新卒就職で大企業に行くか、ベンチャーに行くかという話題。
もちろん道は2つだけではなく、無数のルートがあります。
そして、20歳代前半であれば、仮に回り道したとして挽回は可能な年齢。
この普遍的に近い問いについて、戸建ての家を建てた友人の話を思い出しました。
大手ハウスメーカーではなく地域の工務店で家を建てる
ある友人が、注文住宅の戸建ての家を建てたという話を聞いたときのお話です。
その人は、大手ハウスメーカーやテレビCMで流れている比較的安価な住宅メーカーではなく、地域密着の地場工務店で注文住宅を建てたそうです。
その理由について、彼は以下と話していました。
・大手の流れ作業的つくりが嫌い
・大手は融通が利きにくい
・安価なメーカーの訴訟件数を知ってしまうと避けたい
当然、中小工務店にもリスクはあると認識した上で、そちらを選んだそうです。
・中小は倒産やアフターサービスが心配
・1つ1つがオリジナルになりやすいので、品質が安定しない
上記のように彼は考え検討し、中小工務店で家を建て、とても満足しているようです。
それは、その時点では大きな問題が発生しなかった、という裏づけのもとのお話です。
大手だから安心とか、中小だから品質が不安定、というのは昔に比べ変わっている気がします。
大手でも下請け任せならば品質は下がるでしょうし、中小も均質で安定材料を入手できる時代です。
ちなみに、この話を別の高齢男性に話したところ、彼の意見は以下でした。
「中小の方がリスクがあるのでは」
ご指摘は正しいですし、僕のバイアスもありますが「リスク回避思想」が背後にあったようにも感じました。
大手であれば安心、という高齢世代の多数派思考かもしれない、と思ったという事です。
新卒就職時の大企業かベンチャーかの論争
大企業とベンチャー企業のメリットデメリットは、語りつくされている話なので簡単に。
・大企業=安定、ベンチャー=不安定
・大企業=研修豊富、ベンチャー=OJT
・大企業=局所的な専門性、ベンチャー=なんでも自分でやる
・大企業=バランス、ベンチャー=突破力
・大企業=高学歴が多い、ベンチャー=さまざま
現在、多くの利用者を抱えるな製品やサービスについて、すべてではありませんが1つの共通点があります。
それは「大企業のものばかり」ということ。
Apple、Amazon、Google、Facebook、Line、インスタグラム、トヨタ自動車なども含まれます。
社員数は別として、日本発で利用者を伸ばしているのメルカリでしょう。
これは中小企業で一定規模になると、ある段階で大手に買収、ということもあると思っています。
それでも、最終的には大手サービスとして拡大していく。
上記の会社の中で、アメリカの会社は少なくとも一昔前の日本企業の大手のやり方ではありません。
おもしろそうなアイデアをプロジェクト単位で開発、短期間でリリースして、走りながらチューニングを重ねる。
僕もいま、企業に属していて、企業の強みとして思い当たる点があります。
それは「部門を越えた情報共有が当たり前に行われている」ということ。
営業部門、管理部門、企画部門、どこからでも「こんな最新ニュースがあった」という情報共有。
あるいは「こんな最新カンファレンスに行ってみて、こんなことができそうと実現度無視で思った」というアイデア。
自分の担当領域は精通、それゆえ視野が狭くなるというのは誰しも感じたことがあると思います。
当たり前という思い込みや、違う部門の人間の新鮮な発想。
他部門の人間もその分野の専門家であり、例えば分析専門の人や、法律家などの視点があります。
そうした人たちの一見素人意見のようなやり取りを見ているだけで、拾えることも出てくる。
それを社内共有の場でディスカッション、そして実現案をつくる。
こういう流れうまく機能していれば、一定の人数かつ柔軟性がある企業は強いと言えます。
デメリットは、無関係なたくさんの情報を読むために使う時間でしょう。
厳しい環境の中で、危機感を持って、前例のないことにチャレンジする。
生き抜くために「泳ぎ続けないと死んでしまうマグロやサメ」を連想します。
ある大学の特殊とも思える雰囲気
個人的に生き抜く・サバイブすると言う意味で、日本のある旧帝大のお話を思い出します。
僕自身、その大学とは無関係で、その大学卒業生数人の、サンプル数は少ない前提でのお話です。
その大学卒業の一人が、僕に話してくれた内容が以下。
「大学卒業後、普通に就職するヤツはみんなアホだと思っていた」
その大学の彼の友人も、日本の大学卒業生の大半が行う、就職活動をだれも行わなかったそうです。
もちろん大学規模からか考えて、全員、就職活動をしていないということはありえないでしょう。
彼と彼の周りにそういう人が多かったということです。
実際にその人は、アフリカで起業して、現在も事業拡大をしています。
アフリカの都市部は、先進国の都市部と変わらないですが、村と呼ばれるような場所は多くの日本人のイメージする後進国。
そうした地域をターゲットに、日本や欧米の技術を持ち込み、生活を向上させる仕事をしています。
基本的にトラブルだらけ、工夫して何とか結果に結びつける、まさに非定型業務の典型。
そんな彼の会社で実際に起こった、彼が笑いながら話していたネタが以下。
「ある国で社員が反政府ゲリラにつかまって1週間戻らなかった。その後、無事開放されて、いまは普通に働いている。」
無事だから良いのか、そもそも達観しているのか、なにより心臓に毛が生えている感がスゴイ。
この彼の年齢は30歳台後半。
いまの就職活動生より前の世代になるので、今でもその風潮がその大学に残っているか不明です。
別のサンプルとして、その大学卒業の20代後半の人も、やはり同じような雰囲気を感じました。
この20台後半の人は独立起業はしていないですが、企業で自分のタスクを高速かつすばらしいアウトプットされる方でした。
そして新卒で入った会社を5年目で退職、行き先を決めていないということでした。
総じて、僕がその大学卒業生について感じるのは「なんとかなる感」が強いということ。
そもそも大学入学時に一定の足きりがあるとは言え、見事なサバイバル能力、自立感です。
さいごに
非定型業務に従事して、自分で考えて結果を出す。
文字数は少ないですが、コレはそんなにやさしい事ではないと思っています。
それとともに、現代では世界中でこの能力が求められています。
牧歌的な昭和時代は「定型業務を正確に行う」ことを求められる業務が今より多かったと思います。
電話交換手から、タイプライター打ち、高速道路の料金所集金人など。
現代はグローバル化やIT化で、新たな何かを作り出すことが求められることが多くなりました。
多くなったと言うか、ほぼすべての業務で「頭を使って対応する」ことが必須の時代です。
人には向き不向きがあって、好き嫌いもあります。
ただ、あまり好き嫌いは最初から出すものではないと、僕は考えています。
本当に好きか嫌いかは、新卒時点では大半の人は分からないと考えているためです。
僕自身、イロイロ経験して中年になった今でも悩みます。
それでもたとえば、親戚の子どもに「大企業とベンチャーのどっちがオススメ?」と聞かれたら。
僕は「どっちが良いと思う?」という質問返しとともに、その人が進みたい道を選んでもらうよう話すと思います。
責任回避の気持ちも少しありますが、安直に答えられる・答えてよい質問とも思えません。
では、自分の子どもに同じ質問をされたら。
自分の子どもが社会に出るタイミングで、どれだけ自立心や自信を持っているのか。
それを頭の中で想像しつつ、いつも通りの回答をします。
「自分で考えなさい。」
ではでは
正解はたぶんない
考える能力や生き抜く能力は重要度を増している