名前が呼ばれ、一人で診察室と検査室に入る。
無事、各種の検査も完了し、結果を親も同席して先生から聞くことになりました。

結果は想定外の状況はなく、近視の可能性を指摘され、この先の生活習慣などのアドバイスをいただきました。
スクリーンタイム(テレビやスマホ、タブレットを見る時間)が、現代の子どもの視力を落とすという、ごく当たり前の指摘で、1日1時間~2時間程度に抑えましょう。

他に僕が知らなかった内容として「1日2時間程度、屋外にいる行為が視力低下させない」が、いまの近視対策の1つ。
できるだけ外で遊ばせるようにしてくださいの言葉は、親側としても賛成なので、今後の指針になります。

小児眼科だけあって、医師も看護師も、子どもの扱いになれています。
うまく子どもを乗せる声がけを、待合室でも何度も耳にしていました。
ギャン泣きしている子どもがいても、だれも慌てず手慣れた対応。
わが家の子どもの検査を無事終えられたという点でも、良い結果を出せています。

総合して、この病院の評判が高いことに、同意でした。
それとともに1つの心配として、こういう病院がいつまで続くのか。

見る目を養う

病院での一番の目的は、良い治療や検査が受けられる。
その病院の先生(医師)のお話も、最新の医学視点を取り入れており、僕には納得度が高いものでした。

その先生の年齢は、外見からの予想では60歳中盤(の女性)。
笑顔を見せつつ、子ども慣れしていて、大人の細かな質問にも丁寧なお話をしてくださる。
それゆえ待ち時間が長いのですが、全般、子どもも親も不安になりにくい感じがにじみ出ている。

その先生が、あと何年、働かれるのか。
辞めたとして、この病院は継続するか。
継続されたとして、好評を維持できるのか。

人気の一極集中は、いまの時代の主流です。
ネットを見ていると、個人の趣味嗜好が分析され、精度高く商品やサービス推薦が表示される。
ランキングも同様、良く買われるものがより買われて、そこに入れないモノは存在しないも同然。
それゆえ、メジャーを狙うのではなく、ニッチな分野での上位を狙うのは、普通の販売戦略です。

それでも、いまの流れにカウンターとなったものが、SNSやインフルエンサー。
ランキングよりもお気に入りのインフルエンサーや、身近な友達が良かったというものを購入する若い層が増えました。

ネットがなかった時代は、情報収集メインはテレビをトップとした大手マスコミ系や物理的に接する人でした。
実際の購入も、それが入手できる範囲内、たとえば行ける範囲の物理的なお店でした。

いまも昔も変わりませんが、商品購入時の納得に必要な素養は、自分の中の選択眼です。
情報の精度を測る、不確かなモノを除外する、本当に必要なモノか判断する。
いくつかの情報にあたって、その中から自分で選択し、自分の責任で確定する。

子どもの医者選びも同様です。
ネット書き込みやや、ママ友経由の情報を、自分なりにトリアージし、子どもとの相性も見て、どこかに決める。

子どもに判断をゆだねるのも、子どもの経験値としては良いですが、単に親側が責任逃れのために聞いているのならいただけない。
大人ならだれしも経験している通り、自分が判断したくないための他者異存は、本人にとっても周囲にとっても悪手です。

子どもに相談してはいけないのではなく、少なくとも親側で子どもに相談する内容なのか考える。
不用意に投げて「やっぱそれはナシ」のようなものは、子どものブーイングを買います。

子どもと一緒に「AとBがあるけど、どう思う?」は、たいていの場合、良い教材。
そこには、大人の考え方や判断方法を子どもが体得できるきっかけになります。

大人側が、地に足をつけて判断する姿を子どもは見ている。
その背中が、子どもにとって安心と信頼です

さいごに

ここ数年で、わが家の近所にあった、店頭販売形式の焼き鳥屋とお肉屋が、閉店しました。

昔ながらの、老夫婦が営んでいる、古い建物のお店。
昭和時代にタイムリープしたような、懐にやさしいお値段。
お店の奥様が快活にお客さんを捌き、旦那さんが寡黙に商品を提供する姿は、いまはあまり見かけません。
わが家の子どももそのお店の味が好きで、お店に行くと奥様はいつもわが家の子どもに一言二言、話しかけてくれました。

継続できない理由、コロナのような外的要因で意にそぐわず閉業はありますが、大きな問題がないのであれば、事業承継判断はご本人達の意思。
お客側として続けてほしいと思う店もありますが、それもエゴになるのかと考えてしまいます。

僕は黒電話を、自分の祖母の家で触れた経験があるので使い方が分かりますが、いまの子ども達が「これ、どう使うの?」は理解できます。
わが家の子どもが、昭和らしいお店で買い物した経験は、未来の話のネタにはなるのではと思っています。