チューリップ国内販売は減少、世界は増加、花言葉の1つは不滅の愛

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・チューリップの東京中央卸売市場の切り花取扱高はここ23年で-55.2%
・チューリップの切り花単価はここ23年で144.4%と値上がり
・チューリップ生産世界一位のオランダの生産量はここ15年で129.8%と増加
・チューリップ生花の都道府県別生産高1位は新潟
・花の球根全体でも都道府県別1位は新潟
・チューリップの球根に限ると1位は富山

 

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チューリップ切花取扱い数量はここ20年で約半数、単価は増加

チューリップ 東京中央卸売市場 毎年2月の数字
出典:市場統計情報(月報・年報)(東京都中央卸売市場)

上記は毎年2月、チューリップの東京中央卸売市場の取り扱い数量です。
全体傾向では下がっており、2002年は5,373,504本、2024年は2,404,652、前後比-2,968,852本で増減率は44.8%(-55.2%)です。

チューリップ 東京中央卸売市場 毎年2月の数字
出典:市場統計情報(月報・年報)(東京都中央卸売市場)

上記は毎年2月、チューリップの取扱金額と1本あたりの平均単価です。
取扱い数量は減っていましたが、取扱合計金額と、1本あたりの単価は近年、上昇しています。
とくに2020年以降はエネルギー価格高騰で生産コストが上昇、また人件費や物価高も影響しています。

 

チューリップ世界1位のオランダの生産量は増加

日本の中央卸売市場では、チューリップ(生花)の取扱量が減っていましたが、世界的に見ると増加しています。

オランダのチューリップ生産量
出典:Area used for production of tulip bulbs in the Netherlands from 2008 to 2022(statista)

上記はオランダのチューリップの生産量です。
オランダは世界1のチューリップ生産国で、日本の10倍以上。
そのオランダのチューリップ生産量は増加しているので、世界的に見るとチューリップ需要は増えています。

とは言え、悪い歴史として、オランダとチューリップは「チューリップバブル」が歴史に残っています。

オランダ黄金時代のネーデルラント連邦共和国において、当時オスマン帝国からもたらされたばかりであったチューリップ球根の価格が異常に高騰し、突然に下降したまでの期間を指す。
チューリップ・バブルのピーク時であった1637年3月には、1個当たり、熟練した職人の年収の10倍以上の価格で販売されるチューリップ球根も複数存在した。

出典:チューリップ・バブル(wiki)

チューリップの球根1個で年収の10倍と聞くと、いまの一般的な感覚から考えると異常と考える人が多いのではないか。
それゆえバブルと言われるのですが、近年もビットコインや中国不動産価格などもあり、近い事象は人類史で見ると定期的に発生しています。

オランダは世界一のチューリップ国らしく、チューリップの球根を販売している屋台が存在します。
首都アムステルダムの風光明媚な街並みに溶け込んで、運河沿いにチューリップの球根屋台がいるのはお国柄と言えます。

 

都道府県別 生花1位は新潟、球根1位は富山

チューリップ 都道府県別 作付面積 2004年
出典:平成16年産花き生産出荷統計(農林水産省)

上記はチューリップの都道府県別、作付面積2004年の農林水産省情報です。
球根ではなく切り花の情報です。
1位は新潟、2位は埼玉、3位は徳島です。

都道府県別 球根収穫面積 2022年
出典:令作況調査(花き)(農林水産省)

上記はチューリップに限ってはいない全体の球根の、都道府県別、作付面積情報です。
チューリップのみの球根であれば、富山県の以下のサイトを見ると富山県が1位ですが、球根全体なので新潟県が1位です。
球根全体で見ると、富山県は2位となっています。

とやまのチューリップ球根生産

チューリップと言えば富山県のイメージが強いですが、その理由の1つにチューリップが咲き誇る景色があります。
以下はハフィントンポストにあった、チューリップの絶景に関するTop10です。

順位 名称 都道府県
1位 ハウステンボス 長崎
2位 山中湖 花の都公園 山梨
3位 あさひ舟川「春の四重奏」 富山
4位 なばなの里 三重
5位 ハイジの村 山梨
6位 国営ひたち海浜公園 茨城
7位 佐倉ふるさと広場 千葉
8位 世羅高原農場 広島
9位 あけぼの山農業公園 千葉
滋賀農業公園 ブルーメの丘 滋賀
伯太のチューリップ 島根

出典:【チューリップ絶景ランキング】まるで絵本の世界。1位は「約100万本」のチューリップが咲き誇るあの場所(ハフィントンポスト)

チューリップに限らず一面の花畑は、花に興味がなかったりそれが日常風景だと目に留まりにくいですが、そこにアンテナが動く人であればつい立ち止まって見入ってしまいます。

 

(物語)チューリップの花言葉についての恋話

チューリップの花言葉は、花の色によって違います。
そんなチューリップの花言葉にかけたある女性のお話です。

「オレンジ色」チューリップの花言葉「照れ屋」

あるところに自分に自信のない女性がいました。
ここではその女性をA子と呼びます。

A子は、自分に自信がないことにかけては自信がある、自他ともに認める引っ込み思案な性格の女性でした。
子どもの頃から両親含め、周囲の大人から「手を上げて良いんだよ」と言われるが、手を上げるくらいならその場から消え去りたいと思う性格でした。
何をするにしても、これで合っているか確認するが、もしかして誤りを見落としているのではないかと不安になる。
目立ちたくない性格の持ち主に往々にして見られる、検算に時間がかかり決断が遅い特徴も備えており、逃したチャンスも思い出すだけでもたくさんあります。
列に並んでいて横入りされても、文句をいうなど夢のまた夢。
小学校時代、自分が図書係になりたいと思っていたところ、友達が「私、今年は図書係をやりたい」と聞くと身を引く。

目だ立つ波風を立てず、できるだけ陰に隠れて自分の心の塀を保つように生きてきました。

「白色」チューリップの花言葉「失われた恋」「待ちわびる」「新しい恋」

他人と関わることは苦手、異性に告白など無理。
バレンタインデーやホワイトデーとは無縁の生活を、A子は高校生まで続けていました。

高校生にもなれば、クラスメイトの恋の話は耳に入ってくるが、自分にとっては遠い世界のお話でした。
それでもいつかはパートナーと出会い、デートもしたいとは思っている。
自分を変えるべく、勇気を出して少しずつ自分の枠を広げる努力は続けていました。

徐々にですが同性の女性であれば、少し挙動不審者レベルで見てもらえるくらいの会話はできるようになりましたが、男性と話すと言葉が出てこない。
チューリップの白い花言葉で言うなれば「待ちわびる」が当たります。

そんなA子にとって、はじめて恋人ができたのは大学に入ってからでした。
同じサークルの先輩と新人歓迎コンパで隣の席になり、その柔らかい話し方に安心できたのか、いままでになく自分の話ができました。
その後、先輩から告白されてお付き合いを開始。
A子は、先輩が自分のどこを気に入って告白されたのかはまったく分かりませんが、パートナーシップはスタートしました。

ただ、付き合い始めてもどうやって距離を詰めて良いかは手探りで、結果、3か月もたずお別れとなりました。
恋に恋するレベルにすら達していたかどうかも分からない、まるで見知らぬ外国の砂漠でひと時を過ごした、非日常でもあり非現実的な時間でした。
それでも、A子にとっては大きな経験であり、自分が少しだけ大人になれた気もしていました。

「ピンク色」チューリップの花言葉「誠実」

その後、A子は社会人になり、あるメーカーに就職します。
入った会社は歴史のあるメーカーで、取り扱い商材も地味で古臭いといわれることはあるが堅実経営が一つの売りで、そこがA子にとっては自分に合っているのではと思い選択。
同僚と接していても総論は謙虚な人が多く、社内で怒声が響き渡るような体育会系とは逆の社風でした。
そんな会社に属し、自分はこの会社に性格的にマッチしている、良い会社に入れたとA子は考えていました。

入った会社は新卒で入った部署で3年経験した後、ジョブローテーションがルール化されており、A子は2つ目の部署で会社間調整を行う部門へ異動しました。
その新たな部門で、一人の男性先輩社員がA子のメンター役として割り当てられました。

その先輩社員は、他人への配慮を怠らない、仕事的にも性格面でも誠実な対応をする人。
さらに社交的な面も持ち合わせており、社内ではハブ役というくらい顔が広く、音響関係のガジェットが趣味でそれも周囲との話すネタとして大いに活用されていました。
A子はそんな先輩社員をあこがれの視点で見ており、たくさんの人といつのまにか良好な関係性を築くその素養は、自分にはないものと思っていました。

「赤色」チューリップの花言葉「愛の告白」

A子と先輩社員はペアであるため、客先に訪問後に一緒にランチを食べて帰社するなど一緒にいる時間が積みあがっていきます。
あるとき、客先から直帰の時間になったり、二人で軽く飲んだ後の帰り道に、その先輩社員から「僕と付き合ってください」と言われ、1秒沈黙の後OKと言いました。
A子にとって、告白されたら嬉しい相手ではありましたが、自分が異性とみられていたことに驚きというか自分で良いのか。
自分がパートナーに選ばれるとは思っておらず、意外感とともに嬉しさが大きく心を占めていました。

二人のお付き合いは、A子が26歳のときから始まり、いまは28歳。
もうすぐパートナーシップが2年になろうとしていたある日、先輩社員はA子に1つの提案をします。
「近いうちに、僕の実家に一緒に行こうか」
0.5秒の沈黙を開けて、A子は男性先輩に「はい」と回答しました。
それを受けて、先輩社員は実家と日程調整し、1月後の週末に1泊2日で男性社員のご実家に訪問が決まりました。

A子自身、結婚を意識というか妄想することはあり、いまお付き合いしている男性先輩であれば嬉しいと考えていました。
ただ、明確にプロポーズされたわけではなく、お付き合いを先輩社員のご両親に報告するだけなのかもしれない。
プロポーズされたら何と答えよう。
さまざまな想像が頭の中をよぎります。

もしプロポーズされたなら、自分の気持ちは「Yes」。
打算的ですが、自分がこの先、また一から新たな恋人を探して関係性を築いていくハードルの高さ。
先輩社員の誠実さや実直な性格はこの2年で十分に分かっている。
なにより、自分をまっすぐに見てくれている。
いまの相手が最良かどうかの判定は神様しかできず、先輩社員と寄り添えるのであれば穏やかな未来となるのではないかと考えていました。

「紫色」チューリップの花言葉「不滅の愛」

先輩社員のご実家は富山県。
月並みですが、A子の中では富山と言えばブリとチューリップという、誰もだ知っている程度の知識でした。
訪問する時期はちょうどチューリップの開花時期で、もしかすると一面のチューリップが見られるかもとA子は考えていました。

行くにあたって、不安9割、楽しみ1割。
楽しみは先輩社員のご実家に訪れるということで、結婚までの1歩が進みそうな点。
不安は9割どころか10割を超えていますが、初めて相手のご両親に会う失敗は許されない緊張。
ここでも生来の自信のなさが頭をもたげてきますが、現実の時間は止められません。

スケジュール的には土曜の午後に先輩社員のご実家に到着し、夜はご実家で一緒に夕食をいただく。
翌日日曜の午後の新幹線で戻ってくる予定になっていました。

ご実家に付くと、ご両親が家の外まで迎えに出てくれている。
「遠いところ疲れたでしょう、さぁ上がって一休みしてください」とお母様が声をかけてくださる。
お父様も「はじめまて、父です」と満面の笑顔で握手を求めてくる。
日本人は握手になじみがありませんが、おもわずA子も手を両手で軽く握って、「はじめまして、お世話になります」と返答する。

夕食は4人で、お母様が作っていただいた料理をいただく。
富山名産品を説明を受けながら食べつつ、4人の会話はあちらこちらに飛びます。
こういうシチュエーションの定番、ご両親が息子の昔の失敗を披露し、息子が「それはもう止めて」のやりとりも無事、披露される。

外まで出てきてお迎えしてくれたこともそうですし、会話の節々にA子を大切にする配慮が感じられる。
このご両親のもとで育ったから、先輩社員がまず相手を受け入れる性格になったと考えていました。

翌日、先輩社員のご実家の車を借りて、A子は男性社員と二人でドライブに出かけることになりました。
ここでも男性社員のご両親のご配慮、ご両親が一緒だと気づまりするだろうとその時間は二人の時間でした。

帰りの新幹線の時刻から考えると、自由時間は3時間程度で遠くには行けない。
日本海沿いをのんびり車で走ったのち、二人は先輩社員が通った高校に立ち寄りました。

地方の学校らしく、門の横に車を止められるスペースは十分にあり、そこに車を止めて二人は手をつないで校庭を散歩する。
日曜日なので登校している学生もおらず、近所の子どもが数人、校庭でボールを蹴っている姿があるだけ。
そこを先輩社員が懐かしそうに、自分の高校時代の話をするのを、A子は言葉少なに聞いていました。

ゆっくり歩いて校庭を1回りし、学校を出て裏手に回る。
そこには、5メートルくらいの高さの土手がありました。
その土手を登るためにつくられたコンクリート製の階段を、先輩社員とともに登っていく。
土手を登りきると、そこには一面のカラフルなチューリップが咲き誇っていました。

A子は、無意識的に「うぁ」と声にもならない言葉を発する。
この旅でチューリップを見る機会はあるかもしれないと思っていたA子ですが、見渡す限りと言うと大げさですがサッカーグラウンドより大きな壮大なチューリップが目の前に広がっている。
さまざまな色や形のチューリップが満開。
みんな太陽の方向に少しお辞儀をするような姿勢で、風になびいている。

無意識にA子は、先輩と手をつないでいる手と反対の方の手を口元に持ってきているが、自分がやっている事は認識できていない。
その圧巻の景色に、言葉が出てきませんでした。
しばらく時間が経った時、先輩社員はA子に話し始めます。

「一口にチューリップと言っても、色はもちろん形もたくさんあるのがこれだけあると良く分かる。
赤色や黄色のチューリップは王道だけど、形もオーソドックスではなく先端がひらいているやつもあるね。
あそこに紫色のチューリップがあるよね。
僕が通ったこの高校には、チューリップについてどこにでもある恋のお話が語り継がれていたんだよ。
それは、紫色のチューリップを前に愛の告白をするカップルは幸せになれるという、富山県らしい内容だった。
単に紫色のチューリップの花言葉「不滅の愛」を、それっぽく訳しただけなんだけどね。
ただ、僕はなぜかその話が頭から離れず、自分がもしプロポーズするならこの場所にしようと高校時代から考えていたんだ。
A子さん、僕と結婚してください。」

A子は、沈黙0秒で、自分の意思を口にしました。

さいごに

「はなのさくえほん」という絵本があります。

乳児向けの絵本で、ページを開くと左側ページにチューリップの球根が、右側の芽が描かれています。
右側のページは折り返しになっていて、上に何枚か紙が伸びる仕様で上に伸びたページは花が咲きます。

子どもを持ったことがあり、絵本を手に取る機会があった人は、この本の存在をある程度知っているのではないか。
赤ちゃんが「いないいないばぁ」を喜ぶように、次はどうなるんだろうという期待感あふれる1冊です。

この絵本にもたくさんのお花が出てきますが、考えてみるとチューリップはメジャーな花の最右翼です。
花の絵を描いてくださいと言われて、一番描かれる花はチューリップではないか。

それくらいチューリップの花の形は特徴的で、デフォルメしやすい。
日本人にとって花と言えばサクラ人気が高いですが、自宅で育てるとするならチューリップはパンジーやマリーゴールドなどと並び人気種です。